地盤調査を怠ると、家が傾く!!

地盤調査を怠ると、家が傾く!!

地盤沈下で傾く家

 

 

旭化成建材の杭打ち偽装による、マンション傾斜問題が話題になり、杭打ち工事や地盤補強工事への関心が非常に高まっています。地盤は建物を支えるとても重要な部分です。安心して暮らせる家を建てるには、地盤の強度を知ることが必要です。仮に、弱い地盤だったときには適切な対処をする必要があります。軟弱な地盤でも適切な処置を取れば、頑丈な地盤へと生まれ変わることができます。

 

 

地盤が悪いと「地盤沈下」や「不同沈下」を起こす

軟弱な地盤に家を建てることによって、家の基礎全体が沈むのが地盤沈下です。それに対して部分的に地盤が硬いところと軟らかいところがある敷地に家を建てることによって、軟らかいところだけが沈むのが【不同沈下】です。不同沈下は建物に不均衡な力が発生して、傾いたり崩壊をまねく原因にもなります。
住宅本体の工事はもちろんですが、本体よりも基礎、基礎よりも地盤に注意しなくてはなりません。不同沈下などを避けるためにもまず、地盤を調査することがとても重要です。

 

沢、谷、窪、流れなど古くからの地名に注意

地盤は見ただけでは決してわからないところが落とし穴です。かつてそこは沼地であって、軟らかい粘土質の地盤かもしれません。家を建てるために適当な処置がなされていれば問題はありませんが、沼地の上に土をかけた程度ということもありえます。住宅を建てる土地がどんな土地であるかはとても重要ですので、必ず土地の履歴を調べましょう。

 

土地の前歴は「管轄法務局」で所在地の公図、登記簿謄本、測量図を見ればわかります。水路や川を埋め立てた場合には、公図にその形や大きさが詳細に残されていますし、謄本にも水路や農地に使用されていたことが記載されています。こうしたものを利用して地質を調べることで大きな判断ミスは避けられるのです。また近隣に住む人に現地の情報を聞いたり、古くからの地名に沢や谷、窪、流れなど水に関係した名前がついている場所には注意が必要です。

 

瑕疵保証で金額が高いのが地盤の事故

「瑕疵保証」とは、契約時の仕様書や図面で示された性能が満たされていないことが判明したときに、その部分を施工者が無償または一定の負担で責任を持って修理する制度です。以前は顧客と施工者が特約を結んで保証期間1~2年としてきたことも多くありました。しかし、平成12年から施行された「住宅新法」によって、契約書にたとえ記載がなくても、基礎や柱などの主要な部分と雨水の侵人を防止する部分に構造上の欠陥があった場合は、原則として完成引き渡し後10年間は無償で修理することが法的に義務づけられました。(2022年現在は契約不適合に変更となっています。)

 

瑕疵保証で最も多いのは雨漏りですが、構造上の欠陥には地盤による事故も含まれています。悪い地盤が原因で不同沈下するなどの地盤の事故は、その修復に膨大な費用がかかります。そういった意味でも地盤対策は重要視されているのです。

 

盛土には注意が必要

一見きちんと整地されていても、傾斜地や田畑、湿地の造成地は注意が必要です。また元の地盤にほかから運んできた上を盛り上げて造成した盛土も要注意です。産業廃棄物や建築廃材が土中に埋め込まれていたというトラブルも発生しています。

★旭化成ホームズの「アパート経営」

 

建て替えでも地盤調査は必要!!

同じ敷地内に建て替える場合でも、あらためて地盤を調査したいもの。新築後何十年も経っている問に、地質が変化していることも考えられるためです。

 

たとえば近隣で大きな宅地造成をするときに、造成地近隣の地下水をいっしょに抜いて地盤を強化することがあり、このことが原因で近隣の地盤に緩みが生じてしまうことがあります。同様に鉄道工事や道路工事でも杭を深く埋設する作業によって地盤が綏むこともあるのです。増改築や建て替えは、間取りや部材の素材、工法などによって住宅の荷重が大きく変化します。不同沈下を起こして崩壊をまねく危険性を考えたら、再調査をしておくほうが賢明でしょう。

 

軟弱な地盤の土地に家を建てると、地盤が家の重さに耐えられず不均衡に沈みだします。この現象を「不同沈下」と言います。不同沈下が起こると、壁に亀裂が入ったり、ドアや窓がスムーズに開けにくくなったりと、建物に多くの異常が発生します。場合によっては、めまいなど健康に悪影響が出たりするケースもあります。このような地盤の沈下による事故を防ぐためには、適切な補強工事が必要です。

 

まずは、地層の強さや構造、種類を調べる地盤調査を行うことが必要があります。地盤の強度というものは、非常に狭い範囲で大きく異なることがあります。お隣の家が調査したときに強い地盤だったからと安心せずに、きちんと調査することが大切なのです。同じ敷地内でも地盤の状態や、強度、構造が違う場合もあるため、1箇所ではなく建物の配置に合わせて最低でも周囲4点と中央1点の、5点を調査する方法が一般的に使われています。

 

傾いた家

新築する場合はもちろんですが、建て替える場合も地盤調査をしたほうが良いでしょう。建て替えの場合は、今まで家が建っていたのでと、安心して地盤調査をされないケースが非常に多いのです。20年、30年前は地盤に対する認識も非常に低く、また地盤調査の調査費も現在に比べて非常に高価だったので、地盤の調査を行っていないケースがほとんどです。とくに安価な建売住宅の場合は注意が必要です。または、過去に地盤調査を行っていても、その結果を示す書類が残っていない場合も地盤調査は必要です。昔の家よりも現代の家のほうがはるかに重いため、あらためて地盤調査を行ってみたら、建て替え後の家では杭打ちなどの補強工事が必要だと分かるケースもあります。

 

地盤のチェックの必要性

地盤チャック

 

地盤のよし悪しについては、一見しただけでは専門家でも分からないものです。一般的には「サウンディング」や「ボーリング」といった調査によって、地盤の強さを判断します。サウンディングとはスクリューのような先端を、おもりの荷重だけで、あるいはおもりを載せた状態で回転させて地中に貫入させたときの抵抗値によって、地盤の硬軟を判定する方法です。狭い場所でも使用が可能ですし、比較的短時間の作業ですむので、10~15万円程度で調査することができます。一方のボーリング調査とは、掘削機を使って地盤に深い孔を掘る地盤調査の手法です。やぐらを建てる必要などがあり、住宅の地盤調査などでは費用は30~50万円前後かかります。油田や温泉の掘削にも活用されています。

 

一般住宅にはサウンディング調査を多く活用しています。地表面から浅い調査はサウンディング、深い調査はボーリングと覚えておくとよいでしょう。マンション建設などでは、ボーリングによって地下何十メートルまで調査します。「地表面が硬ければ、地盤調査をしなくても問題がないのでは?」と感じるかもしれません。しかし、やわらかい豆腐の上にかまぼこ板を乗せて、その上にさらにおもりを乗せたらどうなるでしょうか。「そのままの状態」「全体的に沈む」「片方が沈んで板やおもりがすべり落ちる」など、さまざまな現象が起こり得ます。これは、重さによって豆腐に含まれる水分が逃げてしまうからです。専門用語ではこれを、「圧密現象」と呼びます。地盤が軟らかい軟弱地盤で圧密現象が起こると、水分が排出されて地盤沈下を引き起こします。

 

軟弱地盤を見分けるには、

・昔は田んぼだった

・地下水位が高い

・埋め立てられた場所

 

であるかどうかが一つのポイントとなります。軟弱地盤の場合、圧密現象を防ぐため、やわらかい粘土質の土の下にある固い地盤に、つっかえ棒の役割をする杭を打たなければなりません。せっかく安く土地を買えたとしても地盤が悪いと杭工事が必要になり、100万円、200万円と余分な出費がかかってしまうことになりかねません。くれぐれも「安物買いの銭失い」にならないよう、充分に注意してください。

 

 

地盤調査「スウェーデン式サウンディング試験」が、一般的

目では見えない地盤の中を調べるには、大きく3つの方法があります。一般的に戸建て住宅の地盤調査は「スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)」を採用している場合がほとんどです。もう一つの方法に、「スクリュードライバーサウンディング試験(SDS試験)」があります。この方法は地盤の強度を判断する指標の一つになる土の性質が分かる新技術ですが、「スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)」に比べて、調査費用が高価なため、一般の住宅の地盤調査ではあまり採用されていません。もう一つは「ボーリング調査」です。これは地盤の強さを調べながら土のサンプルを採取します。これは主にビルやマンションを建てる場合に使われている方法です。

■スウェーデン式サウンディング試験
 戸建て住宅 ほとんどの戸建て住宅がこの調査方法を採用

 

■スクリュードライバーサウンディング試験
 戸建て住宅 土の性質がわかる新技術 費用が高価

 

■ボーリング調査
 ビルやマンション

地名には由来がある!!

 

 

 

スウェーデン式サウンディング試験のデメリット

一般的に多く採用されている「スウェーデン式サウンディング試験」は、先端にスクリューの付いたロッドと呼ばれる棒を回転させながら地盤に刺していき、何キロの重りが乗ると沈むか、どのくらいの回転数で沈むかを数値的に表す方法です。

 

実は、この「スウェーデン式サウンディング試験」では土の質が判断できないため、実際の地盤の強度と数値にずれが生じることがあります。例えば、関東など多く見られる火山灰の地質はロッドが入りやすいため弱い地盤の数値が出るのですが、実際には強い地盤なのです。逆に、ロッドにからみつきやすい腐植土の地質は数値的には、強い地盤のような結果になりますが、実際はスポンジのように水を含む弱い地盤なのです。ですから、土質が分かる「スクリュードライバーサウンディング試験」を併用して地盤の強度を判断するのがベストでしょう。実際は、弱い地盤だと理解できずに建ててしまえば家が傾く可能性があります。逆に強い地盤なのに、過剰な補強工事をすると不要なコストをかけることになります。地盤の調査は正確に把握することが大切です。

 

 

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軟弱な地盤でも、地盤補強工事を行えば家は建てられる

地盤調査の結果、建てようとしている家を支える力が、十分ではない地盤だと分かるケースがあります。また、盛土(もりど、もりつち)や、切土(きりど)など、人工的に造成された敷地の場合は、地盤が家の重さに耐えられず不均衡に沈む不同沈下を起こす可能性があります。このような弱い地盤の場合、どうすればいいのでしょうか。

 

切土と盛土の地盤

(ジャパンホームシールドHPより)

 

便利なところ、人が多く住んでいるところほど軟弱な地盤が多いものです。これは、昔から生活をするのに便利な川や水場の近くに人が多く集まり、人口が密集し、都市が形成されていったからです。水は人間の生活において非常に重要なものです。昔はもちろん水道設備がありませんでしたので、おのずと川や水場の近くに人は集まります。そして川や水場の周辺の地盤は必ずと言っていいほど軟弱なものです。

 

しかし、今では地盤の状態を調査によって把握でき、それを補う補強工事の技術も飛躍的に進んでいます。ですから、弱い地盤だから家を建てられないということはなく、その地盤に合わせた適切な対策をとれば、強い地盤に生まれ変わるのです。

 

 

 

地盤補強工事は3種類

地盤調査の結果、比較的浅い地層に建物を支えることができる、十分な強度を持つ地盤がある場合は、杭打ちなどの大掛かりな補強工事は行わずに建物を直接、その強い地盤で支えることができる。しかし、弱い地盤だと分かった場合は、その状況に合わせた補強工事が必要だ。地盤補強工事は、強い地盤の深さ、地質などの条件によって適する工法は違ってくるが、一般的に用いられるのは次の3つの工法です。

●表層地盤改良工法
弱い地盤が比較的浅い1m程度までの場合に多く用いられる。弱い地盤の部分を取り除き、セメント系固化材を入れ、均一に締め固める工法です。

 

●湿式柱状改良工法
地表から8m程度までが弱い地盤の場合に使われる工法です。地面に穴をあけてセメント系固化材を注入しながら、強い地盤に届くまで掘削して支持杭をつくる工法です。

 

●小口径鋼管工法

地表から8m以上弱い地盤が続いている場合に使われる工法です。鋼管の杭を地盤に貫入させていく。数本の杭を溶接しながら強い地盤に届くまでつなげていく工法です。

地盤改良の方法

(ジャパンホームシールドHPより)

 

 

 

建ててしまってから、地盤補強工事は可能?

2000年の建築基準法改正以降は、戸建て住宅の場合、地盤調査は事実上義務化になっています。しかし、築年数の古い建物では、地盤調査をしないで建てられているケースが非常に多くあるのです。もしも、今住んでいる家や、建ててしまった家の地盤が弱い、または補強工事をしていない、あるいは不十分と分かったら建て替えをしなければならないのでしょうか?

 

既に建っている建物の下の地盤を補強する方法はありますが、この方法には、新たに家を建てるくらいの莫大な費用が必要になります。家が建ってしまってからの地盤補強工事は、大きな費用がかかるというリスクがあります。ですからしっかりした地盤調査、そして地盤補強工事が重要なのです。

 

安心して暮らせる家を建てるためには、まずは地盤調査です。また、必要以上の補強工事で無駄な出費を防ぐために、地盤の状況をしっかりと調査し、地盤の強さに合わせた家を設計をすることが重要なのです。

 

 

基礎工事の種類

建物を支える土台で、家と 地盤をつなぐ部分を基礎と 呼びます。基礎工事には、 地盤に問題のない場合の若 基礎、軟弱地盤の場合のベ タ基礎、超軟弱地盤の場合 の杭基礎があります

 

●良好地盤の場合

布基礎

建物の外壁や間仕切りの壁の下に、連続し て鉄筋コンクリートを施した基礎。逆T字にして底面を広くし建物を支える。良好な 地盤に採用され、工事価格もいちばん安い。

 

●軟弱地盤の場合

ベタ基礎

建物の床下全体に鉄筋コンクリートを施した基礎で,面全体で家を支える。コンクリート使用量が多くなるため、布基礎よりも工事価格が上がる。最近は一般的な地盤 でもべ夕基礎にすることも多い。

 

●超軟弱地の場合

杭基礎

浅い地盤では建物を支えられない場合、深 く硬い地盤の層まで杭を打ち込み、その杭で基礎を支える。

 

 

地盤改良工事

基礎工事では対応できないほど地盤が危険な場合は、地盤自体を頑丈にする地盤改良工事を行います。

 

■表層改良工法

軟弱地盤が地表から2m以内のときに有効。基礎の下に土とセメントを混ぜたものを固め、固い層をつくる。その上に基礎をつくる。

 

■柱状改良工法

軟弱地盤が2~8m程度の場合に行う。土の中にコンクリートを柱状に流し込み、その上に基礎をつくる。不同沈下の抑制にもなる。

 

■鋼管杭打ち工法

軟弱地盤が深く、地表から10m位までのところに強固な地盤がある場合に行える。不同沈下した土地の改善にも用いられる工法。

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