
工務店の「値引き交渉が最もスムーズに進む時期」、そして「最も大きな金額の値引きが狙える時期」をご紹介しました。更には、「一番効果的な値引き交渉の方法」も非常に参考になるのではないでしょうか?
しかし
工務店の値引き交渉において、これだけは注意して欲しい点が一つあります。
それは過剰な値引きの要求、常識はずれの金額の要求はしてはならないということです。当たり前ですが物事には限界があります。工務店とのお付き合いは、とても長いものとなります。契約から竣工までも半年から1年、その後のアフターサービスやメンテナンスを含めると、20年~30年というとても長いお付き合いになるのです。契約交渉時に法外な値引き金額の要求や、強引な値引き交渉、過剰な要求は、非常に相手方の心象を悪くします。その後のお付き合いに響いてくるのです。値引きは多い方が嬉しいですが、そこには程度というもがあります。常識範囲内での値引き交渉を心がけましょう。
では、常識範囲内の節度ある値引き交渉の金額とはいくらなのでしょうか?
一般的に工務店が行える値引きのは、見積もり金額の3%から7%だと言われています。工務店のような、どちらかと言うとリーズナブルな価格がウリのハウスメーカーでは、徹底的なコストカットが行われているので、実際に値引きができる範囲は非常に小さくなっています。現実的には工務店では5%くらいが上限ではないでしょうか。他の工務店も含め、上記の範囲内が常識的な値引きの金額と言えるでしょう。それを超えての要求は、やはり相手方の心象を非常に悪くするでしょう。しかし仮に、このような範囲を超えるような大きな金額の値引きが実現したとしても、実は大きなリスクもあるのです。
常識範囲を超える、法外な値引きが実現しても、そこには大きなリスクが潜んでいるのです。
工務店は家を作るプロです。予算の範囲内で家を建てることが出来るのです。もちろん契約書の内容と異なる部材や建材を使ったり、仕様や構造を変えるということはしないでしょうが、大きな値引きを行った場合は、あらゆる手を使ってコストカットを行なってくるでしょう。
すぐに考えつくのが、工費の削減・コストカットです。工賃や施工費が安い職人や施工業者、下請けを使って工費を削るのです。施工費が低い職人が工事を行えば、仕事の質が下がるのは必然です。通常、使っている業者よりも施工のクオリティーは明らかに下がります。下がる程度なら良いのですが、場合によっては「手抜き工事」になりかねません。そしてひどい場合には「欠陥住宅」も考えられるのです。決して工務店で値引き交渉をすると「手抜き工事」「欠陥住宅」になると言っているのではありません。度を越える、法外な値引きの要求は危険なことだと言っているのです。
・値引き交渉は常識範囲内で行いましょう。
・工務店とは長いお付き合いになります。
欠陥住宅が生じる原因はさまざまですが、主なものとしては設計ミス、施工不良、材料の品質不良、監理不足などが挙げられます。設計段階での構造計算の誤りや、施工段階での手抜き工事、不適切な材料の使用などが具体的な例です。欠陥の種類としては、構造上の欠陥(耐震性能の不足、基礎の不同沈下など)、防水上の欠陥(雨漏り、結露など)、設備上の欠陥(配管の不良、電気設備の不備など)、断熱・気密上の欠陥(断熱材の施工不良、気密性の低さなど)が代表的です。特に深刻なのは構造上の欠陥で、柱や梁の接合部の不良、筋交いの欠落、基礎の亀裂などは住宅の安全性に直結します。これらの欠陥は専門家でなければ発見が難しく、素人目には完成した状態では判断できないことが多いため、問題が表面化した時にはすでに取り返しがつかない状況になっていることもあります。
欠陥住宅の問題を未然に防ぐためには、工務店選びの段階から慎重な対応が必要です。まず、工務店の実績や評判を徹底的に調査しましょう。過去の施工事例を見学させてもらい、できれば数年前に建てた住宅のオーナーの声を聞くことも有効です。また、建築士や住宅診断の専門家など、第三者の目を入れることも重要です。設計段階では、構造計算書や図面を建築士に確認してもらい、施工段階では定期的に第三者の検査を入れることで、欠陥を早期に発見できる可能性が高まります。契約前には、保証内容や瑕疵担保責任の範囲を明確にし、住宅瑕疵担保責任保険への加入状況も確認しておきましょう。この保険は2009年10月以降に建築確認を受けた新築住宅では加入が義務付けられており、万が一の欠陥発見時の補償を受けることができます。また、工事中の写真記録を残すことも重要です。特に基礎工事や構造部分、断熱材の施工など、後から確認できなくなる部分は必ず写真に残しておくべきでしょう。
もし住宅に欠陥が見つかった場合、まずは工務店に連絡し、状況を説明して対応を求めることが基本です。しかし、工務店が適切に対応してくれない場合や、欠陥の程度が深刻な場合は、法的な対応も視野に入れる必要があります。まず、建築士や住宅診断の専門家に依頼して、欠陥の有無や程度を客観的に調査・診断してもらいましょう。その結果をもとに、工務店との交渉を進めます。交渉が難航する場合は、住宅紛争処理支援センターや消費生活センターなどの公的機関に相談することも一つの選択肢です。これらの機関では、専門家による調停や斡旋などの紛争解決手続きを利用することができます。それでも解決しない場合は、弁護士に相談し、訴訟も視野に入れた対応を検討することになります。欠陥住宅問題に詳しい弁護士や、欠陥住宅被害者の会などの団体に相談することで、適切なアドバイスを受けることができるでしょう。なお、欠陥住宅の訴訟には時効があり、一般的には引き渡しから10年以内(重大な瑕疵の場合)とされていますので、問題発見後は迅速な対応が求められます。
欠陥住宅問題から身を守るためには、消費者自身が住宅に関する基本的な知識を持ち、工務店選びから施工、引き渡し後まで、常に注意深く関わることが重要です。安さだけで工務店を選ぶのではなく、実績や評判、保証内容なども含めて総合的に判断しましょう。また、専門家の目を入れることで、素人では気づかない問題を早期に発見できる可能性が高まります。住宅は一生に一度の大きな買い物であり、その質は長期にわたって生活の質に直結します。「安かろう悪かろう」ではなく、適正な価格で適正な品質の住宅を手に入れるためにも、消費者自身が賢い選択をすることが求められています。欠陥住宅の問題は、事前の予防と早期発見が何よりも重要です。工務店との良好な関係を築きながらも、必要な場面では毅然とした態度で自分の権利を主張できる賢い消費者になることが、理想の住まいを実現する鍵となるでしょう。
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