土地や建物(建売住宅、中古住宅)を買う場合の契約形態・取引形態についてみていきましょう。土地や建物の取引きには、大きく分けて「直売」「販売代理」「仲介」という3つのパターンがあります。それぞれ、当事者の関係や手数料の有無などが異なるため、土地や建物を探す際、どのパターンかを確認しておきましょう。チラシなどの広告には、明記が義務づけられています。「直売」は、売主自らが販売から契約締結までを行なうものです。最もシンプルな取引きパターンですが、売主が中小の建売業者や個人の場合、営業活動が難しいため、次の「販売代理」や「仲介」のケースが多くなるようです。
「販売代理」は、売主から代理権を付与られた不動産会社が、販売から契約締紡までを行なうものです。この場合、基本的には仲介手数料は発生しません。また「仲介」は、売主と買主の問に仲介の不動産会社が入るものです。売主と買主を引き合わせ、契約が成立すると仲介手数料を受け取ります。仲介手数料の額は、あらかじめ決めておくのですが、法律で上限は物件価格の3%+6万円となっています。
土地の売買で近年、増えているのが「建築条件付き」といわれるものです。これは、簡単にいうと土地の売買の際、あらかじめ建物の工事を頼む建築会社が指定されているものです。「建築条件付き」の土地売買では一般的に、土地の売買契約を結んでから3か月以内に、売主または売主が指定する工事会社と、建物の工事請負契約を締結しなければなりません。もし、この期間に建物の工事請負契約を結ばなかった場合、土地の売買契約は白紙に戻ります。
「建築条件付き」は、あくまでも建物の工事を行なう建築会社が指定されているだけなので、本来は建物の工法や設計は自由なはずです。しかし実際には、指定された建築会社が対応できる工法は限定されており、また設計についても間取りや設備仕様があらかじめセットされている場合が多いようです。したがって、単に土地を買うというだけでなく、建物についても事前によく確認しておく必要があります。もし、「建築条件付き」の土地の売主が、建物について「建売仕様だから書類は出せない」と言うようなら、危険だと判断したほうがよいでしょう。
建築条件付き土地を選ぶ際には、条件を外す方法と上乗せ金額の相場について理解する必要があります。建築条件付き土地は多くの選択肢があり、駅近や価格が安めの部分を見つけることができます。ただし、建築条件付き土地を選ぶか、建物を重視するかは個人の優先順位によります。
建築条件付き土地を選ぶ場合、建築条件を外す方法が気になるでしょう。 一部の場合を除く、建築条件を外すことは難しいですが、相場によって外すことができる場合もあります。外し方には金銭的な負担が発生する場合がございますので、注意が必要です。
上乗せ金額の相場については、具体的な金額を一概に言うことはできません。建築条件の内容や地域によって異なるため、個別の相談が必要です。不動産業者との交渉や専門家の助言を受けることで、相場を把握し、条件の外し方についてより具体的な情報を得ることができます。
建築条件付き土地を選ぶ際には、条件を外す方法や上乗せ金額の相場についてよく考え、自分のニーズや予算に合った選択をすることが重要です。家の専門的なアドバイスや複数の不動産業者との大切に相談して、最適な土地選びを実行しましょう。
「建築条件付き」と並んで増えているのが「売建住宅」です。これは、その名の通り「建売住宅」の逆で、建物を建ててから売るのではなく、売ってから建てるものです。具体的には、まず建築条件付きの土地売買契約と建物の工事請負契約という二つの契約を結びます。この段階では、工事請負契約といっても、簡単なラフプランと工事費の総額が決まっている程度です。その後、建物の建築確認を申請し、許可が下りた時点で「建売住宅」の売買契約に差し替えるのです。この「売建住宅」では、やはり、建物の仕様や設備などが事前には未知数なことが多く、出来上がった建物が予想と違ったという場合が少なくありません。
また、仲介会社が間に入ることが多いのですが、当初は土地の売買契約についてのみ仲介手数料が発生していたのに、「建売住宅」の売買契約に差し替えたとたん、土地・建物の両方について仲介手数料が発生し、金額が大幅にアップすることもあります。「売建住宅」は、手続きが複雑ですし、法的にもあいまいな点が多いのであまりおすすめしていません。しかし、もしそれでもよいという場合は、少なくとも事前に建物のプランや仕様、そして契約を差し替える際の仲介手数料の額、決済条件などをはっきりさせておくことが重要です。
不動産取引では、不動産会社が仲介業者として活動し、売主と買主を繋ぐ役割を果たします。このサービスの対価として、不動産会社には「仲介手数料」が支払われます。
具体的には、物件の売買が成立した際、売主と買主双方が不動産会社に対して手数料を支払います。仲介手数料は不動産価格に対してパーセンテージで計算され、上限は法律で定められています。不動産仲介の具体的な計算方法は以下の通りです。
不動産の価格が400万円以下の場合は、価格の5.5%(税抜)+6万6000円
価格が400万円を超えて700万円以下の場合は、価格の4.4%(税抜)+6万6000円
価格が700万円を超える場合は、価格の3.3%(税抜)+6万6000円
これは売主と買主がそれぞれ手数料の計算方法で、どちらも同じ計算方法で手数料が求められます。
なお、仲介手数料は、成約時に一括で支払われるのが一般的ですが、物件によっては成約金の一部を前払いとして支払うこともあります。 詳細は不動産会社との内容契約によります。
土地や建物を購入する場合、不動産会社の販売担当者の役割は非常に大きいといえます。それだけに、信頼できる販売担当者をみつけることがとても重要であると同時に、こちらも販売担当者に誠実に接する必要があります。信頼できる販売担当者を見極めるポイントは、主に次の5つです。
一方で購入者のほうも、あまりむやみに警戒するのではなく、アンケートや質問には、差しさわりのない範囲で、嘘のない誠実な回答をしたほうがよいでしょう。また、こちらは客だといわんばかりの横柄な態度も、決して自分のメリットにはならないものです。
建物を新しく建てるケースについてみてみましょう。マイホームの建築を依頼する建設会社には、主に広い範囲で活動し建築棟数の多いハウスメーカーなどの建設会社と、ある程度地域限定で建築棟数も少ない、いわゆる地元工務店の2種類があります。会社数で圧倒的に多いのは、もちろん小さな地元工務店のほうです。どちらが良いとは一概にはいえません。それぞれにメリット・デメリットがあり、「人手だから安心」とは必ずしもいえないのです。また、工法やデザインなどについても各社、得意・不得意があります。ただし、会社の規模や知名度にかかわらず、安心できる建設会社を見極めるポイントとしては、次のようなものがあげられます。
以上のような点をチェックすることに加えて、現場見学会に参加して工事途中の様子を見たり、実際に完成した建物に住んでいる人の話を聞くことなども、非常に有効な判断材料になるでしょう。
最初に述べたように、一戸建てを手に入れる際の契約には、土地や建物を購入する「売買契約」と、新しく建物を建てる「工事請負契約」の2種類があります。それぞれ契約内容や手続き、民法上の効力にも違いがありますが、いずれにせよ法律的な拘束力を伴うものです。一度成立すると、簡単には後戻りできません。逆にいえば、契約書に署名し、印鑑を押すまでは基本的に契約は成立していないと考えられます。契約は、必ず事前に詳細な点まで確認し、特に自分にとって不利な点がないかどうかをチェックすることが大切です。
順番は逆になりますが、「工事請負契約」のほうから説明しましょう。「工事請負契約」は、一定の建物をつくってもらうことと引き換えに、代金を支払うという契約です。契約を結ぶ際には、どんな建物をつくるのかの詳細が確定している必要があります。そのためには、打合せに基づいた図而や見積り、その他の書類などがそろっていなければなりません。具体的に「工事請負契約」の際に必要な書類は、次の五つです。
①請負契約書
②設計図面
③見積書
④資金計画書
⑤アフターサービス基準
それぞれ簡単に、チェックすべきポイントを説明しましょう。①は、工事完成のスケジュール、工事が遅れた場合の特約、住宅ローンが不承認になったときの契約解除条件などの項目に注意して熟読し、内容を理解しておくようにしましょう。②は、いわゆる間取りの平面図だけでなく、敷地配置図や基礎伏図、矩計図といった詳細図面までそろっていることが必要です。③は、工事の項目ごとに単価と数量が記載されているものがベストです。「一式」と記載されているよゲなら、要注意です。④は、あとになって予定していなかった支払いにあわてることのないよう、いつ、いくら、どのような方法で支払うのか確認しておきます。⑤は、建物が完成し、入居してから問題になるものですが、たとえば対象除外となる項目など、ひと通り確認しておく必要があります。
売買契約のポイント1
ここからは、土地、建物の「売買契約」におけるチェックポイントを順次説明していきます。まず、売買する対象は通常、土地、建物の所有権という権利です。土地、建物にはこのほか、借地権、惜家権、抵当権などいろいろな権利関係が設定されることがあります。これらの権利関係は、不動産登記情報を見ればわかります。契り削には必ず、取引きする土地、建物の不動産登記情報を確認しましょう。もしかしたら、売主と名乗っている人と所有者が別人だったり、ローンの担保として抵当権がついていたりするかもしれません。
不動産登記情報は平日の午前8時30分から午後9時までインターネットを利用してパソコン上で見ることができます。利用料は「全部事項」で1件500円です。カード決済もできます。よくわからない記載があったら、必ず売主や仲介会社に聞いてみることです。特に、「仮登記≒仮差押」といった登記がついている場合には、トラブルに巻き込まれる可能性があるため、専門家に相談するとよいでしょう。
売買契約のポイント2
不動産の売買契約については、法律で事前に「重要事項説明」という手続きが義務づけられています。これはその名の通り、契鮑圜に一定の重要事項について、宅地建物取引主任者という国家資格をもった担当者が、文書を示して説明するというものです。重要事項説明は、一般的に契約の当日、契約前に行なわれます。しかし、重要事項説明書の内容は非常に専門的で、すぐに理解するのは難しいものがたくさん含まれています。必ず契約のI週間くらい前にコピーをもらって、しっかり読み込んでおきましょう。特に最後の「特記事項」の項目は、どちらかというと買主にとって都合の悪いことが記載されているため、しっかりチェックしてください。不明な点があれば、重要事項説明の場でどしどし質問しましょう。
売買契約のポイント3
いよいよ契約という段階で再度確認しておきたい点がいくつかあります。ここではトラブルが多いポイントを二つ指摘しておきます。一つは取引きのパターンです。不動産の取引きには「直売≒販売代理≒仲介」という三つのパターンがあり、契約書の書式や手数料の金額が違ってきたりします。物件を紹介されたときは「販売代理」だったはずなのに、契約の際には「仲介」になっていて、仲介手数料を請求されたというケースもあります。契約書に印鑑を押す前に、再度、書類を確認することが大切です。
もう一つは、土地の売買における境界の両定です。隣地や道路などとの境界があいまいなままだと、契約後は買主の責任で画定の交渉が必要になります。非常に手間がかかり、費用も発生します。境界画定が済むまでは、契約を見合わせるくらいの慎重さがあってよいでしょう。もし、契約を先に行なうなら、売主が引渡しまでに境界を画定する旨を契約書に明記しておくようにしましょう。
売買契約のポイント4
売買契約は、契約書の内容を読み合わせたうえで署名・捺印し、成立ということになります。その際、もう一度、売買代金の総額、手付金から残金支払いまでの支払い時期と支払い方法、土地や建物の引渡し時期、手付け解除の取り決めなどを確認しましょう。
注意したいのが、「ローン特約」です。上地や建物を購入する際、住宅ローンを利用する人は多いでしょう。この住宅ローンは、土地や建物の売買契約が成立したあとでないと申し込めません。ところが、もし金融機関の審査で希望通りの住宅ローンが借りられないと、資金計画が狂って、買えなくなることもあります。そんなときには、売買契約を白紙解約できるようにあらかじめ取り決めておくのが「ローン特約」なのです。
ただし、売主としては、いつまでもローン特約で解約可能な状態が続くのは都合が悪いので、通常は、ローンの申込みを行なラ期限や、特約を行使できる期限を設けています。なかには、その期限を契約から1週間後などと極端に短くしているケースもあり、それでは逆に買主のほうが不利になります。細かいようですが、こうした契約書の勘所を見逃さないようにしてください。
売買契約のポイント5
売買契約が成立すると、基本的には一方的な都合での解約はできなくなります。ただし、その例外として、いま触れた「ローン特約」のほか、「手付け解除」や相手方の債務不履行などがあります。「手付け解除」というのは、法律上、契約時に買主から売主に支払われる手付金について、買主側からはその全額を放棄し、売主側からはその倍額を買主に返還することで、契約を解除できるとするものです。
ただし、この手付け解除には、「相手方が履行に着手するまで」という制限があります。「履行着手」とみなされる行為には、たとえば売主側では売買の対象物件の登記をしたりその準備をすること、買主側では代金を支払期日に持参することなどがあげられます。ただし、自分がこれらの行為を行なっても、相手の側か「履行着手」にあたる行為をしていなければ、自分からの手付け解除は可能とされています。
現在、大地震への備えが注目されています。建物については倒壊などによって人命が失われる危険があり、特に耐震性の確保が重要です。そのための目安や方法について定めているのが「建築基準法」です。ただ、建築基準法はその第一条にあるように、「建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低の基準」を定めるものです。この「最低の基準」がクリアされているかをチェックするために、設計段階で建築確認申請、竣工段階で完了検査という手続きが設けられています。
しかし、これからの時代には、建築基準法をクリアしていればそれでOKとはいえないでしょう。予算などとの関係もありますが、一戸建て住宅を建てたり購人したIする場合、よ堊咼いレベルの耐震性や耐久性、快適性を求める視点を持つべきです。
建築基準法におけるチェックは基本的に設計段階と竣工段階で行なわれます。しかし、そのほかにも、設計通りに工事が行なわれているか、施工中のチェックが非常に重要です。これを専門的には「工事監理」といいます。このチェック(工事監理)は通常、設計者が行なうことになっています。設計者が定期的に現場へ出かけ、設計図書通りに工事が行なわれているかを確認するわけです。
しかし、監理者が施工者と同じ会社の社員であったり、あるいは施工者の下請けであったりすると、正常なチェック機能が働くかどうか疑問が残ります。工事監理も業者まかせにするのではなく、自分でも現場へ足を運んだ力、また専門的な第三者による品質チェックを行なったりしたほうがより安心でしょう。
平成12年施行の「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき、住宅の性能を統一の基準で比較できるようにしたのが「住宅性能表示制度」です。たとえば、地震の際の損害の程度を示す「構造の安定」、火災の際の避難のしやすさなどを示す「火災時の安全」をはじめ、新築住宅では10の分野で評価するのです。ただし、「音環境」のみはオプションです。
性能評価は、等級や数値で表示され、最低等級である等級1は、建築基準法程度の性能として設定されています。普通の人にはなかなかわかりにくい住宅の性能も、等級や数値で示されるとわかりやすくなります。また、この制度を利用した住宅は、ローンの金利優遇や地震保険の割引が受けられたり、あるいはトラブルがあった場合、迅速簡便な処理が可能な「指定住宅紛争処理機関」に相談できるなどのメリットがあります。
上記の性能評価表示制度の利用は任意で、一定の費用がかかります。 それに、評価される10分野の中には、一方の評価を上げると他方が下がる関係にあるものもあり、すべての等級で最高等級であるほうがよいとはいえません。さらに、評価された性能が実際に備わっていることを保証するものでもありません。そうした限界を理解したうえで、上手に活用しましょう。
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