
住宅を購入する人にとっては、「いくらお金を貸してくれるのか」がとても重要なところでしょう。金融機関では一般的に、返済負担率(1年間の収入に対する返済金額の割合)を使って返済額を判断しています。また、この返済負担率には2つの意味があります。ひとつは「金融機関がいくら貸してくれるか」、もうひとつは「いまの生活の中で無理なく返せる額はいくらなのか」を割り出せるのです。
ちなみに返済負担率の計算方法は、金融機関が独白に基準を設けており、各金融機関によって異なります。さらに、審査で金融機関がチェックする内容は、勤務先・勤続年数・年齢・年収・家族構成・他社からのローン状況・その金融機関との取引の有無などがあります。
一般的に銀行や信用金庫などの金融機関では、借りる人の年収により返済負担率を25~40%程度としています。通常、試算するさいは、目安として30%程度で計算するとよいでしょう。もし、マイカーローンやキヤツシングなど、住宅ローン以外のローンがある場合は、それらをすべて含めて返済負担率を計算します。ほかに借入れがある大は、その分、住宅ローンで借りられる額は低くなります。住宅ローンを組む前に、そのほかのローンはできるだけ完済しておいたほうがよいでしょう。
また、住宅ローンを借りるにあたって、自分だけでは最低年収のラインを下回ってしまったり、希望額が借りられない場合は、家族の年収を合算できる場合もあります(収入合算)。収入合算は金融機関によって、合算者の年収の全額が合算できる場合や、半分までしかできない場合などの独自の規定があります。住宅ローンの審査において所得金額をチェックするさいの審査対象は、確定申告の所得金額と給与支給金額です。そして、融資してもらえるのは、一般的にそれらの対象から証明された年収の30%戦後です。
借入額3000万円、金利2.50%、借入期間35年、元利均等返済(ボーナス返済なし)、税込み年収500万円、ほかに借金なしの場合
●返済総額:4504万4199円
●毎月の返済額:10万7248円
●年間返済額:128万6976円
※返済負担率=年間返済額128万6976円÷税込年収500万円×100=25.74%
たとえば、上図のケースを考えてみましょう。住宅ローンの審査の基準が30%以下の場合、上のように返済負担率25.74%であれば、基準はクリアしていることになります。ボーナス返済を入れても返済負担率はあまり変わりませんので、上図の例を参考にご自身の返済負担率を計算してみてください。
それでは、これで日々の生活はできるのでしょうか?
返済負担率は税込の年収で計算しますので、税込年収500万円から年間返済額の128万円を引きます。そこから、社会保険料や所得税・住民税などを差し引くと、残りはおおよそ300万円くらいになるかと思います。現在、毎月いくら使ってやりくりしているかを考えると、ローンを支払う場合との比較がしやすいのではないでしょうか。
住宅ローンを組むことになったら、借りたい銀行に必要な書類を揃えて提出し、融資を受けられるかどうか審査を受けることになります。このときには源泉徴収票や確定申告書など年収のわかるものと、売買契約書や重要事項説明書などの購入物件がわかるものなどの書類を提出します。
一般的には、下のような項目を考慮して審査が行われますが、各銀行で採用している項目も基準も違い、公表されていないので、詳細は不明です。基本的には住宅ローンを将来にわたって返していけるかどうかを、年収や返済負担率、年齢、勤務先などから総合的に判断しているようです。
各銀行で審査基準が違うので、1つの銀行で通らなくても、ほかのところでは通ることもありますし、「フラット35」なら借りられる場合もあります。
ほかにも多額な借り入れがあったり、クレジットカード料金の延滞があると、返済能力に疑問があると判断され、審査に通らない場合があります。審査が通らなかったら、他の銀行に挑戦する前に、なぜなのか銀行の担当者に理由を探りましょう。そしてローンやカードを整理したり、頭金をもっと貯める、物件価格を下げるなどの対策を打ちましょう。
銀行ローンの主流は変動金利ですが、「固定金利選択型」も人気があります。それも、限りなく変動に近い「1年固定」から、限りなく固定に近い「30年固定」まで、選択の幅が広がりました。完全固定金利のローンを扱う民問金融機関も現れ始めています。住宅金融支援機構の債権買い取りを前提とした「フラット35」も銀行ローンの商品の1つですが、これは35年の完全固定金利です。
さらに、機構と銀行の両方を併せて借りる「すまいるパッケージ」は、機構の固定金利と民間の固定金利選択型または変動金利、2つの金利パターンのミックス融資になるわけです。金利のパターンだけをとっても、これだけ数多くの選択肢があります。それでは、銀行ローンを選ぶとき、いったいどこに目を付けて比べればいいのでしょうか。なんといっても、借りられなければ始まらないので、まずは融資の条件からチェックしていきましょう
多くの銀行ローンは、借入時の年齢と完済時の年齢に制限を設けています。借入時の年齢は20歳以上で、60~70歳以下。これを超えていなければいいわけです。問題は、完済時の年齢。機構や財形融資は80歳ですが、銀行ローンは厳しく70歳未満とする銀行もあります。そうなると、定年が70歳でも最長返済期問の35年を利用できるのは、借入時に35歳までの人に限られます。返済期問が短くなれば、それだけ毎月の返済負担は重くなります。
また、多くの場合、借り入れの資格として、一定の勤続年数(自営の場合は営業年数)や年収が要求されます。勤続なら1年、自営は3年以上とするところが多いようですが、中には勤続3年以上という金融機関も。一方、年収は200万円以上というところもあれば、400万円以上とするところもあってまちまちです。勤続年数や年収の条件をパンフレットに明記していない金融機関がありますが、制限がないわけではなく、個別に審査して決めるということなのです。
次に、金利が変動した場合を考えてみます。たとえば返済開始から5年経過後に、金利が2.5%から4%に変動したとします。この例では、返済負担率の基準である30%をオーバーしてしまいます。金利が2.5%から4%に上がっただけで、これだけ負担(毎月2万2337円)が増えるので十分に気をつけたいところです。さらに金利だけでなく、今後の社会情勢によっては消費税や物価が上がる可能性も高いでしょう。返済負担率は25%前後を見て、金利が変動した場合にも余裕がもてるプランを検討してください。
ほかに注意していただきたいのは、融資前に国民年金や住民税などの不払いや滞納がある場合です。住宅ローンを組んだ時点での滞納税金は、銀行よりも優先される債権なので、税金の滞納が発覚すると、金融機関が融資してくれなくなる恐れがあります。住宅ローンを契約する前に、税金の滞納をなくしておかなければなりません。マイホームの購入を考え始めたら、少なくとも3年前からしっかりと所得を申告し、借りようとする銀行に口座を作って給与支払いや公共料金払い込みなどの長期取引をするとよいでしょう。さらに、他の目的の借入をなくし、借金がある場合は完済しておくなどの準備を進める必要もあるでしょう。最終的には銀行が判断することですが、マイホーム獲得の夢を実現するためにも、普段から将来を見据え、着々と努力しておくことが大切となります。
住宅ローンを申し込むと、「審査に通るだろうか」と心配になる人は少なくありません。心配をなくしたい一心で、インターネットを調べても、通る、通らないの基準ははっきりしないでしょう。金融機関は審査の結果を伝えてはくれますが、その理由は教えてくれないので、審査に通らなかった人は、なぜ通らなかったのかわからない場合がほとんどです。「公務員や大企業勤務が有利」とか「自営業者は厳しい」といった話を聞いたことがあるかもしれません。
結論からいえば、同じ年収でも、勤め先の規模や種類により若干の差があります。最も借りやすいのは、なんといっでも公務員です。上場企業も借りやすいでしょう。一方、中小企業・零細企業に勤務する人は、大企業より所得水準が低いことが多く、会社が倒産するリスクも高いので不利になります。もっと不利なのがデザイナー、ライター、フリーターなどフリーランスで仕事をする人です。複数年にわたり、申告収入がしっかりないと借り入れは難しくなります。勤務先以外の要因では、勤続年数が短いことはマイナスです。
以上は民間の住宅ローンの場合ですが、住宅金融支援機構の【フラット35】は、あくまで数字上だけで収入を見て、勤務先の規模や業種は考マイナス要因| 万 プラス要因慮しないので中小企業勤務でも不利はありません。幸いにも、「フラット35」は超低金利ですから、民間金融機関で借り入れを考えていて、審査に通るか不安なら【フラット35】を検討すべきでしょう。
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