バカでもわかる『住宅ローン』!! 【2023~2024 どうなる?変動金利?】

【2021~2022】住宅ローンの基礎知識

2021~2022の住宅ローン

 

 

住宅ローンや金利の種類はさまざま

様々な住宅ローン

 

2022年の現在、住宅ローンや金利にはとてもたくさんの種類があります。この選択一つで、返済額が大きく変わって来ます。昨今では「変動金利」と「固定金利」の選択が大きな問題となっています。

 

住宅ローンの支払いは、家を建てた後の生活の充実度にも大きく影響してきます。しかし、住宅ローンは勉強すれば、必ずあなたに合った住宅ローン商品を選ぶことができるようになります。これから20年、30年にもわたって付き合っていかなくてはならない住宅ローンですから、しっかりと理解して選ぶことが重要です。

 

住宅ローンの種類には、

「固定金利型」
「固定金利期間選択型」
「複数金利タイプ組み合わせ型」
「変動金利型」

※「固定金利期間選択型」を選ぶ方は激減しています。

 

などのタイプがあります。これらのどのタイプにもそれそれメリット、デメリットがあるものです。たとえば、「固定金利期間選択型」を選ぶと、基本的には変動金利であるものの、期間中は所定の固定金利による融資が受けられます。その期間は、市場の金利が変わっても借入金利に変化がなく安心感があります。しかし、特約期間終了後に新たなタイプ選択に制限があるため、金利が低い数字で落ち着いたら固定金利型にタイプ変更したいと考えているような場合には、金融機関でよく確認をしておきましょう。あなたは様々なタイプの中から、年齢、家族構成、収入、マイホームプランを考慮し、さらに自分の人生設計に合ったローンを選ぶことが大切です。

 

次に、住宅ローンは、「公的ローン」と「民間ローン」、「その他」に分類することができます。

  • 【公的ローン】財形、自治体融資
  • 【民間ローン】フラット35、固定、変動
  • 【その他】社内融資、公務員共済

 

公的ローンは返済期間が長めで金利も低いためとても有利ですが、高額の融資が受けられないなど、借入限度額に一定の制限があります。物件に対する条件も少し厳しめと言えます。住宅金融公庫は2007年に廃止され、住宅金融支援機構となりました。

 

これまでの優遇制度がなくなるなど融資は少し限られるようになっています。対する民間ローンは、銀行、信用金庫、信用組合などの金融機関や住宅ローンの専門会社、JA、生命保険会社などで取り扱っていて、公的なローンに比べると融資限度は比較的大きめになっています。年収に対する返済金の比率である「返済負担率」も、25~45パーセントと、公的ローンよりもかなり基準が緩くなっているといえるでしょう。民間の金融機関では、勤続年数や勤務形態が問われます。住宅ローンを受けている人が死亡したときには、ローンの残債を保険会社が弁済するという団信(団体信用生命保険)の加入が条件になります。その他のローンの範囲に入る社内融資については、近年、廃止する企業も多いのですが、制度を持つ企業に勤めている人にとってはメリットも大きいでしょう。

 

 

理想のローンの見つけ方

理想の住宅ローン

 

「住宅ローンをどこで借りるか」

 

あなたの資金計画に合致した理想的な住宅ローンを見つけるためには、「どこで借りるか」ではなく、「何を借りるか」に焦点を絞らなければなりません。金融機関ではなく、住宅ローンという商品そのものを見きわめる必要があるのです。大手の都市銀行がOKで、地方の信用金庫がダメということはありません。ネット銀行も同様です。すべての金融機関、すべての住宅ローンを同じ土俵に上げて比較することが大切です。ただし、ネット銀行は現実的にはハードルが高いと考えておいた方が良いでしょう。

 

金利ランキングの上位から検討する

現在、住宅ローンを取り扱っている金融機関は1200社以上あります。商品数でいえば50,000種以上です。非常に膨大な数の住宅ローン商品があるのです。このなかから、あなたにとってベストの住宅ローンを探し出すのは不可能といえるでしょう。しかも、住宅ローンの金利は毎月更新されています。先月までいいなと目星をつけていたローンが、今月は金利が上がって魅力的ではなくなったということも容易に起こり得ます。ではどうするか?

 

簡単な方法としては、ネット上にある「金利情報」をベースに、金利が低い商品から順番に検討していく方法です。これらのサイトをチェックする際は、金利以外の情報にも目を配る必要があります。金利は低いものの融資事務手数料が高いため、トータルで見ればそれほどお得にならないローンというのもあります。「最終的にいくら支払わなければならないのか」は常に意識しておきたいところです。すでに借入額や毎月の返済額はイメージできていると思いますので、それらを基準に一つひとつふるいに掛けていきましょう。

 

住宅ローンの選び方

理想の住宅ローン選び

 

どの住宅ローンを選べばいいのかに迷ったらシンプルに考え直してみましょう。目安となるのは、次の4点です。

 

・資金余裕度

・目標とする完済時期

・ライフプラン、ライフスタイル

・性格、投資センス

 

頭金が十分にあり、月々の返済額の資金にある程度の余裕があれれば、当然ながら、幅広い住宅ローン商品の種類から選ぶ事が可能です。完済時期については、「定年前にローンを完済する」というひとつの考え方があります。定年後、収入がなくなることを考えれば、妥当な考え方と言えるでしょう。年金の見通しが不透明な時代ですから、定年後の資金については、十分に考慮しておくべきでしょう。そうすると、現在30歳の方であれば30年ローン、35歳の方であれば、25年ローン、40歳の方であれば20年住宅ローンを組むということになります。当然、返済期問が短ければ短いほど、月々の返済額は増えます。月々の返済額を増やすくらいなら、その分を貯金して余裕のある暮らしを楽しもう、ということです。将来において年収アップが見込めるなど、返済額が増やせそうな場合は、返済期間を長くし、将来繰り上げ返済を利用すると良いでしょう。

 

ただし、子育て真っ最中のときならば、教育費、交際費など急な出費が必要になることも多々あります。ゆとりのある生活を送るためにも、繰り上げ返済は子どもが巣立った後など、余裕ができたときに検討してみてください。

 

短期間で返済しなければならない場合は、「固定金利」や「固定金利選択型」などの夕イプを選んで残債を早めに返済することも大切ですが、繰り上げ返済を焦るあまりに現在の生活が破たんしたら元も子もありません。二世帯住宅を考えている人には、親子2世代にわたって返済可能な、「親子リレー償還」、「親子ペアローン」といったタイプのものを選ぶこともできます。

 

住宅ローンは素人に相談するな!!

住宅ローンは高額で複雑な「融資商品」だけに、多くの方が誰かよく知っている人に相談したくなるものです。しかし、その相談相手によっては総返済額が300~500万円も変わることがあるので、注意が必要です。特に親に相談するなんて、大きな間違いといえるでしょう。もちろん金融機関にお勤めの親御さんや、不動産業者に従事している親御さんならば、別ですが。

 

相談相手の「立場」を深く理解していなければ、的を射た質疑も、効率のよい住宅ローン選びもできません。誰もが最初に思いつく相談相手は「金融機関」ですが、彼らはいってみれば住宅ローンを企画・販売する【メーカー】なのです。ローン商品や審査についての情報提供はお願いできても、住宅ローンの借入れにより波及する将来的な家計全般の相談相手に適任とはいえません。もちろん担当者によって差はありますが、そもそも金融機関とは、住宅ローンを貸せば貸すほど収益が上がる「利益相反」の立場にあります。借入額が多くなれば借り手としてはうれしいでしょうが、その分、毎月の返済額も増えますので、一概に喜べる話ではありません。

 

不動産会社や住宅販売会社の営業担当者も、基本的には利益相反の立場になります。「それくらい年収があれば十分返済できますよ」「お得な提携ローンを紹介しますよ」という言葉に飛びっくと、あとで痛い目にあうかもしれません。

 

家計の状況を客観的に見られる人に

ファイナンシヤルプランナー(FP)や住宅ローン専門のコンサルタントは、顧客の利益を最大にするという立場にあります。家計の状況を把握し、いくら借りるか、どういう借り方が適正かを、将来的な計画を立てたうえで客観的にアドバイスしてくれる可能性があります。あくまでも可能性です。相談内容に応じて相手を変えつつ、結果に疑問があれば別の人に意見を求めてみることが理想です。

 

また、住宅業者、ハウスメーカーから直接紹介されたファイナンシヤルプランナー(FP)に相談しても意味がありません。住宅業者、ハウスメーカーに利がある方向に誘導されるだけですので、気を付けましょう。

 

銀行住宅ローンの特徴と今後の傾向

 

2022年後半以降は住宅ローンの金利が上昇すると多くの専門家が予想しています。

 

ここ数年行われてきた日銀のゼロ金利政策で、住宅ローンの金利は空前の低金利を記録してきましたが、そのような流れに暗雲が立ち込めています。いうなれば、これまでの低金利が異常な事態だったと言えるのです。今後は住宅ローンの金利の選び方、商品の選び方、借入期間の選び方などが重要になってくるでしょう。

借入条件は金融機関によって異なる!!

民間の住宅ローンは各金融機関が競い合い、様々な商品を揃えています。ですから、金利や保険も異なるのはもちろん、借入の条件に関してもかなりの違いがみられます。

 

年収400万円以上で返済負担35%以内が目安!!

住宅ローンには年齢制限があります。多くの金融機関が「満20歳以上」としており、一部で25歳や26歳を下限としてるケースが稀にあります。いずれにしろ、安定した収入があることが大前提となります。勤続年数や営業年数などに下限を設けている場合がほとんどです。多くの場合は1年以上の勤務が条件になっています。年齢の上限は団体信用生命保険に加入できる年齢に対応させているケースが多く、借入時が70歳前後で完済時は80~85歳前後までが主流となっています。「71歳未満」「80歳の誕生日まで」など金融機関によって少し異なり、一部の金融機関では借入時を65~72歳前後までに制限しているケースもあります。

 

借入金額の上限は一部を除いて1億円となっていますが、下限については30万~1000万円までさまざまで、なかには下限を設けていない金融機関もあります。いずれも住宅の担保評価額の範囲内が一般的となっています。借入金額の単位は1万円か10万円のいずれかになっていますが、最近では10万円単位が主流になっています。。また、どのような金融機関でも収入に占める返済額の比率に制限を設けています。具体的な基準は金融機関ごとに少し異なりますが、年収400万円以上の場合は35%以内としている場合が多いようです。この場合、返済額には住宅ローン以外の自動車ローンやカードローンなども含みます。また返済額を計算する際の金利は実際の適用金利ではなく、少し高めの基準金利になるのが通常です。

 

元金均等やミックス返済を賢く選ぼう!!

返済期間はほぼすべての金融機関が35年以内となっています。(最近では金融機関によっては、一部50年や60年の返済期間が設けられているケースもあります。)借入金額の単位は1年と1か月の2パターンがあります。返済期間は少しでも短いほうが支払い利息が軽くなるので、月単位で細かく調整できるほうが良いでしょう。なお、借入金利で固定期間選択型を選ぶ場合は、当初の固定期間より長い返済期間で借りる必要があります。また、返済期間が10年未満だと住宅ローン控除が受けられなくなるので気を付けましょう。

 

返済方法は毎月の返済額が一定となる元利均等返済が一般的ですが、返済が進むにつれて返済額が軽くなる元金均等返済を選べる金融機関もあります。ただし当初の支払い額は、元金均等返済のほうが高くなります。地方銀行は元金均等返済が選べないところもあります。元金均等返済はローン残高の減り方が早いというメリットがありますが、当初の返済額が重くなるので注意が必要です。

 

また、複数の金利を組み合わせて借りる金利ミックス返済も、多くの金融機関が採用しています。組み合わせる金利の種類や金額を自由に決められるケースもありますが、金利は2種類までなど組合せ方に制限が設けられている場合もあります。さらにはペアローンなど、様々な商品が登場しています。

 

「保証料あり」の利点とは

住宅ローン商品を比較する上で非常にややこしいのは、「保証料」の扱いが金融機関によって異なる点ではないでしょうか。保証料とは金融機関が用意する保証会社に支払うもので、これによって連帯保証人の役割をしてもらうのです。

 

住宅ローンを住宅金融公庫で借りるのが主流だった昔の時代は、保証料を払って保証協会に加入するか、連帯保証人を立てるか選択できました。保証料は金額が張るので、親に連帯保証人になってもらって、保証料を節約する選択肢もありました。現在では都市銀行をはじめ一般的な銀行で住宅ローンを借りる際には、保証会社と保証委託契約を結ぶのが必須条件となっています。昔の金融公庫のように「連帯保証人を立てるので保証料は払わない」などということはできません。

 

一方、インターネットバンクやモーゲージバンク(フラット35を取扱う住宅ローン専門の金融機関)など新しい金融機関には、保証料の支払いがありません。そもそも第三者と保証委託契約を結ぶ制度がなく、保証会社をつけずに金融機関がしかに融資をします。ただし、事務手数料が保証料と同じくらいかかるケースがほとんどです。トータルの諸費用が安いとは一概にはいえません。これに関しては詐欺チックな印象もあります。金利競争力があるローンは、おおむね「保証料は不要だけれど、事務手数料が同程度かかる商品」と「保証料がかかるけれど、事務手数料が安い商品」にわけられます。そして「保証料がかからず、事務手数料も安い」住宅ローンは、金利が高い傾向にあります。では、ほば同じ金額を払うのであれば、どちらを選択しても変わらないのでしょうか。いいえ、保証料として払ったほうがお得です。

 

保証料は外払い方式で一括払いが有利

住宅ローンには金利以外にもさまざまな負担があります。それらの金額や支払い方法も、金融機関やローンのタイプによって異なりますので、そうした各種負担も考慮して住宅ローンを選びましょう。まずは、保証料があげられます。これにはローン契約時に一括払いする外払い方式と、金利に上乗せして毎月支払う内払い方式があります。35年元利均等返済だと100万円当たり2万520円ですから、3000万円なら約60万円ということになります。これに対して、内払い方式では金利が0.2%上乗せされます。

 

借入額3000万円、金利3%、35年元利金等返済の場合を例にとると、外払い方式の毎月返済額は11万5455円となります。これを、保証料を内払い方式にして金利3.2%で計算すると、毎月返済額は11万8829円と3374円増え、35年間の総返済額では約154万円の増額になります。外払い方式の保証料を差し引いた総支払額でも約80万円、内払い方式のほうが多く、外払い方式のほうがかなり有利だといえそうです。もっとも、当初の保証料約60万円を手元に残して運用すれば、35年の問に80万円増やすことは可能かもしれません。運用に自信のある人や、いろんな事情から手元に一定の資金を残しておきたいという人は、内払い方式を選ぶとよいでしょう。

 

多くの民間ローンでは 団体信用生命保険は無料

民間ローンの多くでは、団体信用生命保険(団信)への加入が義務になっています。団信とは、ローン返済中に名義人が死亡したり高度障害になった場合に、その時点のローン残高分の保険金が銀行などに支払われて、ローン残高がゼロになる大変ありがたい保険です。その結果、家族には、住宅ローン負担のない住まいが残ります。加入が義務づけられている民問ローンでは、団信の保険料は金利のなかに含まれており、保険料を別途負担する必要はありません。しかし、一部には任意加入の金融機関もあります。その場合には、金利に0.3%から0.4%の保険料が上乗せされます。そのため、実質金利がかなり高くなるので、注意が必要です。

 

また、フラット35ではやはり加入は任意ですが、加人する場合には保険料を年1回支払う年払い方式になります。 フラット35では当初 の 手数料に注意が必要  住宅ローンの事務手数料にも注意が必要です。一般の銀行ローンでは3万1500円などの定額制が普通です。また、提携ローンでは別途、不動産会社などへの手数料支払いが必要になることが多く、こちらも5万2500円などの定額制です。ただし、フラット35では、定額制だけではなく定率制の手数料を採用しているところもあります。現在は、借入額の2.1%に設定しているケースが多いようです。定額制では借入額にかかわらず3万1500円というのが大半ですが、2.1%の定率制だと借入額によって金額が変わり、3000万円では63万円になります。フラット35は、利用する金融機関によって金利が異なりますが、金利が低いところは定率制で、手数料の安い定額制のところは金利が高めになっています。利用者の立場からすれば、最初に多くの負担をして金利を低くしてもらうか、最初の負担を軽くして、金利が高いのをガマンするかの選択になるわけです。なお、定率制、定額制どちらかを自由に選択できる金融機関もあります。その場合、金利は0.2%ほど違ってきます。借入額3000万円の場合、総返済額と当初の手数料を合計した総支払額を比較すると、35年返済では、定率制のほうが約87万円少なくなります。金利の低い定率性が断然有利なのです。しかし、返済期問が短くなるとその差が縮小し、15年返済だと定額制のほうが有利になります。借入額、返済期問など条件別に試算して、どれが最も有利なのか検討する必要があるでしょう。

 

金利の種類・優遇内容は金融機関によって違う!!

 

金利の種類、利率、優遇内容に関しては、金融機関によって大きく異なります。地方銀行は横並びの傾向になりますが、都銀は独自の商品が魅力となっています。

 

金利優遇は全期間引き下げと当初期間引き下げの2種類!!

金融機関では毎月、住宅ローンの店頭金利を発表していますが、実際にはそこから一定の幅を引き下げた金利が適応されています。この金利優遇には「全期間引下げ」と「当初期間引下げ」の2タイプがあります。全期間引下げは、返済当初から完済までずっと同じ引下げ幅が適用されるタイプです。固定期間選択型の固定期間が終了したときに、新たな金利を選択すると適用金利が変わりますが、金利の引下げ幅は変わりません。ただし金融機関によっては変動型と固定期間選択型とで金利引下げ幅に差を設けているケースもあります。

 

一方、返済当初は金利引下げ幅がとても大きく、固定期間終了などで金利を切り換えると引下げ幅が縮小されるタイプが当初期間引下げです。縮小後の引下げ幅は全期間引下げと比べて小さくなるケースがほとんどなので、2年固定や3年固定など固定期間の短い金利では有利とはいえない場合が多いでしょう。固定期間が10年以上の金利であれば、当初の大幅な金利引下げのメリットを享受しやすいといえます。また固定期間によって引下げ幅が異なるケースも多くなっています。

 

返済能力が高いと金利が下がる!!

金利優遇の2つのタイプについては、どちらかを選べる金融機関が多くなっていますが、どちらか一つだけ扱っている場合もあります。変動型については全期間引下げ夕イプのみとなるのが一般的です。また借換えの場合や提携ハウスメーカー経由など、金利優遇が適用されるケースが限定される金融機関もあります。

 

最近の傾向としては、「1.5~1.0%引下げ」などと金利引下げ幅に「幅」をもたせているケースが増えています。これは、借りる人の返済負担率や頭金の比率などによって、優遇内容に差をつけるということです。返済能力が高く貸倒れリスクの小さい貸出先に対しては、引下げ幅を大きくして低い金利で融資するという方法は、企業向け融資などでは一般的見られます。

実は住宅ローンも借りる人の信用力によって金利に差がっくようになっているので、なるべく頭金を多く用意するなど、余裕のある資金計画を心がけるようにしたいものです。とはいえ、金融機関による金利競争が激しくなっていることも事実なので、複数の金融機関に相談して、より有利な条件で貸してくれるところを選ぶのも、賢い借り方といえるかもしれません。

 

 

「フラット35」(長期固定金利)の特徴

理想のフラット35

 

「フラット35」は、民間の金融機関と住宅金融支援機構が提携して、2008年に生み出された低金利、長期固定金利の住宅ローンです。民間ローンに含まれますが、取り扱い金融機関によって内容が異なりますし、旧公庫時代よりも条件緩和がなされて借りやすくなっています。公的ローンと民間ローンのメリットを共有しているタイプでもあるので、他のローンよりもメリットは考え方にによっては、とても大きいといえるでしょう。

 

フラット35の特徴は以下の通りです。

 

原則、最長35年の長期固定金利
所要資金の90パーセントまで貸し出し
保証人、保証料とも不要
団体生命保険任意、繰り上げ返済の手数料が無料
適合証明の交付が必要
職種や勤続年数といった個人属性の制限が少ない
返済額は年収の30~35パーセント以内
他のローンとの組み合わせが可能

 

多くの方が30代、あるいは40代でマイホームの取得をしています。30代・40代はこれから子どもたちの教育費負担が増えてきますし、何かと物入りな年代と言えます。年齢的には定年までまだある程度の年数があるので、基本的には、最長返済期間でもいいので、ゆとりのある返済計画を立てるのがベストでしょう。また、金利上昇リスクのない全期間固定金利型を利用するのが無難と言えるでしょう。

 

35年というと、ずいぶん長く、精神的にも住宅ローンが重くのしかかってきそうですが、実際のところは、繰上げ返済などで期間を短縮して、早く完済する人が少なくない現実があります。メガバンクなどのローン担当者の話では、35年返済で組んでも、20年程度で返済を終える人が圧倒的に多いそうです。ゆとりをもってスタートして、余裕ができたら繰上げ返済していくという考え方が、30代では特に大切かもしれません。具体的には、フラット35で35年返済を利用するといいでしょう。

 

フラット35の商品内容も金融機関によって差がある!!

最近(2022年)では都市銀行や一部の信託銀行ではフラット35も扱っています。一般的なのは住宅金融支援機構がローンの債権を金融機関から買い取る「機構買取型」と呼ばれるタイプですが、「保証型」の夕イプを扱っている金融機関もあります。保証型は金融機関が保有するローン債権を機構が保証するもので、繰上げ返済が1円(機構買取型は100万円)から可能だったり、各種金利優遇が受けられるなど、金融機関による独自の商品内容とすることが可能です。

 

また金融機関によっては、フラット35の手数料を定額型か定率型(保証料型・手数料型)かのいずれかから選べるケースもあります。定率型は手数料が借入額の2.1%と高めですが、適用金利は低くなります。このようにフラット35などの全期間固定型ローンは、金融機関によって費用も大きく異なるので、返済額と費用のトータルで比較することが大切です。

 

このほか、住宅ローンに付帯するサービスとしてガンなど主要な疾病保障を扱うケースが増えています。保険料を金利に上乗せする場合や別途支払う場合、無料とする場合など金融機関によって取扱いはさまざまです。また、持病などで通常の団信に加入できない人でも入りやすいワイド団信や、繰上げ返済を自動で行なうタイプ、預金とローン残高を相殺できるタイプなど、ユニークな商品を扱っているところもあります。

 

フラット35Sなら 金利が0.3%低くなる!!

この年代なら購入する住まいにもこだわりたいものです。フラット35は、住宅金融支機構が独自の技術基準を設定していて、図面や現場検査などが必要になります。その分、より安心感が高まるわけです。そこで、4200万円の新築戸建て住宅を、フラット35で3600万円借りて購入するケースをみると、毎月返済額は13万8345円になります。年収700万円であれば、返済負担率は23.5%となります。返済負担率からすると、ギリギリのラインで、できればもう少し負担率を下げたいところです。そこで、建物にこだわって、より有利な条件でローンを利用できる物件を探してみましょう。実は、住宅金融支援機構には、「フラット35S」と呼ばれる、優良住宅取得支援制度があります。

 

フラット35Sが狙い目!!

下にある4つの条件のうち、いずれか1つを満たす物件に適用されます。バリアフリー性、省エネ性、耐震性、耐久性のいずれかにすぐれた物件であれば、当初10年間の金利が0.25%低くなるのです。2.15%のローンなら1.95%になるのです。借入額3500万円であれば、当初10年間の毎月返済額は13万2393円となります。通常のフラット35に比べると5500円ほど負担が軽減されます。その結果、返済負担率も22.1%と、かなり25%を切る安全ラインにすることができます。いわば、「いい住宅にはいいローン」がつくということです。住宅への満足感や安心感が高まるうえに、ローンの負担も軽減されます。最近はフラット35Sを利用できる物件が増えていますから、ぜひ考えておきたいポイントです。

 

フラット35Sはとても魅力的!!

さらに2015年6月からは、金利引き下げ期間が20年に延長される「フラット35S(20年金利引き下げタイプ)」が登場しました。フラット35Sより、さらに一段、性能がすぐれた住宅が対象になります。耐震等級3の住宅や、200年月からスタートした長期優良住宅認定住宅なら、自動的に適用対象になります。この場合、借入額を3600万円とすると、毎月返済額が13万2393円になる期間が20年に延び、総返済額も格段に少なくて済みます。通常のフラット35で3600万円借り入れると、35年間の総返済額は約5810万円ですが、フラット35Sになると約5694万円にダウンし、さらにフラット35S(20年金利引き下げタイプ)では約5611万円になります。20年金利引き下げタイプは、通常のフラット35より約199万円も総返済額が少なくて済むのです。

 

フラット35Sの適応条件
項目 フラット35S フラット35S(金利引き下げタイプ)
バリアフリー性 高齢者等配慮対策等級 3、4または5の住宅 高齢者等配慮対策等級4または5の住宅
省エネルギー性 省エネルギー対策等級4の 住宅 「エネルギー使用の合理化に関する法律」に基 づく 「住宅事業建築主の判断基準」に適合する住宅
耐震性 耐震等級2または3の住宅 免震建築物 耐震等級3の住宅
耐久性・可変性 劣化対策等級3、かつ維持 管 理対策等級2または3の住宅 長期優良住宅

 

実は「長期固定金利」がおすすめ!?

2016年3月のマイナス金利導入後、住宅ローン金利は史上最低を記録し、異常なまでの低水準をこれまで維持しています。とくに下降が著しいのが長期固定金利です。長期固定金利の代表であるフラット35は、2016年8月に35年固定が0.9%(自己資金1割以上の場合)となり、2022年5月現在でも1.3%を保っています。

 

長期固定金利は、10年国債の利回りである「長期金利」に連動しています。一方、変動
金利は、銀行が優良企業に短期間の1年以内で貸しだす最優遇金利「短期プライムレート」が指標となっています。マイナス金利後に急低下しだのは長期金利であって、短期プライム
レートはまったく動いていません。そのため、この1〜2年で低下が目立っている住宅ローン金利は実は長期固定金利なのです。

 

将来の金利動向は誰にもわからない以上、「変動金利がよいか、固定金利がよいか」には
正解がありません。現在の金利水準がいかに低いかという客観的事実を踏まえ、あとは家
計におけるリスク許容度や自分自身の相場観で決めるようにしてください。

 

固定金利と変動金利の仕組み

住宅ローンを選ぶときには、どの金利タイプを選ぶのかが非常に重要です。最近では住宅ローン金利が下がり、様々な考え方で選んでいるようです。住宅ローンの金利には「固定金利」と「変動金利」があります。固定金利とは利率が一定で変わらない金利のことで、その期間内であれば、景気が上向いて金利が上昇しても、契約時の金利が完済まで適用されます。変動金利はそのときの金利情勢によって金利が変動します。基本的には年に2度、金利の見直しがなされます。景気がよくなれば、それに伴って金利も上昇し、逆に景気が悪くなると金利も低くなります。通常は、固定金利のほうが変動金利よりも金利が高めに設定されています。

 

金利が上昇しそうなときなら、長期間の固定金利でローンを組むことによって、金利上昇に左右されずに返済が可能です。逆に、固定金利で借り入れたものの、金利が下かってしまったときは返済分の金利が変動しないため、割高で返済しなければならなくなります。変動金利の場合は、景気が減退傾向にあるときなら、借入時より金利が下がる可能性があります。低金利のときなどに変動金利にしておけば、固定金利よりも利率が低いので得になります。ただし、借り入れ時よりも景気がよくなり市場金利が上昇すれば、返済総額は一気に大きくなってしまいます。

 

また、金利の種類にもさまざまなタイプがあります。たとえば、「固定金利型」ならば、利率が常に一定なので、家計管理がしやすくなります。「固定金利期間選択型」ならば、固定期間終了時のタイプ選択に制限が出てきますから、注意を払わなければならないことはすでに述べたとおりです。「変動金利型」の場合は、金利は半年ごとに、返済額は5年で見直します。金利が上昇したきは、返済額よりも利息額が超えてしまったときに「未払い利息」が発生することもあります。民間の金融機関では、預金やローンの利用状況によって、通常表示されている金利よりも一定期間低い金利の優遇金利やキャンペーン金利が適用されることがあります。ただし、優遇期間終了後にどのように金利が変わるのかは確認しておかないと、思わぬ出費を強いられることになります。

 

変動金利型のメリットとデメリット

変動金利で住宅ローンを借りる際は、ほとんどの人は現状では元利均等返済を選ぶと思います。元利均等返済とは、最初から最後まで毎月一定の金額を返済する方法です。借入当初は返済額のうち利息が占める割合が多いのですが、年数が経過するにつれ元金が占める割合が多くなっていきます。そして、変動金利の元利均等返済を選択した場合、多くの銀行で採用されるのが「5年ルール」と「1.25倍ルール」です。それぞれの特徴を詳しく見ておきましょう。

 

変動金利型は、店頭表示金利からの引き下げ輻がいちばん大きく、低金利メリットを最も活用し やすい金利タイプといえます。全期間固定金利型は、フラット35でも2%台後半から3%前後ですし、民間だと3%以上がほとんどです。固定期問選択型も金利引き下げ幅が小さくありませんが、それでも適用金利は1%台半ばから2%前後になります。これに対して、変動金利型の場合、引き下げ幅の小さい金融機関でも1%台半ばの金利で利用でき、引き下げ幅が大きいところでは、1%台前半の低い金利。さらに不動産会社と提携したローンのなかには、店頭表示から1.6%引き下げて0.857%など、1%未満で利用できるケースも珍しくありません。

 

金利だけをとらえて考えるれば、何といっても変動金利型がいちばん有利であるのは間違い事実です。このため、最近は変動金利型を利用する人が大半となっています。3~5年前までは全体の2割から3割程度だったのが、最近では約8割が変動金利の利用者という金融機関も多くなっているようです。しかし、この変動金利型の適用金利や金利上昇時のリスクなどについては、十分に理解していない人も少なくありません。これではローン事故のもとともなるので、十分に注意したいところです。

 

金利動向に応じて5年ごとに返済額見直し!!

変動金利型ローンというのは、簡単に言えば、市中の金利動向に応じて住宅ローンの適用金利も変わるローンのことです。借入後は半年ごとに適用金利の見直しが行われます。ただし、頻繁に返済額が変わるのでは資金計画を立てにくいので、返済額の見直しは5年に1回となっています。それも、大幅な増額は家計への影響が大きいため、金利が上がって増額される場合でも、「それまでの返済額の25%増しまで」とい25%ルールがあります。その5年までの間に金利が変わった場合には、返済額はそのままにして、元金と返済額の割合を調整します。金利が上がれば元金部分の割合が少なくなり、利息分か増えます。つまり、当初の予定より元金の減り方が遅くなってしまうわけです。反対に、金利が上がったときには、元金分が増えて利息分が減ります。

 

したがって、金利低下時には、当初の予定より早く元金が減りますし、5年後の返済額も減額されます。このローンには、メリット・デメリットがありますが、最大の魅力は何といっても金利が低いことです。全期間固定金利型は2%前後が多いのですが、変動金利型は金利引き下げで、実質1%以下で利用できます。

 

変動型は年2回金利が見直される!!

変動型はほとんどの金融機関で選ぶことが可能です。変動型の金利の多くは短期プライムレートなどの短期金利に連動しますが、一部では長期金利連動型のものも扱っているケースがあります。金利の見直しは半年ごとの年2回がスタンダードです。

 

固定期間選択型の固定期間に関しては3年、5年、10年はどこでも扱っていますが、それ以外の期間は金融機関によりまちまちです。最も短い固定期間は1年で、最も長いものは30年まであります。全期間固定型は20年以上の期間で、5年ごとに金利に差を設けるケースが一般的ですが、期間にかかわらず一律の金利を適用する金融機関もあります。一部では20年より短い期間の全期間固定型を扱っています。

 

5年ルール

変動金利は原則として年に2回見直しされるが、仮に金利が上昇した場合でも、急激に返済負担が増えないよう「5年間は返済額を変えない」というルールです。たとえば、毎月の返済額10万円の内訳が元金6万円十利息4万円だとします。金利が上昇しても返済額は10万円のままにし、内訳を元金5万円十利息5万円というように変えていきます。

 

1.25倍ルール

返済額は5年ごとに見直しますが、金利上昇時でも直前の返済額の1.25倍までしか増額しないというルールです。たとえば、毎月の返済額が10万円ならば、どんなに金利が上がつでも次の5年間の返済額は12万5000円か上限です。金利上昇局面で返済額がどんどん増えないよう、5年間隔で段階的に引き上げていきます。

 

1.25倍は、毎月の返済額が急激に上がらないメリットがあります。その半面、金利の上昇時には、元金が減るスピードが遅くなるデメリットもあるのです。最終返済の時期に未払いの元利金がある場合は、最終返済日の返済額にそれが加算され、一括で返済することになります。

 

未払い利息・・・変動金利の罠!!

変動金利では金利上昇時のリスクが極めて大きいというデメリットがあることを知っておく必要があります。これは実際に上がると大きな問題となるでしょう。金利が上がったときにどんな問題が出てくるのでしょうか。

 

借入額3000万円、金利0.75%、35年返済の場合の毎月の返済額は8万1576円です。返済額の内訳を見ると、1回目の元金は6万2202円で、利息が1万9374円。返済が進むと元金分が徐々に増えて利息分は減少、12回目の利息分は1万8932円です。このまま金利が同じであれば、13回目の利息分は1万8891円ですが、金利が0.5%上がると、利息分は3万1079円になります。返済額は変わりませんから、差し引きした元金分は5万497円に減ってしまいます。たった1%の上昇では利息が4万3266円で、元金は3万8310円まで減少します。そしてさらに、3%上がると、利息分だけで9万1409円と、毎月返済額の8万1576円を超えてしまいます。

 

つまり、毎月81576円を返済しても、利息分にも満たない状態になります。利息分か9833円残ってしまい、これを『未払い利息』といいます。約束通りに返済しても、元金が減らないどころか、未払い利息が残って、実質的に元金が増えてしまう状態といっていいでしょう。金利が3%上がったままの状態が返済額見直しまでの4年間続いたとすれば、未払い利息の累計は約47万円にも達します。

 

返済期間が長いほど実際には、未払い利息のリスクが2.57%上がって、金利が3.35%になったときに未払い利息が発生します。かつてのバブル期には金利が7%台まで上がったことがありますから、3%台の金利は決してあり得ない金利とはいえないでしょう。ただ、これは返済期間が30年、35年などの超長期の場合のみです。返済期間を10年にすれば、リスクは格段に小さくなります。金利が11%以上にならないと未払い利息は発生しません。比較的短い返済期間の人は、積極的に金利の低い変動金利型を使うのが得策ですが、超長期返済の人は、極力避けるべきなのです。

 

金利見直しルールやをしっかりと理解すること!!

変動金利型ローンは原則的に半年に1回金利が見直されます。しかし、返済額がそんなに頻繁に変わっては返済計画を立てにくいので、返済額の変更は5年に1回で、増額する場合でも25%までに抑えることになっています。しかし、5年の間に金利が変化すると、返済額は変わらなくても、返済額に占める元金の割合と利息の割合が調整されます。金利が下がれば元金の割合が増え、金利が上がれば利息の割合が増えるのです。そして、極端に金利が上がった場合には、未払い利息が発生することもあります。つまり、毎月返済額では利息分を払いきれず、利息の一部を積み残してしまうことになるのです。もちろん、反対に金利が下がれば元金の減り方が大きくなるので、金利低下が見込まれる時期なら、逆にメリットになります。しかし、現在のような低金利のときには、その可能性は小さいでしょう。

 

金利が4%近くになると 未払い利息が発生する

では、実際にどれくらいの金利上昇でこの未払い利息が発生するのでしょうか。具体的な数字でチェックしてみましょう。金利1457%、35年返済で、3000万円借り入れた場合の毎月返済額は9万1488円。120回終了時の残高は約2934万円です。この時点で適用金利が1%上がると、月々の利息は、残高約2934万円の2.457%の12分の1ですから、6万445円。返済額は変わらないので、元金分は3万947円となります。金利が同じなら元金分は5万円台ですから、元金の減り方が格段に小さくなることがわかります。

 

金利が3%上がると、利息だけで11万円近くになり、毎月返済分に2万円近く不足します。これが未払い利息です。金利が下がらない限り、この未払い利息が元金にどんどん加算されます。実質的に元金が増えるのと同じことになってしまいます。この場合には、適用金利が3.6%以上になると発生することになります。変動金利型を利用するときには、こうしたリスクを理解しておく必要があるのです。

 

ダメモトで金利交渉をしてみよう

銀行の住宅ローン獲得競争が続いています。銀行は顧客を呼び寄せようとあの手この手を使って競争に勝ち抜こうと必死です。今までは頼んでも決して下げてくれない金利でしたが、借りる人の条件によって個別に住宅ローン金利の引き下げ交渉にも応じているようです。

 

表向きは、新規の場合はなかなか金利引き下げ交渉には応じてもらえません。相見積もりをとって他銀行を引き合いに出しても、「そちらで借りてください」と言われることも。サラリーマンの場合、給与振込銀行であってもそれまでの付き合いは考慮されないのが実情です。

 

ただし、雇用が安定している大企業の社員、公務員など、役職が高い方、年収が高い方、貯蓄をたくさん持っている方、余裕資金や退職金で投信や保険を買ってくれそうな方は交渉の価値ありです。また、住宅ローンの勉強をしっかりしていて、資金計画をきっちり立てていることを見せると交渉に応じてくれる銀行もあります。たとえ金利を下げてもらえなくても、「来月はあちらの銀行より金利が下がりますから、それまで待てませんか?」という情報をくれることもあります。ダメモトで金利交渉をやってみましょう。

 

 

変動金利が「正解」という現実

「変動金利は必ず上昇するから、固定金利で借りたほうがいい!!」「変動金利は危ない!!」といわれる理由は、もし金利が上がったときに月々の返済額も上がってしまうからです。

 

しかし、そもそも変動金利で借りた場合、毎月の支払額は5年間毎固定されます。半年ごとの金利見直しでご元金と利息の割合は変化しますが、元金と利息の合計額は5年間はまったく変わらないのです。また、変動金利のシステムには救済ルールがあります。つまり、5年後の支払額見直しの時に、いかに金利が上がっても支払額はプラス25%までと決められているのです。したがって変動金利で月々10万円のローンを組んだとして、それから急に景気が良くなって金利がぐんぐん上がったとしても、5年後の支払額見直しの時に月々12万5000円以上の支払にはなりません。

 

もちろんそれ以降も金利がどんどん上がっていけば、たしかに危険ですが、前述のように金利が一方的に上がっていくということは考えられません。「金利の変動には10〜20年くらいの周期がある」というのが定説ですから、たとえ最初の5年で金利が上がったとしても、次の5年は下がる可能性のほうが高い。たとえ再び上がるとしても、そのまた次の5年間で、ということになります。結局、ならしてみれば平均的なところで納まっているだろう、と考えられるわけです。

 

とグダグダと講釈を述べてきましたが、「上がったら」「上昇したら」を想定すること自体がナンセンスなのです。極めて危険な言い方をすれば、当面は上がらない、上昇しないのです。

 

もしもいま現在2.75%程度の金利が、バブル期のような7%とか8%になったとしたら、それはたしかに大変なことになります。月々の支払がプラス25%以内におさえられても、未払いの利息がどんどん発生し、かえって借金が増えていく事態になります。しかし、そのような急激な金利上昇が起こる要素を現状で見つけることはできません。

 

固定金利というのは金利変動のリスクがないかわりに、現状では変動金利よりも高く設定されています。したがって、変動金利にはたしかにちょっとしたリスクはありますが、それは恐れるほどではなく、現実的には変動金利によって結果として低金利のメリットを受けている人のほうが圧倒的に多いのです。いえ、圧倒的ではなく、100%そうなのです。その状況がそう簡単に変わることは、現状ではあまり考えられない、ということです。

 

 

変動金利が急上昇しない3つの理由

 

「金利がどんどん上がる」というのは、経済音痴の仮説にすぎません。もしも経済評論家の「金利が上がる」という予測がいつも当たるのであれば、その評論家は本業を投資のアドバイザーにしたほうが多くの人に喜ばれるでしょう。しかし、彼らはそうはなっていません。

 

ごくまれに経済評論家やアナリストが住宅ローンについて語っていたりしますが、彼らは住宅ローンの金利という一部分に詳しいだけです。多くの場合が「机上論」になります。そんな評論家の言説を真に受けて住宅ローンの大部分を語るから、おかしなことになるのです。それよりも銀行の立場から考えてみましょう。その理由は単純です。なぜなら、住宅ローンは銀行から借りるものだからです。銀行の本音からしたら、なるべく高い金利で貸したいところです。しかし、そうはできません。なぜかというと、いかに貸す立場にあ・ろうとも、「金利動向」「顧客」「競合」を無視して、金利を決めることはできないからです。

 

その1「金利動向」という理由

銀行が住宅ローンの金利を決める際に参考にするのが「無担保コール翌日物」や「新発10年物国債」の利回りです。住宅ローンの金利にも日銀の金融政策が非常に大きく影響しています。当然、国の財政を無視するわけにはいきません。日本はここ数年多額の国債を発行してきたので、2021年12月末での一般会計の歳入不足を補填する普通国債の発行残高は724兆3758億円という過去最高の額に膨れ上がっています。そして、その国債の償還のために新たに国債を発行しているという状態です。金利が上昇すると、過去の借金の返済のために新たに高い金利で借金をするということになります。それは財政負担、つまりは国の財政悪化に直結します。

 

さらに、国の財政悪化には少子高齢化という問題もかかわってきます。一般歳出の割合が減っているにもかかわらず、そのなかの社会保障関係費の増加は避けられません。その点だけを見ても、明らかに国の財源は火の車だということは普通に生活していてもわかるでしょう。財政が悪化したらどうするか? 納税や社会保険料の負担を増加させてその穴を埋めようとしますので、私たちの財布が痛みます。私たちの財布が痛むと予想されれば、財布のひもは堅くなり、消費は悪化し、またもや景気も冷えてデフレに戻ります。

 

そんなリスクを負ってまで、日銀が「金利急上昇」するように仕向けるでしょうか?私はそうは思いません。金利が急上昇したら大変なことはだれもがわかっていますから、当然それを回避しようとするでしょう。そもそも「高金利=バブル」で苦い経験をしたのですから、くり返したくはないはずです。ですからこのまま景気回復が順調であれば、住宅ローンのもとになる金利は確かに上昇するけれども、上がり方としては穏やかに上がると考えるのが妥当でしょう。

 

その2「顧客への配慮」という理由

今この瞬間にも住宅ローンの返済をしている人はたくさんいます。住宅ローンの金利を上げれば、今借りている人たちの返済にも大きく影響を及ぼします。景気回復といっても、給料の見直しはたいてい年に1回ですし、給料で景気回復を実感している人は今のところさほど多くないのが実情でしょう。つまり、住宅ローンの金利を上げるということは、今貸し出し中のローンが焦げつくリスクも上がるということです。2021年度で変動金利を利用して住宅ローンを組んだ割合は約7割になっています。

 

返済の滞るリスクは銀行ではなく、保証会社にあるといったところで、その保証会社は銀行の関連会社です。それに消費者金融に対する利息の過払いなどの件で、返済について監督官庁はもちろん、世間の目は厳しくなっています。しかも大手銀行は、税金で救われて、何百億円、何千億円もの最終利益を出しても、諸々の手数料はしっかりと取っています。「そのうえローンの金利まで上げるのか!」という悪評も無視できません。量的緩和が解除されて、ローン金利だけでなく預金金利も上昇したのは、そのような「顧客の声」が少なからず影響したのです。

 

金利が急上昇したら「家を買うのはやめようか」と思う人がおのずと増えます。そうなると銀行は儲かりませんし、住宅業界や建築業界にもたらされるであろう経済効果も見込めなくなり、またデフレを誘発する悪循環にもなりかねません。そのため、ローン金利の急上昇は抑制されるということです。

 

その3「銀行間の競合」という理由

住宅ローンは規制が緩和された結果、銀行間の競争が非常に激しくなっています。競争が激しくなれば、「他行より金利を下げたらお客さんが集まるのでは?」と考えるのは自然なことです。少し古い話ですが、2016年4月に住宅ローンの金利は大幅に上がりましたが、2016年6月には、多くの銀行で金利の見直しを行って、ローン金利を下げました。そこには「営業戦略」という意味合いも含まれています。今は銀行間で互いの動向をうかがっているわけですから、みすみす顧客を逃すような「金利急上昇」という戦略はとらないでしょう。特に都市銀行に負けまいとする地方銀行の企業努力には目を見張ります。

 

以上の点から、今後数年の間に金利が急上昇するという可能性は高くないといえます。いえ、低い。ほぼ無と言えます。しつこいようですが、低金利時代の今、住宅ローンは将来必ず上がります。しかし問題の本質は「いつ、どのように上がるか」であり、それは「絶対に正確には予測できないが、穏やかなものになる」となるのでは無いでしょうか。しっかりした家ならばある程度の地震に耐えられるように、金利上昇の変化にある程度は耐えられるだけの余裕を作ることのほうがその心配をするよりも大切だといえます。


低金利時代はいつまで続く???

住宅ローンを組む上で避けて通れないのが、金利の問題です。現在の日本は、周知の通り低金利が続いています。それが、「家を買おうかな」と思うきっかけになっている人もいることでしょう。たまたま見に行った住宅展示場などで、営業担当者から「低金利の今がチャンスです」といわれて、その気になる人もいます。

 

「住宅ローンを組むならば低金利のときがよい」という考えは、正論といえます。なぜならば、金利が低いほど返済総額も安く収まるからです。ここで参考までに、3000万円を35年ローンで借り入れたときの返済総額を比べてみましょう。繰り上げ返済なし、ボーナス時返済なしで借りたときの返済総額を計算してみると、金利が2%、3%、5%のときで、次のようになります。比べてみてわかる通り、同じ物件を買うために、同じ額の資金を借り入れるにもかかわらず、金利が2%のときと5%のときとでは返済額が2000万円以上も変わります。このお金は、すべて利息。持ち家の資産価値を高めるものでも、なにかしらの形になるわけでもありません。現在のように低金利のときに借り入れれば、発生しないお金なのです。

 

 

金利については、今だけでなく今後の変化についても考えなければなりません。多くの人は、現在の低金利に慣れています。そのため「月々10万円ずつ返していけば、3000万円以上の家が買える」といった感覚を持っています。しかし、それは現在のような低金利がローン返済終了時まで続いたときの話。経済学の基本にならえば、低金利がずっと続くことはなく、遅かれ早かれ上昇に転じます。ですから、35年の固定金利にしない限り、金利が上がることによって月々の返済額が15万円、20万円と増える可能性があります。すでに忘れている人もいるかもしれませんが、バブル期には金利が8%台前後にまで上がりました。

 

月々10万円で想定している返済が、15万円、20万円に跳ね上がったときに、果たして家計は大丈夫でしょうか。金利と景気のよさが、必ずしも連動するとは限りません。返済額は上がったけれど給与は上がらないというケースも考えられます。持ち家派は、そこを考えてみることが大切です。「そのときは家を売ればよい」と考えるのです。この点は、持ち家派にとってのメリットでしょう。しかし、資産価値が上がっても、高く売れるとは限りません。特に日本の住宅市場は、中古住宅市場がふさく、「新築信仰」が根強いという特徴があります。国内で売買されている住宅を見ても、90%近くが新築で中古は10%ちょっとです。

「ネット銀行」は魅力的

ネット銀行は、都市銀行よりも一段と低い変動金利を主力商品に掲げ、住宅ローンの顧客を獲得してきました。変動金利においては非常に競争力があります。ネット銀行とは一口に言っても、窓口相談を展開している金融機関もあります。ただ、原則はインターネットのみで取引を終えるので、「ネット銀行で口-ンを借りるのは抵抗がある」という人もいるでしょう。日頃からインターネットを使いこなしている世代であっても、住宅ローンの相談は窓口でしたいという人もいます。しかし、最近では不動産業者が斡旋する提携ローンにも、都市銀行と併せてネット銀行がラインナップされています。不動産業者にローン審査をお願いすれば、自らネットで手続きする必要がなく、ハードルも下がるのではないでしょうか。ご自身で手続きをおこなう際には、ネット銀行ならではの特徴に注意してください。

 

ネット銀行では、基本的にネット通信と郵送のやりとりのみで、審査から契約まで完結します。都市銀行の店頭窓口で一人一人面談をおこなうようなきめ細やかさには欠け、イレギュラーケースには対応しない傾向かあります。また、審査の手続きに時間がかかるのも難点といえるでしょう。すべての手続きが完了するまで、最低でも1か月〜1か月半くらいはかかると考えておきましょう。

バカではわからない「住宅ローンの仕組み」

わかりにくい住宅ローンの仕組み

金融機関のホームページで住宅ローンの内容をチェックすると、まず「店頭金利」と「実行金利」の2種類があることがわかります。さらに、金利の種類が「当初大きい金利優遇タイプ」「全期間一律優遇タイプ」「全期間固定金利」などとわかれていて、それぞれに店頭金利と実行金利の数字が表示されていると理解できます。同じ返済期間でも金利の選択肢がいくつもあって、一覧表を眺めていると、だんだん混乱してきます。

 

店頭金利と実行金利の違いをおさえておきましよう。

 

【店頭金利】

銀行の店頭で表示している金利。金利優遇(金利の値引き)がされる前の基準となる金利。「店頭表示金利」や「基準金利」とも呼ばれる。

 

【実行金利】

店頭金利から優遇を受けて、融資を受ける際に実際に適用される金利。優遇 は人によって異なるため、審査の結果が出るまで確定しない。

 

ホームページに載っている実行金利は、優遇がもっとも大きい場合のいちばん低い金利が表示されていることもあるので注意が必要です。「引き下げ後の金利」「ご融資利率」「適用金利」ともいわれる。住宅囗-ンに適用されるのは実行金利です。ただし、審査結果しだいで優遇される率は異なり、ときには優遇がいっさい受けられないこともあります。

 

いわゆる金利の値引きにあたる金利優遇は、かつて存在しませんでした。それが2000年に入り金融自由化が起こると、各銀行がこの制度を取り入れ、値引き合戦が始まったのです。当初は0.1%くらいから始まっだのですが、優遇幅がどんどん拡大していき、いまでは都市銀行の変動金利が最大2.85%まで金利優遇するようになりました。20年以上前に変動金利で借りて、借り換えや見直しをまっだくしていない人は、店頭金利2.475%のままであるケースがほとんどです。これなら借り換えをしたほうが賢明といえるでしょう。住宅ローンの申込みをする際には、当初借入時の金利だけでなく、店頭金利や最終返済日までの金利優遇はどうなっているのかしっかりと理解しておきましょう。

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