ここではハウスメーカーの工法についてまとめました。また、モデルハウスのチェックポイントも解説しています。各メーカーでは、独自の施工法や部材を採用しているので、くわしい構造などは個別に確認してください。
★ハウスメーカーの代表的な工法
家づくりをする上で重要な選択の一つに「工法」があります。家づくりでは、外観や間取り、内装の設備や外構、資金計画やアフターメンテナンスなど、考えることや学習しなければならないことがたくさんあります。工法もその一つです。この工法というのはあなたの家づくりのパートナー選びに密接に関わってきます。
昨今は「他社との差別化」と称して、当社は独自の工法で快適な住まいづく吋を行なっていますといった「構造・工法」を宣伝アピールする住宅会社がたくさんあります。でも、あえてアドバイスするならば、工法にのめり込みすぎないことをお勧めします。あなた自身が専門的知識の必要なプロのようになる必要はありません。それより一般知識として、どんな工法があって、それをどんな材料で誰がつくっていて、メンテナンスにはどういうことが必要なのか、リフォームするときにはどうなのかなどを知っておくことが、あなたの家づくりのパートナー選びと、建ててからの業者とのお付き合いに役立つのです。
しっかりした施工をしていれば耐震性や耐久性など物理的な強度はどの工法の住宅でも大差はなく、安心安全な暮らしができます。ただ、敷地の状況によっては実現不可能な工法もありますし、予算上の都合で制約される場合もあります。それぞれの工法には、プランの自由度、増改築のしやすさ、施工期間、建築費用など、それぞれに長所、短所があります。将来、両親の面倒をみることになるとか、子供たちが独立するとか、住まい方の変更をともなうライフスタイルの変化が必ずあるはずなので、そのときになって困らないために工法を選んで家をつくっておく必要があるのです。間取りを変えたくてもできなかったり、たとえできたとしてもたくさんのお金がかかったりしては困りますので。
家の構造つまり骨組を構成する「造り」で分類すると、一般住宅の場合は大まかに3つあります。それは「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」です。骨組みにあたる構造が何でつくられているかで違ってくるのです。木造は文字どおり王要な構造部分が木でできています。鉄骨造は柱・梁といった構造部分が鉄骨でできています。鉄筋コンクリート造は壁などにコンクリートを使用する構造体です。一般住宅で利用されるのはたいていこの3種までで、マンションなどの高層住宅には鉄骨鉄筋コンクリート造と呼ばれる構造体があります。この3種の構造には、それぞれいろいろな工法が存在します。住宅会社の独自技術で特許をとっていたりして名称もさまざまですが、基本的には柱と梁で構成されるか、壁で構成されるかの違いです。
木造の場合、柱と梁で構成されるのが「在来軸組工法」「木造在来工法」あるいは単に「在来工法」と呼ばれているものです。壁で構成されるのがツーバイフォーエ法、略して「ツーバイフォー」、そして木質パネルエ法、別名「木質プレハブ」と呼ばれるものです。ほかにも校倉造の「口グハウス」、在来工法にパネルを組み合わせた「在来パネルエ法」、柱・梁に構造用集成材という工業化木材を使用した「大断面工法」あるいは「ポストアンドビームエ法」と呼ばれている工法があります。
鉄骨造には、鉄骨の厚さの違いで軽量鉄骨と重量鉄骨の2種類がありますが、いずれも柱と梁で構成されます。軽量鉄骨の場合はブレースとい弓金属製の筋交いが入ってくるので、木造軸組工法の鉄骨版と考えればよいでしょう。住宅でよく見られるのはこの軽量鉄骨のもので、別名「鉄骨プレハブ」と呼ばれています。鉄筋コンクリート造では、柱、梁がコンクリートで一体化されます。鉄骨造と同じように柱でもたせるやひ方と壁でもたせるものとに分けられます。一般住宅で見られるのは壁や床でもたせる方法のほうで、「壁式構造」と呼ばれることが多いようです。
それぞれ一長一短ありますが、工法の特性として、住宅の構造を柱と梁でもたせているか、壁でもたせているかによる違いが出ます。壁で構造をもたせる場合、建物の強度を保つ必要から、壁の量を外壁だけでなく建物内部にも確保することが多いのです。ですから一般的に壁式工法の場合、大きな窓をつけることや広いリビングをつくることは、柱や梁による工法よりは不利になる傾向があります。かといって壁式工法が住宅に適していないと言っているわけではなく、現場での施工性や品質精度などは壁式のほうが優れている場合があります。それぞれの長所・短所とパートナー候補の取り組み姿勢などを総合的に判断しましょう。
ハウスメーカーによって、さまざまな種類があるので、検討の際にはその見極めが重要です。ハウスメーカーの住宅は、中小の企業では木造軸組み工法や2×4工法を採用しているメーカーが主流です。しかし、大手ではプレハブ住宅と呼ばれる工業化住宅が主流です。
工業化住宅は、規格化された主要部材をあらかじめ近代的な工場で製造・加工し、現場でマニュアルに従って組み立ててつくられます。品質管理が行き届いた最新設備の工場で部材を量産化することで、品質の安定化やコストダウンが図れるほか、現場施工の標準化により仕上がりのばらつきが少なくなるのが大きな特徴です。また、主要部材が工場でつくられるため工期が短くてすむなどの利点があります。一方、採用しているモジュールや工法上の制約があるため、昔からの木造軸組み工法のような設計の自由度の幅が狭く、増築や間取り変更の伴うリフォームがむずかしい工法もあるので注意が必要です。また、設備機器や内・外装材、建具などの選択の幅がある程度限定されているため、画一的なデザインになりがちです。
大手のハウスメーカーが採用する工業化住宅の工法には、木質系、コンクリート系、鉄骨系、ユニット系などがあります。ユニット系やコンクリート系などの住宅では、道路幅の狭い建設地では部材の搬入や施工ができない場合があるので、事前に確認が必要です。
メリット
・部材を工業生産するため、品質が安定
・現場はマニュアル施工のため、コストダウンが可能に
・工期が短い
デメリット
・構造が規格化されているため、変形地・狭小地には向かない
・間取りの変更、リフォームがしにくい場合がある
・設備機器、仕上げ材などが限定されてしまう
・組み立てにクレーンが必要なため、道路の狭い土地では難しい
輸入住宅は、2×4工法と木質パネルエ法が主流となっています。輸入住宅とは、1棟に必要な資材の半分以上に輸入品を使い、欧米の住宅工法や生活空間の特長をとり入れた住宅のことを言います。
この輸入住宅の大部分を占めているのが、カナダやアメリカから資材を輸入する北米系の住宅です。2×4工法や2×6工法でつくられます。国産の2×4工法の住宅では、一般的に構造用合板に3×6尺モジュール(91×182m)を採用していますが、北米系輸入住宅では、国際規格の4×8フィートモジュール(122x244m)を使用し、合板や断熱材も国産より厚くて頑丈なものが使われます。ひと回り大きなサイズの合板の使用は、より大きな空間がつくれるだけでなく、建物の強度や耐震性などをより高めるといったメリットがあります。
例えば、間柱の間隔は、一般的な国産の2×4工法では455mmピッチですが、北米系の場合では406mmピッチとなります。その結果、―割ほど多くの木材を使用することになり、構造的により強い建物になるのです。2×6工法では、2×4工法の約1.6倍の体積の構造材が使用され、壁や断熱材がより厚くなり、さらに強固で耐震性の高い構造になります。
北欧系輸入住宅に多い木質パネルエ法は、現地の工場で、断熱材や窓やサッシまで組み込んだパネルを工事現場で組み立てる施工法が主流です。2×4工法と同じく、建物が6面体からなるボックス構造のモノコック状になるため、高い耐震性もさる事ながら、気密性や断熱性にもすぐれています。
メリット
・6面体で支える箱型構造のため、強い耐震性を備える
・構造体に隙間がないため、気密性、断熱性、防火性に優れている
・施工方法に公的基準があるため、品質が安定。工期も短い
・どんな敷地でも施工は可能
デメリット
・壁で強度を保っているため、設計の自由度は低い
・将来の増改築がしにくい
・大きな窓などの開口部の設計が難しい
・内部結露が起こりやすい
・湿気の多い土地では。シロアリや腐朽対策が特に必要
・2階の音が1階に伝わりやすい
「タマホーム」などローコスト系がメイン
日本の古くあらある伝統的な家の建て方で、在来工法とも呼ばれます。柱や梁、桁などで住宅の骨組みをつくり、角材や板を縦横に組み合わせて建物の躯体構造をつくり上げます。水平方向の力に弱い性質があるため、各メーカーではすじかいを入れたり、部材の接合部に独自の補強金具を入れることなどにより、強度や耐震性を高めています。木材は加工が容易でどんな間取りやデザインにも柔軟に対応でき、リフォームしやすいのも大きな特徴です。一番安価に住宅を建てることができる工法とも言えます。しかしその反面、贅沢な造りにも出来る幅の広さが特徴とも言える工法です。
主なハウスメーカーは、ローコスト系では「タマホーム」「アイフルホーム」「アキュラホーム」「アエラホーム」などがあります。大手の高額メーカーでは「住友林業」が有名です。
「ミサワホーム」「ヤマダ・エスバイエル」など
床・壁・天井をパネルで構成する施工法で、2×4工法と同じく6面体のボックス構造となるため、強度や耐久性、耐震性にすぐれている工法です。ハウスメーカー独自に開発したパネルを工場で生産して、工事現場で組み立てるため、工期が短いのも特長です。壁のほとんどが耐力壁となるため、増改築がしにくいのは2×4工法と同じでそれが大きなデメリットとも言えるでしょう。
主なハウスメーカーは、「ミサワホーム」「ヤマダ・エスバイエル」など。輸入住宅では、「スウェーデンハウス」が有名です。
「ミサワホーム」の木質パネル工法は、最新設備の工場で均一生産されたパネル同士を、高分子接着剤とスクリュークギで接合する工法を採用しています。強固な6面体のモノコック造となるため。台風や地震などの外力を建物全体に分散して受け止めます。「蔵のある家」などが看板商品です。
「セキスイハイム」「トヨタホーム」など
専用工場で内・外装パネルや設備機器などを組み込んだユニットを製造し、現場でクレーンを使って積み木のように組み立てて家をつくる工法です。ユニットのフレームには、主に軽量鉄骨のボックスラーメン構造が採用されています。内装工事や設備機器のとりつけなど、通常は現場で行われる工程の多くが工場でなされるため、大幅に工期が短くてすむのが特長です。棟上げ自体は当日で完了するケースもあります。ほぼ一日で棟上げが終わるので、雨じまいや雨養生の効率がよく、「雨に濡れない」ことが大きなメリットになっています。
主なハウスメーカーは「セキスイハイム」「トヨタホーム」「ミサワホーム」などです。
「セキスイハイム」は、強靭な鉄骨ボックスラーメン構造のユニットを現場でクレーンを使って据えつけます。約80%までを工場で生産するため、現場での工期は約40日と木造軸組み工法の約3分の1とスピーディです。一般的な戸建て住宅では、最も耐震性の優れた住宅と言われるため、大きな地震の発生が危惧される昨今では、大きな注目を集めています。
「三井ホーム」「三菱地所ホーム」など
北米の伝統的な木造住宅の建て方です。断面が2×4インチの木材で枠を組み、それに構造用合板をクギ打ちした枠組み壁で構成していく工法です。別名「枠組み壁工法」とも呼ばれます。壁・床・天井の6面体の箱形構造となり、地震などの外力を面全体で吸収・分散し。揺れや衝撃に強さを発揮します。構造的には木質パネル工法とよく似ています。最近では断面が2×6インチの「2×6工法」のほうが主流になりつつあります。
主なハウスメーカーは「三井ホーム」「住友林業」「住友不動産」「三菱地所ホーム」など。輸入住宅では、「東急ホーム」「メープルホームズ」「セルコホーム」などがあります。
2×4工法の代表格である「三井ホーム」では、自由設計の2×4工法から2×6工法に進化しています。オリジナル技術の導入により、ユニークな円形空間ができるほか、一辺が約8mで約36畳もある正方形の大空間もつくれます。また、最近ではその優れた耐震性に注目が集まっています。
「積水ハウス」「ダイワハウス」など
鉄骨系には、軽量鉄骨造と重量鉄骨造の2種類がありますが、3・4階建て住宅などでは重量鉄骨が採用されることが多いのですが、一般的な2階建て住宅の場合は、軽量鉄骨のプレハブ工法が主流になっています。ハウスメーカーの2階建て住宅では、主として軽量鉄骨が用いられますが、工法的には、柱・梁で支える軸組み工法、面で支えるパネルエ法、軸組みとパネルの併用工法に大別され、木造住宅に比べて、いずれも大幅に強度が高いことが特徴です。ただし、構造体に鉄が使われているため、万がーさびが発生すると建物の強度が落ちるデメリットもあります。各ハウスメーカーでは、鉄骨に高度な防錆塗装を施したり、床下からの湿気を防ぐ防錆シートの使用、躯体内結露の防止などの対策をしています。
主なハウスメーカーは、「積水ハウス」「ダイワハウス」「ヘーベルハウス」「パナソニックホームズ」などがあります。総じて大手と言われる大企業ハウスメーカーとなります。
「ダイワハウス」では「鉄骨軸組み&パネル併用構造」を採用しています。地震の縦揺れなどの縦にかかる力は【鉄骨の軸組み】で、横揺れや強風などの横にかかる力は【耐カバネル】で受け止める構造が特色となっています。
「ヘーベルハウス」では【高耐震フレーム】と【剛床システム】という新技術の融合により、高度な耐震性を発揮します。外壁や天井、床には耐火性にすぐれたALCコンクリート【ヘーベル】を使用しているのが大きな特徴です。
職人気質健在の施工現場住宅は、目に見えるところより、基礎や屋根裏など隠れたところのほうが大切です。現場の職人の誠意と技術が問われます。総務省の調査によると、建設業界で働く人は約700万人とされています。このうち、企画・設計・営業などに関わる人々が約3割として、残りの7割である約500万人が現場で働く施工セクションといっていいでしょう。現場で働く人がいなければ家は完成しないのですから、当然のことともいえますが、近年はこのセクションの占める割合が少なくなってきています。
大工から組立エヘ
家づくりの現場は、躯体工事・仕上げ工事・設備工事の3つに大きく分類されます。躯体工事ですぐ頭に浮かぶのが大工という職種ですが、最近ではそれも様変わり。工場でそのほとんどが生産されてしまうプレハブ住宅などでは、現場で作業を行なうのは組立工であり、道具もカナヅチではなくスパナやラチェットになります。
住宅は、基礎や屋根裏など目に見えない部分こそ大切といわれます。基礎工事とは、文字どおり住宅の基礎部分をつくる仕事です。コンクリートを打って大体5日目に型枠をばらして養生に入り、平均1週間の工事期問となります。住宅の基礎部分は、何十年にもわたってお客さんの生活を支える重要な部分。そのためミリ単位の精度で作業にあたり、最低2回は高さ・配置などをチェックする配筋検査を行ないます。屋根も、阪神淡路大震災で被害の大小を分けた要因となったことからもわかるように、家を守り長持ちするか否かを左右する部分。ある屋根業者は震災後、現地を視察して、瓦を一枚ずつ釘どめする対処策を講じるようになったといいます。躯体工事が終わると、タイルやサッシの設置、塗装などの仕上げ工事、電気配線、水道、空調、ガスなどの設備工事を行ないます。さらに細分化されてさまざまな仕事がありますが、まさにリレー式で家づくりが人から人ヘバトンタッチされていくことになります。
木造軸組工法とツーバイフォー(ツーバイシックス)工法では、どちらが地震や台風に強いのでしょうか? どちらが頑丈で、耐震性に優れているのでしょうか? 阪神大震災では、多くの木造住宅が倒壊や倒壊したというものの、ツーバイフォー(ツーバイシックス)工法ではあまりこの手の話は聞きません。結論からいうと、2×4工法の方が、頑丈で地震に強いと言えるでしょう。見かけはまったく同じ状態で完成させることができる2つの工法ですが、耐震性という面では大きな差が生じてしまうのが現実です。
たとえば、2×4工法の場合は、最初から「剛性床」という方法で、床を作っていくので、特別な施工をしなくても、地震発生時の左右の揺れに対し床が変形しにくい構造となっています。もしも軸組工法で十分な耐震性を得ようと考えるなら、設計段階での綿密な計画と、万全の施工が必須となるでしょう。さもないと、軸組工法では2×4工法同様の耐震性能は得られないのです。しかし、2×4工法はリフォームが難しく、広く大きな窓などを設けられないなど「開口部の制限」がある上、ひとつの部屋であまり大きな空間がとれない「空間の制限」、「キャンチ」といわれる1階よりも2階の方が迫り出す場合の長さ制限など、軸組工法より細かい規制があり、間取りの自由度に欠ける難点もあります。
下の図は、まったく同じ間取りで、軸組工法と2×4工法の2つの工法で耐力壁の設計をしてみたものです。耐力壁は、わかりやすくするために住宅の南北方向しか図示していませんが、軸組工法では、一生懸命筋交いを入れても、建築基準法が必要としている最低限の耐力壁量の1・4倍まで配置するのが精一杯です。ところが、2×4工法では、軸組工法とほとんど同じ部分に耐力壁を配置したにも関わらす、建築基準法の22.5倍程度の耐震性を誇る設計になっています。
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