中古住宅の耐震性のポイント

 

ここでは専門知識がなくてもできる、耐震性やその他の災害に対する中古住宅の安全性のチェックポイントを詳しくご紹介します。ただし、ここで述べるのはあくまでも一般論ですので、実際の中古住宅の購入にあたっては専門家のチェックなどを受けることをお勧めします。

 

 

木造住宅の耐震性はどこで決まるのか

地震大国の日本では、住宅を建てる際、法律で定められた耐震基準をクリアしないとなりません。

 

基本的には「震度5強程度の地震で損傷しないこと」、かつ「震度6以上の地震で倒壊、崩壊しないこと」の2点が基準になります。

 

【倒壊、崩壊しない】とは、住宅が倒れさえしなければ、傾いたり損傷したりするのは許容範囲ということです。

 

そして、この基準を実現させるために、基礎の大きさや鉄筋の規定、壁の量や配置、筋交いや柱などの金物補強が法律で規定されています。筋交いとは、柱と柱の間に斜めに入れる部材のことで、地震や台風など、建物の横からの大きな力から建物を守るものです。この筋交いを設置した壁を耐力壁といいます。木造住宅では、耐力壁の量が十分確保され、それがバランスよく配置されていることが重要です。耐力壁の量が十分でも、耐力壁の配置バランスが悪いと、大きな地震が起こったときに、ねじれて倒れてしまうのです。

 

また、柱や筋交い、桁などの主要構造材の接合部分が、法律で規定されている金物でしっかりと結合されているかどうかも大きなポイントです。筋交いのサイズによって使用する金物は違いますし、柱の位置や耐力壁の強さによっても接合金物は変わってきます。

 

耐震等級は等級2以上が目安

耐震性を表すものに「耐震等級」があります。

 

住宅の耐震性を、国が決めた統一基準で評価機関が評価するもので、等級1から等級3まであり、数字が大きいほど耐震性が高くなります。等級1は建築基準法に相当するレベルで、冒頭で説明したように、震度6以上の地震に襲われると、倒壊しないまでも傾いたりする可能性があります。等級2は、等級1の1.25倍の力に対して耐震性を持ち、等級3は等級1の1.5倍の力に対抗できます。

 

耐震等級は、住宅の耐震性を考える際に非常に有効な手段となりますが、評価を依頼するときは、耐震等級2以上を依頼するようにしましよう。等級1だと、耐力壁以外の耐震要素のチェックがされないからです。等級2以上になると、接合部や床、基礎の強さなどもチェックされるので安心です。

 

耐力壁が十分に確保されているか

地震や台風などの横からの大きなカヘの抵抗力

 

耐力壁がバランスよく配置されているか

バランスが悪いと、大きな地震などで倒れてしまう

 

構造材の接合部がしつかりと結合されているか

接合部分に使用する金具などは法律で決められている

 

 

「地震に強い家」にこだわりたい

住宅の耐震構造
東日本人寰災が起きてから、住居の地震対策に関心を寄せる人は多くなっています。耐震性に関しては、建築確認申請が1981年6月以降の物件であれば、震度6強から7程度の地震でも、建物が倒壊することなく、人命が守られる可能性のある新基準が適用されています。一方、木造一戸建て住宅に関しては、2000年に更に新基準が設けられ、それ以降に建った住宅であれば、基礎や耐力壁などが耐震性の確保された建物となっています。

 

また地震に強い建物の構造として、「耐震」「免振」「制寰」の3種類があります。標準的な工法の「耐震」は、壁や柱などの強度を高めることで地震の揺れに耐える構造。最もコストがかかる「免震」は免震装置を建物下に設置することで、地震の揺れを逃がすことができます。コスト、耐震性能ともにこの2つの中間に位置する「制震」は、制御装置で地震の揺れを吸収する構造です。建物の損傷や家具の転倒の被害を少しでも抑えるため、現在は費用が高めでも「免震」の人気が高くなっています。自分の求める対策を改めて考え、耐震構造の度合いを見極めたいものです。

 

いくら耐震性を重視しても、そもそも地盤が弱い場合もあります。同じ震度でも地盤の硬さによって建物への影響は違うのです。マンションを建てる場合は、あらかじめ地盤調査が行われ、地盤の強さに応じて杭打ちなどの対策がとられています。

 

耐震診断は自分でもできる

中古物件なら1981年以前。木造戸建てなら2000年以前の建物かどうかで、木造耐震性がわかります。旧基準の物件は、まずは耐震チェックができるサイトで、自己診断をしてみるのがおすすめ。戸建てについては日本建築防犯協会の「誰でもできるわが家の耐震診断」というサイトで10の質問に答えるだけで、ある程度診断が可能です。改修工事に自治体の補助が出ることも多いので、確認してみましょう。

 

 

その建物の建っている敷地の状況

建物の安全性をみる上で、その建物の建っている敷地の状況は最も重要であると言っても過言ではありません。川の近くでは水害、高台なら風害、海の近くなら津波や塩害、液状化現象も考慮する必要があります。斜面にある新しい分譲地なら、切り土と埋め土の硬さの差によって起こる不同沈下(建物が不揃いに沈下を起こすこと)も心配です。専門家でなければ、敷地の状況を見極めることは難しいかもしれませんが、各市長村でハザードマップなどが発行されている場合があります。また、古くからの住宅地であれば、過去の災害の例を調べることも可能でしょう。

 

 

建物構造形式による安全性

一般的な建物の構造として、木造在来工法、ツーバイフォー、RC造(鉄筋コンクリート構造)、鉄骨造などがあります。「どの構造が一番安なの?」といった質問を受けることが多くありますが、どんな構造でもその建物の規模(特に階数)や形状、地盤や敷地の状況に適合していることが大切です。軟弱な地盤であれば、比較的軽量の木造のほうが耐震的に有利であると言えますし、密集した市街地なら、RC造のほうが火災に対して安心と言えます。

 

また台風の多い地域も、対風強度の高いRC造のほうが安心と言えるでしょう。一般的に言えることは、極端な形の建物には注意が必要であるということです。木造の建物であれば、在来工法でもツーバイフォーでも壁の量が構造耐力の基準になります。全体的には壁の量が十分でも、ある一面の壁が極端に少ないとバランス的問題がある可能性があります。南側の開口部の多い部分の壁量などはチェックしてみてください。また木造3階建ての建物は、基本的には専門家でないとチェックは難しいと思います。

 

瓦葺きなど屋根の重量が重い場合は、より多くの壁が必要となってくることもポイントになります。木造の基礎形式には、布基礎(コンクリートの帯状基礎)やべ夕基礎(底面をすべてコンクリートで作った基礎)が採用されるのが一般的ですが、べ夕基礎のほうが比較的軟弱な地盤にも対応可能だと言えます。また、地盤改良や杭の施工などがなされている場合もあるので、チェックしてみてください。RC造や鉄骨造などは、柱の間隔が比較的均等であるかどうか、極端に大きなスパン(柱と柱の間隔)がないか(間隔が6~7m程度まででしたら標準的)などが判断の基準になるかと思います。RC造や鉄骨造などの重量建築では、基礎の形式はさまざまですが、地盤の状況や必要に応じての地盤改良や杭の施工も重要になるでしょう。

 

 

建物の形状による安全性

構造形式にかかわらず、四角形に近い整形の建物は地震や風水害などに対しても、比較的安定していると言えます。平面形状が極端な長方形やL字型だったり、凹凸があるような不整形なものは注意が必要です。立面的に極端に凹凸があるものは、耐震的にも雨仕舞についても特別な考慮がされていないと心配な場合があります。木造であれば、形状がシンプルな屋根(できれば軒の出が60m以上あるもの)がかっている整形のもの、RC造や鉄骨造デあれば、矩形であり窓の並び角が整っている事などが安全性の目安になるかもしれません。

 

 

災害時の安全性

災害時の避難や救助か容易か、という点も重要です。非常時の避難が支障なくできるか、基本的に2つ以上の避難経路が用意されているか、などを確認しましょう。具体的には、戸建て住宅の場合は、以下の点をチェックしてみてください。

玄関以外の窓などから外に避難できるか

 

2階から階段以外の避難方法(窓から梯子をかけるなど)が可能か

 

火災時に救助の車などが容易に入って来れるか

 

共同住宅(マンション)なら、以下がチェックポイントとなります。

住戸から避難階段までの距離が適正か

 

複数の避難階段があるか

 

バルコニーに避難用のハッチが適切に設置されているか

 

ちなみに、エレベーターは基本的に避難には使用しないと考えてください。非常用エレベーターが設置されていても、救助や消火活動のためのものなので、避難には使用できません。共同住宅の場合、消防車やはしご車などの緊急車両のアクセスが容易か、という点は、戸建て住宅よりもさらに重要になってくると思います。

 

 

戸建て住宅の耐震性の問題点!!

耐震性の問題

 

地震活動期の今、だれもが最低限望む条件とは、耐震性にほかなりません。リクルート住まいカンパニーが実施した「2020年注文住宅動向・トレント調査」によれば、2020年9月までの過去1年に戸建て住宅を新築した人も、同年9月以降の2年以内に戸建て住宅の新築を検討している人も、重視条件の第一に耐震性に優れている点を挙げています(複数回答可)。もう少し詳しく見てみましょう。過去1年に新築した2015人では、「耐震性に優れている」が6割近くを占め、これに、「断熱性・気密性に優れている」(47.3%)、「間取り・プランが良い」(41.8%)が続きます。これに対して2年以内の新築を検討している2006人では、「耐震性に優れている」が7割以上を占め、これに、「間取り・プランが良い」(51.1%)、「断熱性・気密性に優れている」(50%)が続きます。上位3つの顔ぶれは変わりません。

 

だれにとっても「いい家」が耐震性に優れている家であることは、この調査結果からも明らかです。「いい家」の殼大の条件である耐震性に優れている住宅を、だれもが同じようにつくることができるようにするには、どのようなルールを定めればいいのでしょうか。ここではまず、木造住宅の耐震性がどのように決まるのかという点から説明していきます。耐震性を確保するうえで今、最も重要と考えられている要素は、耐力壁と呼ばれる壁の存在です。これがどこにどの程度配置されているかによって、地震の揺れにどこまで抵抗できるかが変わってくるのです。

 

昔ながらの木造住宅は通常、柱や梁など縦横の部材で形づくられています。そこに作用する地震の揺れは、水平方向に働く横からの力です。この横からの力が強く働くと、縦横の部材だけではいくらしっかり組み立てられていても抵抗しきれず、柱は横倒しになってしまいます。柱という「線」の部材では、踏ん張る力が隕られるからです。そこで登場するのが、筋交いと呼ばれる部材です。これは柱や梁などで構成される四角い枠の中に斜めに渡し入れて、横からの力を受けても、その枠が容易に壊れてしまわないようにするための部材です。最近ではその代わりに、構造用合板という合板を用いて、枠の強化を図ることも一般的です。こうした筋交いや構造用合板などの部材を用いて横からの力に対する抵抗力を高めた枠で構成する面を、耐力壁といいます。四角い枠だけのものと、そこに筋交いや板を加えたものと、この2つを比べたとき、横からの力への強さが異なるのは、想像がつくかと思います。「線」の部材を「面」の部材に変えることで、抵抗力を高めているのです。

 

古い昔ながらの木造住宅に大きな被害をもたらした阪神・淡路大震災では、この耐力壁の不足が原因と考えられる例が目立ちました。以降、その重要性が一般にも広く認識されるようになったという経緯があります。木造住宅の設計では、この耐力壁を適切に配置することが求められます。ただ、耐力壁ばかりで固めてしまっては、耐震性は高いかもしれませんが、大きな窓が少なく、壁の多い住宅になってしまい、開放感は得られません。明るい広々した住宅が望まれる場合には、耐震性と開放感のバランスを考える必要が生じます。

 

耐力壁は量とバランスを

耐力壁のバランス

 

耐力壁の確保と並んで設計段階で注意する必要があるのは、地震の揺れという横からの力を受け止めた建物内での力の流れです。床、梁、耐力壁、柱、基礎、地盤と、それぞれの部材がそれぞれの役割を果たしながら、流れを妨げないのが理想です。ところが、設計上の問題や構造上の問題でどこかに弱い部分が生じると、そこに無理な力が働き、それが原因になって建物に被害をもたらすことがあります。耐力壁を必要な量確保するだけでなく、設計の良し悪しにも気を使う必要があるのです。留意点の一つは、耐力壁をバランス良く配置することです。量をいたずらに確保するだけでは十分ではありません。横からの力への抵抗力を備えた部材だからこそ、配置のバランスを欠くと、耐力壁の少ない部分に力が集中し、建物にねじれを生じさせます。もう一つは、上下階での柱の連続性です。柱の役割の一つは鉛直方向の力を伝えることですから、できるだけ上下階で同じ位置にあるのが望ましいと考えられています。通し柱という上下階貫通の1本の柱が重用されるのは、そうした観点からです。もちろん、柱は通し柱に限りません。管柱と呼ばれるフロア単位で用いる柱も存在しています。柱をどこに配置するか、上下階それぞれで考えることは可能です。しかし一方で、鉛直方向の力を伝えるという柱本来の役割は共通です。それを考えると、できるだけ上下階で連続性を持たせるのが筋と考えるのが良さそうです。上下階で柱の連続性を持たせることのできている割合を、直下率と呼びます。

 

必要な量の耐力壁をバランス良く配置すること、そして柱の位置に上下階で連続性を持たせること、この2つをルール化することで、耐震性の確保された「いい家」をだれもが同じように設計できます。つまり、設計者によるばらつきを抑えることができ、言わば、設計の標準化が達成できるのです。構造計画の観点から望ましいプランの枠組みを、柱や耐力壁の配置をさまざまに組み合わせていく通りか定めておくのです。そしてその枠組みの中で、建築主の望む間取りを実現していけばいいのです。こう書くと、それは注文住宅ではない、間取りの決まった規格型の商品ではないか、との指摘を受けそうです。確かに、住宅メーカーでも工務店でも、標準化によるコスト削減を図り価格競争力を高めようと、こうした規格型の商品開発にも取り組んでいます。しかしここでいう標準化は、そうした規格型の商品とは異なります。細かな間取りまでは定めません。標準化の対象として定めるのはあくまで、耐力壁と柱です。したがって、数百種類ものさまざまなパターンが考えられます。細かな間取りは、その枠組みの中で形づくっていきます。数百種類ものパターンがあれば、さまざまなバリエーションに対応できるはずです。設計上の制約には違いありませんが、間取りという「図」を載せる「地」を定めておく程度と考えるのが適切です。

 

耐震性に優れた設計基準

具体例で紹介したように、日当たりの限られる細長い土地や三角形の変形地のような、一見すると使いにくそうな土地でも、建物のプラン次第ではいい家が建てられます。それだけに、候補地に見合う具体的なプランを提案してもらえる地元の不動産・建築関係者とともに土地選びを進めていくのが、「いい家を安く」の秘訣の一つといえます。土地を決めたら、建物づくりに進みます。普段の暮らしと深く関わる間取りにまず関心が向きがちでしょうが、その前に、「いい家」の最低条件ともいえる耐震性のことを、いま一度確認しておきましょう。

 

耐震性の良し悪しを決める要素として、耐力壁の存在を説明しました。この量と配置のバランスが、地震に強いか弱いかを決める重要な要素の一つであること、さらに、地震の揺れの水平方向に働く力を、床から梁や柱などの部材経由で地盤にまで滑らかに伝えることができるかどうかという観点から、上下階での柱の連続性も、それに並んで重要な要素の一つであることを紹介しました。これらはいずれも、プランの良し悪しで変わり得ます。例えば的確な量の耐力壁を適切な場所に配置していれば、耐震性に優れた建物になります。しかし一方で、いくら耐力壁をたくさん確保したところで配置のバランスが悪ければ、地震時には弱い場所に力が集中し、建物にねじれを生みます。限度を超えれば、建物の損壊につながります。耐震性の良し悪しを決める要素は、耐力壁の量やバランスと柱の連続性に留まりません。これらと違ってプランの良し悪しと無関係の要素として、床の堅さ、柱や梁など構造材の強度と含水率、接合部の信頼性、という3つが挙げられます。これら3つの要素は、水平方向に働く力を床から地盤まで滑らかに伝えるために欠くことのできないものです。では、これらの要素が耐震性にどう関係するのか、そして、どのような造りであれば優れた耐震性を発揮できるのかという点を、以下に見ていきましょう。

 

まず床の堅さという要素です。これは決して床面の堅さという意味ではありません。床の水平面としての堅さです。水平方向の力を受けたとき、たわんでしまって水平面の形が崩れてしまうようなものではなく、水平面の形を保っていられるようなものです。なぜそのような堅さが必要なのでしょうか。それは、床の役割をきちんと果たすためです。床の役割とは、鉛直方向に作用する力を支えると同時に、水平方向に働く力を耐力壁に伝えることです。地震時に水平面の形を保っていられないと、水平方向の力をきちんと伝えられません。

 

 

築後数十年の耐震・耐久性能を考える

10年の耐震性

 

住宅の耐震性や耐久性は多くの人の関心事ですね。1995年の阪神・淡路大震災の教訓から耐震性能がクローズアップされ、それから10年たった2005年には、震災の教訓を忘れつつあった私たちに警鐘を鳴らすかのように、耐震強度偽装問題が持ち上がりました。これによって、一般の人たちも家づくりにあたってそれなりに勉強し、頑丈そうな構造の家を選ぶ傾向になってきているのは事実です。

 

しかし、建築時の初期性能だけではなく、20年後、30年後までどれだけ当初の耐震性・耐久性が維持されるかという二次性能の問題も忘れてはいけません。一部の悪質な業者を除けば、現在の住宅会社の多くは、耐震性能においてはしっかりとした住宅をつくっているといえるでしょう。会社によっては、実物で実験までして耐震性能をアピールしていますが、建ててから数十年たったモデル棟で実験した会社はひとつもありません。

 

耐震性と結露の関係性

では、住宅の二次性能としての耐震性能をどう判断すればいいのでしょうか。それは、建築時に結露防止に配慮した構造・工法かどうかを確かめればいいのです。結露防止は、人間の健康にとってとても重要であり、建物そのものの長命化にとっても不可欠な対策なのです。大震災で倒壊してしまった家のなかには、結露によって構造躯体が腐っていたり、さびついていたりして耐久性がいちじるしく低下していた家が多くあったと考えられます。十分な耐震性をもった家を建てるのは当然のことです。この当然の性能を維持するために、結露防止が必要になってきます。そして、この結露を防ぐために重要なのが、「断熱≒気密≒換気」「冷暖房計画」です。これら4つがトータルに計算された家づくりをしなければ、結露は防げません。

 

結露はダニーカビを発生させ、人間の健康に甚大な被害をもたらすと同時に、建物にも被害を与えます。木造住宅の場合は構造を支える柱や土台などの木材を腐らせ、鉄筋コンクリート造の場合もコンクリートを劣化させたり、鉄筋をさびさせたりしてしまいます。これは、内部結露、つまり壁内などの見えない場所にできる結露によるものです。この被害は10年、いや20年ぐらいしないと、そこに住む人にはわかりません。確実に被害が進行して拡大していても、壁内という見えない場所で起こっていることだから、どうしても発見が遅れてしまうのです。家の老朽化を早め、腐らせ、短命に終わらせてしまう原因は、「結露」「湿気(水蒸気)」「雨水の侵入」の3つです。これは設計者や建築業者にとっては常識のはずですが、これから家を建てるあなたもしっかり認識しておかなくてはなりません。

 

 

津波、液状化、水害など立地面でのチェックも大切

住まいの安心・安全を確保するためには、住まいそのものが強固であることが大前提になりますが、どのような場所に建っているのか、立地も重要なポイントになってきます。いくら頑丈な住宅でも、住宅密集地にあって火災が発生すれば、被害を免れません。また、海や河川の近くとか標高の低い場所だと、津波や洪水といった水害の恐れもあります。小さな川でも油断はできません。こうした点に関しては、都道府県や市区町村が(ザードマップを作成して、ホームページなどで公開しています。また、国土交通省の「「ザードマップポータルサイト」から各自治体の情報にアクセスすることもできます。

 

地盤の強固さにも留意しておく必要があります。東日本大震災では、震源地からかなり離れた首都圏でも液状化被害が起きました。震源からの距離が同じでも、地盤の強さによって建物の揺れ方は大きく違ってきます。一般には丘陵地ほど地盤が固く、河川の土砂が堆積した平地ほど弱いといわれます。地盤の揺れやすさについては、内閣府の「防災情報のページ」に全国の揺れやすさマップが掲載されています。都道府県別にチェックできるので、こちらを参考にしてみてください。ここでは、東京都の例を紹介しておきます。いわゆる山手方面は比較的強固で、下町方面のリスクが高いことがわかります。さらに、液状化のリスクについても、都道府県などがハザードマップを作成していますので参考にしてみてください。

 

 

こんな住宅が地震に弱かった

”地震に強い住宅”がさかんに宣伝されています。あの阪神・淡路大震災でマンション、一戸建てを問わず大きな被害を受けた住宅が少なくなかったことからでしょう。しかし、耐震性というと「○○工法だからいい」とか「△△構造なので強い」というように、技術的な優劣がよく話題にされます。ところが、阪神・淡路大震災で実際に倒壊や修復不能のダメージを受けた建物は、工法や構造の違いによるのではなく、地盤や建て方に問題があったり、保守管理が行われていなかったり、中には耐用年数を大きく超えていたりと、そもそも住宅としての基本性能に欠けるモノが極めて多かったのです。また、後でわかったことですが、いわゆる活断層に接するように建っていた住宅が人きな被害を受けた例もありました。これはしかし、住宅の性能うんぬんを超える問題で、現在の建築技術が今後の課題として取り組むべき、例外的な事例と言わざるをえないでしょう。問題は、要するに手抜き工事や粗悪工事です。具体例を挙げれば、「基礎との緊結が不十分な住宅」「必要十分な筋違(すじかい…横の力を受ける斜め材)や金物が使用されていない住宅」「通し柱のない2階建て」「躯体(柱や梁など家の強度を保つ主要部分)の劣化が著しく進んだ住宅」などなど。二戸建てはこうした住宅が人被害を受けたことがわかりました。

 

一方、マンションなどの共同住宅では、老朽化が進んでいるのに維持修繕が行われていなかったり、そもそもコストダウンのせいで強度が不足したりといったものが目立っています。おおまかに言って、こうした欠陥住宅ができあがるには2つの理由があって、1つは最初から安かろう悪かろうの住宅である場合、もう1つは業界の下請け体質(元請けがピンハネして各工事を下請けにまわす)が粗悪工事を招く場合があります。あまり公にはなりませんが、分譲マンションと賃貸マンションでは多くの場合、歴然たる品質格差があります。これは賃貸マンションが採算を優先するせいで、どうしても建築費を圧縮しがち、という事情が背景にあります。というわけで、地震に弱い家というのは躯体の強度にまで響くような低価格(値引き)から生まれてきます。これは逆に言うと強さがある住宅は、やはり一定の価格水準になる」ということで、工法や構造のせいではないと考えるべきなのです。もう1つの下請け体質のほうは、これは業界の姿勢の問題。必ずしも悪質な業者ばかりではありませんが、こうした業者がいることを前提に、きっちり現場チェックをすることが重要なのです。

 

プロセスの標準化を図る

耐震性に優れているという「いい家」にだれもが望む条件に対して、建築主ならではの条件はルール化になじまない、と書きました。確かに、条件そのものは千差万別ですから、ルール化はとうてい不可能です。ただし家づくりでは、個別の要望を引き出すことはとても重要です。どのような住まいにしたいと思うか、という建築主の要望の中には、その人・家族の暮らし方や価値観が映し出されているからです。それをしっかり引き出し、プランに反映させない限り、建築主の満足は得られません。工務店としては、お客様をだれが担当しようが、こうした重要な作業を確実に同じようにこなしていく必要があります。担当者が若手だから手順に漏れが生じたり建築主の意向を聞き忘れたりするのでは困ります。だれもが同じようにお客様に対応できるようにするには、家づくりのプロセスそのものの標準化も必要です。どの段階で何を聞けばいいのか、何を伝えればいいのかなど、ポイントがはっきり決まっていれば、だれもがそれに基づきお客様に対応できます。

 

家づくりのプロセスの標準化には、家づくりの節目で聞くべきことや伝えるべきことなどを一覧表示したカウンセリングツールを活用します。このツールに沿って物事を進めていけば、だれもが同じように家づくりをサポートできる仕組みです。最初の段階でまず示す必要があるのは、スケジュールと予算です。家づくりの相談や敷地の下見といった段階から始まる家づくりは、いくつもの段階を踏んでいきます。ラフプランの作成や概算見積もりに始まり、正式なプランの作成依頼を受けて詳細なプランや見積もりを作成します。そしてプランに基づく設計が固まれば、工事請負契約を交わし、建築工事を進めていきます。時間軸の中で家づくりの流れが整理されていますから、入居を希望する時期さえ分かれば、そこから逆算して、どのような作業をいつごろ済ませればいいかが分かります。そして、大まかに立てたスケジュールを、建築主との問で共有します。もう一つ、この段階で家づくりに掛かる総予算をつかんでおきます。土地購入費用や建物本体工事価格のほか、どのような費用がどの程度掛かるのかを、概算し建築主との問で確認し合います。

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