★家づくりのパートナーを選ぼう!!
「どこに家づくりを頼むか」という依頼先選びは、家づくりを成功させる最大のカギを握っています。注文住宅をお願いすると言えば、ハウスメーカー、工務店、設計事務所、建築家などが一般的です。それぞれの依頼先ごとの特徴を把握して、自分が建てたい家にぴったりのパートナーを探してみましょう。
注文住宅を建てるとき、まず決定しなければならないのが、その家づくりを注文する依頼先です。依頼先には大きく分けて、建築家・設計事務所、工務店、ハウスメーカーの3つがあり、それぞれにメリットとデメリットがあるのでよく理解しましょう。
【建築家・設計事務所】
「デザインされた家に住みたい」「オーダーメイドの家をつくりたい」「こだわりの住宅を建てたい」という人に最適な依頼先が、建築家・設計事務所です。設計の自由度がもっとも高く、家族の要望に応えた間取りや、好みのデザインを実現してくれます。しかし他の依頼先に比べて設計や施工に時間がかかるので、完成までに日程的な余裕がある人に向いています。設計と工事監理を業務としているところなので、施工は工務店に別途依頼することになります。建築主から施工業者を指定しなくても、建築設計事務所のほうで、信頼できる施工会社を紹介してくれます。
【工務店】
設計から施工までを、一貫して引き受けるのが地域密着の工務店です。地域密着型の小規模な工務店から、全国的にフランチャイズしている大規模な工務店まで、さまざまな会社があります。伝統的な木造軸組工法による家を得意とすることか多く、地元の信用を重視するため、きめ細やかな対応が期待できます。展示場やモデルハウスをもっている会社もありますが、それらがない工務店が大半です。ここに依頼する場合は、施工だけを依頼するのか、設計と施工を依頼するのか、ふたつのパターンがありますが、その工務店に設計部がある場合は、設計・施工を依頼することになるのが一般的です。設計部がない場合、多くは外注の建築設計事務所の建築士が設計を担当することになります。
【ハウスメーカー】
安定した品質の家を建てたい人におすすめなのが、ハウスメーカーです。ハウスメーカーは、独自の研究による最新技術を駆使した規格住宅を、建主の希望や敷地条件に応じて、設計プランを立ててくれるのが大きな特徴です。住宅展示場に自社のモデルハウスがあるので、車のショールームのように、いろいろな実際の建物を見ることが可能です。部屋の大きさや雰囲気、質感を確認できるのが大きなメリットです。その半面、展示されているものには、別途費用のかかるオプションがたくさん使われているので、惑わされないように冷静に見学してください。設計や施工の依頼は、展示場にいる営業マンが最初の窓口となってくれます。
ハウスメーカー | 工務店 | 建築家・設計事務所 | |
情報収集 | ホームページからカタログを請求する。モデルハウスで説明を聞くなどの方法が一般的です。住宅展示場にはさまざまなハウスメーカーのモデルハウスが建ち並び、数社を比較して選ぶ ことができます。 | 知り合いや親戚の紹介というケースがほとんどです。地元になじみの人がいない場合、インター ネットや広告などで情報収集をします。住宅プロデュース機関などで紹介してもらう方法も。 | 住宅情報誌や設計事務所の紹介サイトなどで、好みや要望にあった建築家を探し、連絡を取ります。設計事務所のホームページでは、過去の作例を紹介していることも多いので、チェックしてみましょう。 |
設計料 | 高額商品からローコスト商品まで幅広い価格設定があり、予算に応じて選ぶことができます。坪単価で表示されているのは、標準仕様の価格です。オプションを追加すると、費用に加算 されていきます。 | ハウスメーカーに比べ、設計料は一般的に割安です。設計料は工事費用に含まれているので、見積もりの明細を確認しておきましょう。見積もりが不明瞭な場合は、はっきりさせておくことが大切です。 | 設計監理費として、工事費の10~15%程度 を払うのが一般的です。設計監理費には、設計料のほか、工事中の監理費も含まれています。建物の工事費は、工事をおこなう工務店に直接支払います。 |
デザイン・設計 | 最初に数種類の標準仕様住宅(規格住宅)があり、そこに設計変更やオプションを加えて、建主の希望に応じた住宅を設計します。大量生産された部材を組み合わせてつくるので、細かな要望に応じきれない面もありますが、メーカーならではの最新技術が生かされ、均一化さ れた品質が期待できます。 | 工務店は施工を主軸とするため、家の形はオーソドックスになりがちで、設計の提案が少ないというデメリットがあります。反面、自分がぜひ使いたいエクステリアやシステムキッチンなどがあれば、柔軟に取り入れてもらえる大きなメリットもあります。また、独自の設計力を売りにしている工務店もあります。 | 建主の要望を、オーダーメイドで具体的な形にするのが建築家の仕事。狭い敷地を上手に使って広々した住環境を考案したり、周辺に配 慮して通風や採光を工夫するなど、個々のケー スに合わせたプランを立ててくれます。建築家 により得意とする作風が異なるので、過去の作例を参考に建築家を選びましょう。 |
工期 | 工場生産の部材を組み立てるため、工期が短 く済むのがメリットです。一方、発注期間に合わせるため、部材の選定期限をせかされるデ メリットも。 | 設計期間が短い分、全体の工期は短縮され ますが、工務店や工法によって差があります。 現場の顔がよく見えるのが、工務店の良さ。 多少、工期の遅れがある場合も。随時確認をしましょう。 | 打ち合わせを通じてプランを練り上げ、一から設計をおこなうため、設計期間は長めになりま す。設計から完成まで、最短でも10ヵ月程度を見込んでおきましょう。 |
敷地条件 | 規格品を組み合わせて家を設計するので、変形敷地などへの対応が困難な場合があります。敷地条件や立地条件によって建てられない場合は 自由設計となり、規格品より費用がかさむこともあります。 | 工務店が得意とする木造軸組工法は設計の自由度が高く、変形狭小敷地に対応しやすいという利点があります。しかし、敷地の使い方はオーソドックスになりがちで、独創的なプランは生まれづらい面もあります。 | 住宅密集地、変則的な土地、狭小地などの敷地条件にも対応できるのが、オーダーメイド ならではの利点です。厳しい敷地条件のなかで、建主の要望にこたえた、快適な家づくり のプランを考えてくれます。 |
工事管理 | 施工は下請け業者に一任されます。工事が始まると、工事責任者に相談窓口が変更されること も。工事監理者の立場が確立しているかを確認しましょう。 | 設計と施工が同一会社になるため、工事監理が名目上のものになっている恐れがあります。工事を第三者的にチェックする仕組みがあるか、確認しましょう。 | 工事監理とは、工事の進行具合や内容をチェッ クすることをいいます。建築家は第三者の立場から施工を監理できるため、手抜き工事の防止に役立ちます。 |
工事費 | 規格品を組み合わせて家を設計するので、変形敷地などへの対応が困難な場合があります。敷地条件や立地条件によって建てられない場合は 自由設計となり、規格品より費用がかさむこともあります。 | ハウスメーカーに比べて工事費は一般的に割安ですが、他社と比較しづらいデメリットもあります。コストを無視した極端な割引交渉は、手抜き工事を生む原因になるので、避けたほうが よいでしょう | 建築家が紹介してくれる何社かの工務店に見積もりを頼み、比較して選びます。建築家は、 工事費用の相場について熟知しています。見積もりを一緒にチェックし、不明な点は相談し てみましょう。 |
アフターサービス | アフターサービス体制が体系的で、それが各ハウスメーカーのセールスポイントとなっています。引 き渡し後も、リフォームなどの受注のため、担当者が定期的に連絡をしてくることがあります。。 | 地元に根ざした工務店が重視するのは、地元のお客さんの信用。完成後もちょっとした手直 しに応じてくれるなど、迅速な対応が期待でき ます。工務店ごとのアフターサービス体制も確認しておきましょう。 | 建築家によってサービス体制は異なりますが、 良心的な建築家ほど、完成後も気にかけてく れるもの。細部の手直しやリフォームで相談することも多いので、完成後もよい関係を保つようにしましょう。 |
建売り住宅は不動産会社の分譲地にある1軒1軒の物件から選ぶことになりますが、注文住宅は土地を確保したあと、家を建てる依頼先を選ばなければなりません。依頼先には大きく分けて、ハウスメーカー、工務店、設計事務所があります。
ハウスメーカー | 工務店 | 設計事務所 | |
設計デザイン | 数種類の標準仕様住宅(規格住宅)に商品名をつけ、設計変更やオプショ ンなどのマイナーチェンジを加えて 施主の希望に応えていく。部材を大量生産することにより商品の質や価 格をある程度に保っているため、細かな要望には対応できないことも少 なくない。 | 地元密着の小さな会社が多く、木造軸組工法など古くから日本にある工法でオーソドックスな家を建てるのが得意。設計の自由度が高く 、細かな要望に応えられるが、斬 新な企画や最先端のデザイン提案などはあまり得意でない。 | 案件ごとに工務店を選んで施工させるので、工法や設備などの制限はいっさいなく、デザインや間取りでも規格品にはない斬新な提案をしてくれる 。ただしデザインを優先する あまり、暮らしやすさより見た目重 視の家になる可能性があるので、方 向性をよく話し合うことが大切。 |
コスト | 高額商品からローコスト商品まであ るが、坪単価などで表示されているのは標準仕様の場合。オプションを 多く採用するとコストアップするので、どこからどこまでが標準なのか チェックが必要。 | ハウスメーカーに比べて、一般にコストは割安。設計費は工事費用に含まれる。見積りの明細が不明瞭な場合もあるので。チェックが必要。 | 設計事務所に支払うのは工事費用の 8~15%程度の設計監理費。工事中の施工監理費もこの中に含まれる。工事費用は実際に工事を行った工務店に支払う。 |
施工 | 工場生産の部材を使って工場で組み 立てるので、品質にムラがない。現 場では据付工事がメインなので、大 工によるバラつきが少ない。工期は 短くすむ。 | 抱えている大工の腕次第なので、業者による力の差が大きい。 | 施工会社の選択肢を多く持ち、プロの目で物件に適した施工会社を選んでくれるので安心。建主の立場から施工監理するため、欠陥住宅が生まれにくい。 |
アフター | 自社のアフターサービス体制を体系 化し、セールスポイントにしている メーカーが多い。また、引渡し後もリフォームエ事の受注のために、営業担当者が定期的に足を運ぶことがある。 | 地元の信用を第一に営業しているた め、問題があれば迅速に対応するケ ースが多い。ただし、業者によってバラつきが大きいので、住宅性能保証制度の登録業者を基準にして選ぶと安心。 | 建物の保証は施工業者が担当。ほかにトラブルがあった場合の連絡先などは、引渡し時にしっかり確認する 必要がある。 |
情報源 | モデルハウスに出向き気に入ったメ ーカーのカタログをもらったり、ホー ムページからカタログ請求するのが 一般的。大手ハウスメーカーでも展示場ごとに異なる商品を出展しているので、 同一メーカー内で見比べることも可。 | 昔からの知り合いや知人の紹介というケースが大多数。地元になじみがない場合などは、インターネットや チラシなどを見てチェックすることもできる。 | 住宅情報誌や雑誌、設計事務所の紹介サイトなどで設計事務所を知り、連絡を取る。これまでの実績をホームページで写真とともに紹介している事務所が多いので、テイストが気 に入った建築家から絞り込む。 |
★依頼する業者は必ず複数検討しましょう!!
工務店にするのか、それともハウスメーカーや設計事務所や建築士に依頼するのか、おおよその方向性が決まったら、複数の業者をピックアツプし、大切な家づくりをまかせられる相手かどうか確認しましょう。まずはその会社を訪問し、事務所の様子や近隣の評判などを確かめます。次に経営者や担当者。現場の棟梁などに会い、家づくりについてじっくり話をしてみましょう。話すうちに家づくりに対する姿勢や自分たちとの相性が見えてきます。さらに建築中の現場を見せてもらうよう依頼し、足を運んでみましょう。ハウスメーカーや設計事務所の場合も現場で作業をするのは下請けの工務店や孫請けの職人です。完成前の現場は施工業者の質を見極めるうえでとても参考になりますので、ぜひチェックしておきましょう。
★こだわりたい人は設計事務所・建築家がおススメ!!
注文住宅は、どこに依頼するかが大きなポイントです。ハウスメーカーは、自由に家をつくりたいこだわりのある方には不向きでしょう。効率的でシステマチックになっている半面、なかなか融通が利きません。また、工務店は設計に物足りなさを感じるかもしれません。外注の建築設計事務所に設計を依頼しますが、外注費や予算の関係上、「よくある建物」「無難な設計」になりがちです。ただ、「とにかく安く、早く」という人には向いているでしょう。建築設計事務所は、とにかく設計にこだわりたいという人にはお勧めです。
★家づくりのパートナーが決まったら
家づくりのパートナーが決まったら、具体的なプランニングにとりかかります。このとき、しっかりと家族の希望や要望を伝えることが、住み心地のよい家づくりのキーとなります。モデルハウスなどを見て回ると目が肥えて、あれもこれもと欲張りがちになりますが、自分たちに本当に必要なものはなにか、この先なにが必要になるかを家族全員で話し合うようにしましょう。家族の希望はプランニングの打ち合わせ時に伝えます。このとき、「絶対に譲れない条件」「できればかなえたい条件」など優先順位をつけて伝えると、プランニングが大きくずれることはありません。また、どんな些細な希望でも、プロならではのアイデアで実現できることも少なくありませんの で、遠慮なく相談しましょう。
家族のライフスタイルと希望の伝え方
新しい家に何年 住むつもりか考える子どもが成長したら住み替 えをするのか、それとも同じ家にずっと住み続けるの か、家の耐久性能と比べながら想定する。
家具や持ち物をチェックする
現状ある家具の数やサイズをすべて測って書き出しておく。書籍が多い場合は書棚コーナーをつくったり、趣味の美術品があれば飾り棚をつくり付けるなど、細かなプランニングで満足度が高まる。
家族構成の変化を想定する
子どもの誕生から成長から独立や親との同居の可能性を考え、家族構成の変化によるリフォームも見据えた間取りを考える。
希望条件をランク付けする
すべての希望を並べてみると、両立が不可能なケースもある。そのときは家族で話し合い、優先順位を決めておく。
家族全員の希望を書き出す
希望がかたよらないよう、高齢者から子どもまで全員が希望を書き出す。イメージを伝えやすいように、雑誌やカタログで気に入ったデザインや間取りを見つけたら切り抜いておくようにするとよい。
現在の住まいへの不満を書き出す
「キッチンが暗い」「収納スペースが狹い」「日当たりが悪い」など、現在の住まいへの不満は、新居のプランニングの参考になる。
プランニングの打ち合わせ
まとめた要望を写真の切り抜きとともに設計者や営業担当者に見せながら希望を述べる。プランにこだわりがあるほど打ち合わせの回数は多くなるが、打ち合わせた内容は書類に残し、必ず保存するようにする。
※記事内には「PR」の宣伝活動および、アフィリエイト広告が含まれております。