ハウスメーカーの家づくりは、安定した品質、明確な価格設計、多くのプランから選ぶ楽しさなど、多くの人をひきつけるメリットがあります。
【目次】
我が国にはハウスメーカーと呼ばれる建築会社が、なんと1500社以上のあると言われています。簡単にハウスメーカーといっても家づくりのプロセスはさまざまです。共通しているのは、設計、施工を一括で依頼できるということです。資金計画から施工、引越しにいたるまで、一貫してトータルでサポートしてくれるので、施主の手間が少なく、初めて家を建てる人でも安心です。さらに、使用する建築部材はあらかじめ工場でまとめて生産されるため、質が高く、品質も高いレベルで安定しています。このため家の仕上がりにばらつきがありません。現場作業の手間が軽減できるためコストダウンがはかれ、 工期が短縮できるのも大きな魅力の一つです。
ハウスメーカーの多くは、経営規模もとても大きく、営業網も全国展開するなど、ネームバリューや信頼性の高い企業ばかりです。大手と呼ばれるハウスメーカーは、それこそ超一流企業でもあります。しかし、実際の施工を担当するのは、地元の協力工務店や下請工事会社が多いので、その会社の技術力やメーカーの工事監理体制がしっかり整っているかどうかの確認が重要と言えます。自分のエリアでの営業所の施工例などをよく見て判断しましょう。建築後のアフターサービスにも注目したいものです。担当者の異動、退職などもあるので、引き渡し後に万一問題があった場合の窓口、定期点検やメンテナンスの対応のシステムはどのようになっているかもあらかじめ確認しておきましょう。また、アフターサービスは各ハウスメーカーによって、多少ばらつきがあるので注意しましょう。
ハウスメーカーによって家づくりの工法は大きく違ってきます。主な工法は、木造軸組、ツーバイフォー、プレハブ(工場生産住宅)の3つです。ただし、メーカーごとに得意とする工法があるうえ、住宅業界では常に新しい家づくりのシステムが提案されるため、依頼する前にそれぞれのハウスメーカーの工法をよく確認する必要があります。各社の工法の違いにより、どのような差が出るのでしょうか。例えば、木造軸組工法の住宅は、開口部を広く取れるかわり に、気密性への工夫がより求められます。 壁材など面で支える工法は、構造も強く、気密性も高いのが一般的ですが、開口部を造れる位置は限られ、湿気対策がより重要です。このような特性を踏まえ、利点を生かしたり、弱点を補ったりする工夫が求められます。工法や商品の特徴などは、メーカーの広告などでアピールされているので、基礎知識としてしっかりとおさえておきましょう。
プラン決定の過程では、基本となるプラ ンをアレンジしていく方法が一般的です。この場合、施主はあらかじめ用意されたプランメニューのなかから好きなメニューをチ ョイスしたり、オプションで変更、追加を加えたりする形になります。ただし、基本プランに手を加えすぎると予想以上のコストがかかるので注意が必要です。ハウスメーカーの住宅プランは、あくまでも標準仕様 十 オプションの範囲内で利用してこそ、手数の軽減やコストの削減という利点が生きてくるのです。 その意味では「規格型住宅」こそ、ハウスメーカーのメリットが活かされた商品かもしれません。さらに気をつけたいのが、標準仕様とオ プション仕様の違いです。多くの場合モデ ルハウスなどを見学してプランを決定していきますが、モデルハウスでは、床や壁、 建具もグレードの高いものが使用されているので、標準仕様なのかオプションなのかをよく確認して契約しましょう。
近年のライフスタイルの多様化に合わせ、フリープラン(自由設計)を売りにするハウスメーカーが増えてきました。間取りひとつ とっても、自由度を高める工夫がされ、以前は構造的な制約があってできなかったことも、今では施主のニーズに合わせてさまざまな ことが可能になってきました。しかし、何もかもすべてがオーダーメイドできるというわけではなく、基本的には、そのメーカーの採用する構造、工法を前提とするプランとなります。また、フリープランの範囲も、あるハウスメーカーではできるけれど、別のハウスメーカーではできないといったこともあります。また、床、壁、天井の仕上げ材、窓や ドアなどの建材は、ある程度決められた範囲のものから選ぶのが一般的です。いずれ にせよ、どこまで変更が可能なのかをよく 吟味した上で依頼することが大切です。
ハウスメーカーの場合、ラフプランや概算見積もりまでは、担当の営業マンが作成するケースが多くなっています。そして、実際に依頼するとなると、その担当者がプランニングから施工時までの調整役をこなすことが多いので、その営業マンの力量、誠実度などが家づくりの完成度に大きな影響を与えます。営業マンでも、あまりに好条件ばかりいってくる担当者は考えものと言えるでしょう。特に、あなただけにサービスする・・・といつか内容だったら信用しないほうが良いでしょう。その分をどこかで埋め合わせしようといった裏があることも考えておかなければなりません。営業マンの宣伝文句に踊らされることなく、言葉使いや態度を冷静に見て判断し、責任感の強い担当者を選びましよう。また、合わないと思ったら、変えてもらうこともよいでしょう。
建築家や設計事務所の建てる家を「オーダーメイドの服」と例えるなら、ハウスメーカーの注文住宅は「既製品の服」と言えるかもしれません。お店であるモデルハウスや展示場で、実際に完成品を見て、価格や仕様をチェックし、気に入ったら買うことができます。ハウスメーカーの家づくりは、つくる楽しさというよりは、選ぶ楽しさとなります。検討候補それぞれのメリット・デメリットをしっかりと把握して、自分たちの理想にいちばん近いハウスメーカーを探し出すことがポイントになります。
ハウスメーカー側にとっても、家は既製服と同じ「商品」となります。つまり、「今いちばん望まれているもの=売れるもの」を、各社で研究し、それを販売する形とならざるを得ません。企業という大きな組織を駆使して、多くのオーナーの声を集め、それを住宅商品に反映させたり、新しい設備や部材を開発したり、品質管理が徹底しているので、常に一定の完成度も期待できます。ですから、今のトレンドや流行をきちんと抑えた、万人受けする住宅と言えるでしょう。
しかし、建築家や設計事務所のようなオーダーメイドの家と違って、大胆な逆転プランはやはり困難でしょう。自分なりのこだわりも、オプションなどの範囲内で実現することになります。土地の条件が厳しく、一般的な間取りの実現が難しい家や、どうしてもとり入れたいアイディアがある場合などは、ハウスメーカーではなく、ほかの依頼先を検討してみてはいかがでしょうか。
各ハウスメーカーそれぞれ、住宅の工法や構造、得意なデザインや分野などが違うので、まずは情報を集めて研究をすることが重要です。気になるハウスメーカーが絞れたら、展示場やモデルハウスを実際に見学しましょう。そのとき、デザインや間取りより、家の基本性能を重視して見学することをお勧めします。
契約は会社と結びますが、実際におつきあいをしていくのは担当者です。営業担当者選びが重要と言えます。
ハウスメーカーの住宅は大きく分けて2つあります。「注文住宅」と「規格住宅」です。ハウスメーカーといえば、「注文住宅」というイメージが強いのですが、実はシェア的には「規格住宅」のほうが多いのです。大企業ならではの徹底したリサーチをもとに、多くの人に最も必要とされるプランや機能をとり入れたのが、『規格住宅』です。それだけに、安心感という長所と、画一的という短所をあわせもっているのが大きな特徴です。自由設計の家の場合は、品質が保証できる範囲で、フリープランになります。
設計について希望を話せば、メーカーからもある程度の提案はありますが、選択・決定の責任は全面的に施主のものとなります。暮らし方から必要な設備などまで、自分たちでしっかり把握しておく必要があるでしょう。
建築費用が明確にわかることは、ハウスメーカー住宅の大きな利点です。余分な費用をかけないためには、標準仕様のなかに、どれだけ希望の仕様やアイテムが含まれているかがポイントになります。オプションや変更を加えていけば、コストアップに直結します。どちらも品目を厳しくチェックして必要があります。
また、ハウスメーカーとの家づくりはスピーディに進む反面、詳細を詰めていくのがあと回しになりがちなので注意が必要です。最終見積もりを見てびっくりしないように、一段階ずつ、納得しながら進めるのもいいでしょう。
通常の場合は、メーカーの施工部門が担当します。このシステムがしっかりしていることを確認し、工事のプロセスについて、あらかじめ説明を受けておきましょう。
工事中は自分も現場に足を運んで確認することが重要です。指定と違う工事を発見したら、その場で直接指示せず、必ず担当者や担当営業マンんに伝えるようにしましょう。その際のやりとりは電話だけでなく、メールやFAXなどを使って文書を残す、などの対処が必用です。
住宅を長もちさせるには、定期的に点検を行ない、不具合が発見された場合は、早めにメンテナンスエ事を施すことが必須です。各ハウスメーカーでは、各社で定期点検システムを設けていますが、その実施時期や期間、費用、または有償か無償かなどの確認をしておきましょう。さらに、ほとんどのハウスメーカー・では、基礎や床、屋根などの構造体については20~30年間の保証システムを導入していますが、10年目の定期点検の実施、ハウスメーカーが必要と認めた有料のメンテナンスエ事を実施するなどの条件があります。契約前に、メンテナンス体制や保証期間などもはっきり確認しておくことが重要です。
また、引き渡し時には、保守メンテナンスが必要になったときの連絡先などの書類がもらえますが、この時期は引っ越しなどでゴタゴタしがちです。時間の余裕をもって、できるだけくわしい説明を受けることをお勧めします。もしも将来的に、増改築をする予定があるのなら、契約前に伝えておきましょう。
『規格住宅』 |
『自由設計』『注文住宅』 |
|
コスト・費用 | ハウスメーカーごとに、さまざまなグレードのプランがあるが、一般的に自由プランより低価格になっている。プランや仕様・グレードを限定することで、建築部材の仕入れなどにかかるコストを大幅に削減。それがコストパフォーマンスにも大きく反映されている。 | 規格住宅と比較すると.坪単価は高価になる。その工法や構造ではむずかしい設計を依頼すると、さらにコストが跳ね上がってしまうことになるので注意が必要。コストダウンのためには、仕様や設備などを慎重に厳選する必要もある。 |
進め方 | 限定されたプラン集から間取りを選び出すシステムなので、設計にかかる時間や手間が省け、契約までの打ち合わせの回数も非常に少なめ。設計も効率的に進められるため、工期も一般的には短くなる。家の完成を急ぐ人に最も向いている。 | 1からプランを組み立て、納得がゆくまで打ち合わせが繰り返される。したがって、打ち合わせの回数は施主しだいとなる。細かなやり取りや調整が必要なので、規格住宅の場合よりは時間がかかる。工期はプランにより差がある。 |
プランニング | メーカーによって、10~500ほどのバリエーションを用意。各社のノウハウが盛り込まれた、コストと性能のバランスがとれたプランとなる。ただし、間取りや仕様の大幅な変更は困難。その場合には工費もかさむことに注意が必要。こまかな変更にはオプションで対応。 | 営業マンと設計担当者が施主の希望を聞き、それをもとに1からプランを作成。スムーズな打ち合わせの進行のためにも、お互いの相性がより重要になる。個性的な家がつくれる反面、暮らしやすさに欠ける家ができてしまうケースもあるので注意が必要。 |
※記事内には「PR」の宣伝活動および、アフィリエイト広告が含まれております。