売るときと買うとき、その両方を同時に決断しなければならないのが買い換えです。
★買い換えの原則は「売り優先」
●安全性の高さがメリット
新しい家を買うための資金は、前の家を売却してつくるのですから、安全性を考えれば「売り優先」が常とう手段。売り優先は売却価格が決定するので、購入の資金計画が狂わないのが最大のメリットです。売り急がなくていいので、交渉も比較的有利に進められるでしょう。ただし、買い換えの決心が固まらないうちに、様子見のようなかたちで売りに出すのはあまりお勧めできません。
●「売り優先」のデメリット
売却を先行した場合、白宅の引渡しまでに買い換え先に移れるかどうかが問題です。適当な物件が見あたらないために、いったん賃貸住宅に移らなければならないこともありえます。購入物件が決まっていて、引越し時期が明らかになっている場合は、定期惜家やウィークリーマンションなどで短期間だけ仮住まいすることもできます。ただし、その分だけ諸費用がかさむことは言うまでもありません。
★「買い先行」のメリット・デメリット
●スケジュールに余裕が持てる
家の売却先が決まり、慌てて買い急いだ結果、納得のいく家を見つけられないのでは買い換えの意味がありません。あるいは、売却が決まる前に「ぜひこの家に住みたいと思える物件に出会い、買い先行に走ることもあるでしょう。資金が確定しないという、大きなリスクを背負うことになる「買い先行」ですが、やはりメリットはあります。不動産業者から分譲物件、とくに未完成物件を買う場合には、購入を決めてから引渡しまで時問があるので、売却スケジュールにも少しゆとりが持てます。
●売れない場合の「買い換え特約」
売主が業者なら、「買い換え特約」を付ければ、売れなくても対処できる可能性があります。「買い換え特約」とは、売買契約に際して「ある期間内に家が売れなければ白紙に戻す」という条項を付けておくこと。相手が業者ならば、期L」などの条件さえ守れば解約に応じてもらえるでしょう。
また、新しい家に引越し、元の住まいをいったん空き家にしてから売りに出したほうが、売りやすくなる可能性もあります。買主にとっては、家具がない状態で家中じっくり点検できるので、安心して購入に踏み切れるからです。
とはいえ、最初から「売り先行」「買い先行」と決めて行動するのはあまり一般的ではなく、得策ではありません。購入物件探しと、買主探しを同時進行で進め、売却と購入の同時決済を目指すのがふつうです。契約が同時ということはほとんどないので、まず片方の契約を結び、もう片方の辻褄を合わせることになります。うまく同時決済にこぎつければ、つなぎ融資や仮住まいなど、余分な出費をしなくてすみます。
同時決済を目指すなら、売却と購入の両方を同じ業者に依頼するのが得策です。業者にとっても売買両側の事情がよくわかり、利益も膨らむので、うまくコントロールしてくれるでしょう。
買い換えを成功させるには、信頼できて営業力のある仲介業者を選ぶのがポイント。計画のスタートは売却価格の予測から始めましょう。
●売却価格の相場をつかむ
買い換えはまず、今の家がいくらぐらいで売れるかを知らなければ資金計画が立てられません。あらかじめ、インターネットや情報誌を活月」して、自分なりに相場をつかんでおきましょう。今の家がマンションの場合は、同じマンションの売買状況に注目しましょう。
●業者を比べるポイント
その上で、これはと思う業者を選んで査定を依頼します。最初の査定は通常無料ですから、複数の業者に頼みましょう。これには2つの目的があります。1つは複数の査定を通して、売却価格の幅をより正確に予測すること、もう1つは、業者の対応ぶりを比較することです。業者を比べるポイントは、査定の根拠を納得いくまで説明してくれるか、質問にていねいに答えてくれるか、という点です。決して、高値を付けた業者に引きずられないように。査定価格はあくまでも予測で、実際に売却する価格ではないのだということを肝に銘じておきましょう
媒介契約を結ぶ前に業者の信頼性を確かめるには、管轄の役所を訪れて、名簿を閲覧する方法があります。宅地建物取引業は免許制なので、過去に行政処分を受けた前歴があれば、業者名簿に記載されることになっているのです。営業力を知るには、業者のホームページを見て、取り扱い物件の数や広報活動ぶりをチェックするのも1つの手。査定を依頼したときには、「どんな販売活動を行うのか」も尋ねておきましょう。
売却を依頼する業者が絞れたら、媒介契約を結びます。これには3つの種類があります。
①専属専任媒介契約
依頼する側も業者もきちんと義務を負うタイプ。その業者以外には依頼できず、たとえ自分で買主を見つけても、その業者を通さなければ契約できません。その代わり、業者は週1回以上、経過報告する義務があります。業者にとっては、売却すれば必ず手数料が入るのがメリットです。早く確実に売りたいときに向く契約方法と言えます。ただし、積極的に営業してもらえない場合、他の業者に頼めない分、逆効果になる危険性も秘めています。
②専任媒介契約
専属専任媒介契約を少しゆるやかにした契約で、1社としか結べないものの、自分で見つけた買主となら直接契約が可能です。
③一般媒介契約
双方の義務はゆるく、複数の業者と自由に結べる契約。業者が積極的に取り組んでくれるかどうかは物件の魅力にかかっています。売りに出す物件の市場性が高いなら、複数の業者を競わせて、高く売れるところを選べるかもしれません。
業者に支払う報酬は、売り手、買い手の双方が仲介業者に支払います。報酬の限度額は決められていますが、厳密な決まりはなく、実際は話し合いで決めることになります。支払い時期は、契約時に半額、決済時に残金を支払うのがふつうです。
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