
家は建てて終わりではありません。建てたあと何十年もの間維持していかなければならないものです。どんなに最先端の建築技術を用いてつくられた家であっても、住んでいるうちに不備や不具合はでてきますし、設備機器もぜったいに故障しないという保証はありません。
旭化成のヘーベルハウス、ミサワホーム、トヨタホームを始めとして各社ともに長く住める住宅というのが最近の1つのトレンドになっています。ハウスメーカーの保障は主要構造体などは、30年保障など通常の10年、20年の構造体保障よりも長期で保障をつけているメーカーも増えてきています。この長期の保証は、工務店で建てた場合は難しいでしょう。ハウスメーカーの大きなメリットと言えるでしょう。
ハウスメーカー各社の保証内容比較
ハウスメーカー名 |
初期保証 |
再保証延長条件 |
最長保証 |
アイフルホーム |
10年 |
5年毎の無償点検・有償補修 |
20年 |
アエラホーム |
10年 |
5年毎の無償点検・有償補修 |
永年 |
アキュラホーム |
10年 |
5年毎の無償点検・有償補修 |
35年 |
一条工務店 |
10年 |
10年毎の定期点検・有償補修 |
30年 |
クレバリーホーム |
10年 |
10年目の定期点検・有償補修 |
20年 |
三洋ホームズ |
10年 |
ー |
10年 |
スウェーデンハウス |
10年 |
10年目の定期点検・有償補修 |
50年 |
住友林業 |
10年 |
5年毎の無償点検・有償補修 |
30年 |
セキスイハイム |
20年 |
5年毎の有償点検・補修 |
60年 |
積水ハウス |
20年 |
10年毎の有償点検・補修 |
50年 |
セルコホーム |
10年 |
10年目の定期点検・有償補修 |
20年 |
大和ハウス |
20年 |
5年毎の有償点検・補修 |
50年 |
タマホーム |
10年 |
5年毎の無償点検・有償補修 |
30年 |
トヨタホーム |
30年 |
10年毎の有償点検・補修 |
60年 |
パナホーム |
20年 |
5年毎の有償点検・補修 |
60年 |
東日本ハウス |
10年 |
10年毎の定期点検・有償補修 |
30年 |
ミサワホーム |
30年 |
10年毎の有償点検・補修 |
60年 |
三井ホーム |
10年 |
10年毎の無償点検・有償補修 |
30年 |
ヘーベルハウス |
30年 |
30年目に400万程度の有償補修 |
60年 |
ヤマダ・エス・バイ・エル |
10年 |
5年毎防蟻・10年毎防水有償補修 |
永年 |
ユニバーサルホーム |
10年 |
10年目の定期点検・有償補修 |
20年 |
ハウスメーカーの保証期間については、大まかに分けて●長いタイプ●短いタイプ●中間タイプの3種類に分けることができるでしょう。
●長いタイプ
鉄骨系ハウスメーカー
初期30年 長期50~60年
●短いタイプ
木造軸組ハウスメーカー
初期10年 長期20~30年
●中間タイプ
木造系 パネル工法・2×6工法など
特に鉄骨系のハウスメーカーはほとんどが初期30年・長期60年となっています。逆に明らかに木造軸組工法のハウスメーカーは短い設定になっています。保証が長ければ耐久性の高い頑丈な家とは、一概に言い切れませんが、長い保証は商品に対する各ハウスメーカーの自信の現れとも取れないでしょうか。しかし、この保証が長いハウスメーカーは、軒並み高額なハウスメーカーであることも理解しておいたほうが良いでしょう。
鉄骨系ハウスメーカー保証比較
メーカー名 | 初期保証 | 最長保証 | 主な商品 |
---|---|---|---|
積水ハウス |
20年 |
50年 |
「イズ」シリーズ |
ダイワハウス |
20年 |
50年 |
「ジーヴォ」シリーズ |
ヘーベルハウス |
30年 |
60年 |
「キュービック」「フレックス」シリーズ |
セキスイハイム |
20年 |
60年 |
「ドマーニ」「パルフェ」シリーズ |
ミサワホーム |
30年 |
60年 |
「ハイブリッド」シリーズ |
パナホーム |
20年 |
60年 |
「カサート」シリーズ |
トヨタホーム |
30年 |
60年 |
「シンセ」「エスパシオ」シリーズ |
阪神大震災、東日本大震災や熊本地震など大きな地震災害が起こるたびに、住宅の強度や耐震性が改めて見直されます。今回の熊本地震では東日本大震災を超える住宅の倒壊率が注目されています。地震に強い、耐震性の高い安心の家とはどのような家なのでしょうか。
一般的に在来木造軸組工法の住宅よりも鉄骨住宅の方が耐震性・耐久性に優れていると言われます。上の「保証比較」の表でも鉄骨系のハウスメーカーの保証期間は軒並み長く設定されています。木造軸組のハウスメーカーの保証が初期10年・延長20~30年に対し、鉄骨系のハウスメーカーは初期20年・延長50~60年となっています。このことでもわかるように鉄骨住宅は基本性能(耐久性・耐候性・耐震性)が高いと言えるのではないでしょうか。南海トラフ大地震、東海大地震など今後、高い確率で起こるであろうと言われています。地震大国「日本」では住宅の地震対策はさらに重要な項目となってきています。
国が定めた木造住宅の保証期間はご存知でしょうか。みなさんのなかには、すべての項目において10年保証されていると思ってる方もいるでしょう。しかし、10年保証は骨組みだけで、他の部分においては1~2年しか保証がないのがほとんどです。すべてが10年ではないのです。このサイトで何度も取り上げてきたコーキングは、外部の雨漏りを止める大事な部分なのに、その保証期問はたったの2年です。2年後に、コーキング部分が、劣化損傷し、雨漏りをして数百万の被害にあっても、それは自己責任となってしまうのです。実際、コーキングは5年程度で劣化します。これは、国ぐるみで、寿命の短い建物を奨励しているようなものではないでしょうか。ハウスメーカーと政治家が癒着していることが原因です。
現在、わずか26年と言われる日本の住宅寿命を延ばすための法律が施行されているのをご存じでしょうか。一般に『200年住宅』『長期優良住宅』と呼ばれるこれらは、長く住み続けることができるような丈夫な家造りを、推奨する法律です。しかし、これもくだらない施策です。この法律で認可されている家にも、前述したコーキングを用いるコンクリート製のサイディングを使った建物が多く存在するのです。実際、長期優良住宅に認定された建物は、従来建てられた一般の住宅よりは、長持ちするものにはなっています。しかし、そこには何十年もの問にわたって、数年ごとの点検、メンテナンスが義務づけられているのです。『長持ちはするけど、メンテナンスは必要ですよ』という解釈です。それくらいの知識レベル、認識しか住宅に対して持っていないのが、日本の官僚の実態です。また、大手建材メーカーの資材が使われるように、我々の知り得ない場所で、何かの力が働いているのかもしれません。このように、国自体の住宅に関する感覚がまひしている状態では、建築業界の人問もユーザーも、簡単にまひしてしまうのは仕方ないのかもしれません。
一般的に、40坪の家の屋根と壁の塗装工事をした場合、原価は120万円前後です。しかし、見積もりの通り相場には、350~600万円の金額が提示されるはずです。外壁や屋根工事は面積も大きく、工事自体が内装工事よりも 比較的派手に見えるので、高い金額を提示しやすいのです。こうした行為が10~15年のスパンで繰り返されます。これほどおいしい仕事を、ハウスメーカーがみすみす放っておくはずがありません。
平成20年度の、リフォーム売り上げのベスト20を下で紹介しています。2位から9位までが、ハウスメーカーのリフォーム事業部です。最初この表を見たとき、私は実に不思議でした。CMもほとんど流れていないので、大手ハウスメーカーがリフォームをしていること自体知らなかったのですが、現実には莫大な売り上げがメーカーにはあるのです。そして売り上げの大半は、屋根や外壁の工事だそうです。これは、屋根や外壁の寿命が短いことを証明しています。数年でメンテナンスを必要とする材料を使用して家を建て、点検を行っていれば、当然ながらメンテナンス部分は見つかります。だからCMが必要ないのです。新築は、新規顧客を集めるため莫大な広告宣伝を必要とします。しかしリフォームは、OB客だから自然と集めることができるのです。
有名な芸能人が出ているCMに感動して豪華な展示場やモデルハウスを訪れ、徹底的に教育された営業マンの接客を受ける。そして住宅ローンを組み、夢のマイホームを購入した瞬間から、計算されていない、メンテナンスという見えない費用との戦いが始まるのです。どこかおかしいけれどこれが、現在の日本の住宅業界の図式なのです。
わずか30年ももたない住宅が乱立している日本は今、リフォーム業界が大盛況しています。これは国策であり、ハウスメーカーと政治家の癒着が大きな原因です。リフォームはリサイクルであり、エコであると推奨されています。しかし、本当にそうなのでしょうか。私は、建材メーカーがマスコミを利用して作らせた、慣習であるように感じます。もちろん、本当に必要なリフォームもあります。むやみに家を解体して、廃棄物を多くするよりは、エコなのかもしれません。しかし、我々がリフォームに関してまひしていることも、否めないのではないでしょうか。10年で外壁リフォームが必要なことを、当然だと思っていませんか。そんな住宅は私から言わせれば、「欠陥住宅」です。私の考えるリフォームは、部屋の問取りを変えたり、バリアフリーの家にしたりして、より住みやすい家にすることです。外壁が駄目になったから修繕することが、リフォームだとは思っていません。それは、リフォームと言うよりもむしろ、欠陥品のメンテナンスと言ったほうが適切です。ハウスメーカーの家づくりに関しても大きな疑問を感じます。
そういう私も、以前は完全にまひした工務店経営者でした。今では懺悔の日々です。当時はコンクリート製のサイディングの無塗装材を使って、現場で吹き付けをする工法が主流でした。だいたい築5~8年ほどで、コーキングは切れ、色がはげてしまうので、お客様から再塗装の話を頂くと、当然のように現場に行き見積もりをしていました。これは欠陥です。築10年もたっていないのに、数百万円もするメンテナンスを受けなければいけないのは、やはり欠陥です。カナダ、アメリカ、ヨーロッパでは、絶対に考えられないことです。我々の周りで、あまりにもこうした現象が多いので、感覚がまひしているのです。実際に私は、自分の家でも、こうした現象を味わいました。私は最初に建てた家を、築15年で解体しました。解体の一番の理由は、外壁にサイディングを使ったことでの劣化と結露でした。私か自宅を建てる3年前、父はうちの横に土壁作りの日本家屋を建築しました。私の自宅は今から5年前に解体しましたが、父の家は、今でもメンテナンスーついらないのです。同じ場所であるのにもかかわらず、このような大きな違いが生まれてくるのです。私の採用した工法が、いかに風土に合っていなかったか、疝切に思い知らされました。こうした状況を体感し、海外の住宅事情を勉強して、やっと現在の工法が欠陥だということに気づきました。
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