昔から火を囲む家族の生活は、豊かな幸せを感じさせてくれてきました。しかし、直火による火災の危険性は大きく、そのため昔の厨房には「火の用心」の札が貼られ、安全・安心の面から最も注意しなければならない場所とされてきました。そんな厨房の熱源として、都市ガスやプロパンガスのコンロに親しんできた私たちの生活に、電気のクッキングヒーターの出現は大きな変革をもたらしています。
電気を熱源とするクッキングヒーターには、発熱部の構造の違いで3種類の方式のものが現在普及しています。
①シーズヒーター式
電気を流すと発熱するニクロム線を用いた電ネシウムで絶縁して、金属パイプに収めたものがシースヒーターです。ガスコンロと同じように使えるので、初代のクッキング用調理器の発熱部として使われ、今でもホテルや一人暮らし向け賃貸住宅などに多く見られます。
②ラジエントヒーター式
セラミック内に発熱体を埋め込んだセラミックヒーターを熱源に利用するものです。遠赤外線を発生させて物を温めるので、食材の内部にまで熱を伝えやすい特徴があります。どんな鍋でも使えるので、後述するIHクッキングヒーターの1口をこのタイプにして、IHでは使うことができない耐熱ガラス鍋やコンビニのアルミホイル鍋を使えるようにしたり、アミの上であぶり焼きができるようにしている製品があります。
③IHヒーター式
オール電化住宅で注目されているIHクッキングヒーターは、電気と磁気の相互作用でヒーターに載せた鍋の底を発熱させるため、電気を熱に変える熱効率が約90パーセントと高く、さらにセンサーと組み合わせて細かな温度調節ができるので、今までにない機能と利便性を実現できるメリットがあります。ただし、鍋底に磁気を加えてそこにうず電流を発生させるしくみのため、鍋底が電流を発生しにくい材質や形状の鍋が使えないことや、コンロのように焼いたりあぶったりがきない一面があります。
高周波の磁力で鍋底にうず電流を発生させて鍋底を発熱させる!!
調理器のトップパネル下には電線を幾重にも巻いたコイルが置かれていて、コイルに電流が流れると、それによってコイルの回路に磁力が発生します。これは、電池に豆電球をつないで電流を流すと、電線のそばに置いた磁石の針が振れるようすが実験で観察できるのと同じ原理です。コイルで発生した磁力は、すぐ上に置かれた鍋の底を通過しますが、このままでは鍋底は発熱しません。そこでもう一度理科の授業で試した実験を思い出してみましよう。コイルに磁石を近づけたり遠ざけたりしたときに、コイルにつないだ電流計の針が振れるという実験です。つまり、磁力が変化すると、その変化を妨げようとする電気の力が発生して、そこに電気を流す物質(導体)があれば物質内に電流が流れるのです。
そこで、クッキングヒーターのコイルに流す電流を高速で変化させてやると、鍋底を通る磁力も高速で変化し、それによって鍋底には電流が流れ出します。この電流はうず電流と呼ばれ、うず電流が流れた鍋底は、ニクロム線に電流が流れて発熱するのと同じ原理で、発熱するのです。ただし、電流が流れて発熱する点はほかのヒーターと同じですから、鍋底がある程度の電気抵抗(電気の流れを妨げる性質)をもっていないと効率よくは発熱しません。つまり、銅やアルミニウムといった電気をよく通す(電気抵抗の小さな)材質の金属鍋や、底の厚みが薄い鍋では効率よく加熱されず、電気をまったく流さないガラス鍋や土鍋ではまったく加熱できないのです。
IHに最適な鍋の材質は、磁石によく付く鉄鍋で、ステンレスでも磁石が付く物なら使えます。なお、クッキングヒーターのコイルには、1秒間に約2万5干回も振動する大パワーの高周波電流が流れるので、多少の電磁ノイズが出るほか、時計など磁石に弱い物を近づけると故障するおそれがあります。また、同じIHの炊飯器をヒーターの上に載せて使うのも危険です。
掃除の簡単ざとセンサーでコントロトルしやすい多機能きが魅力!!
裸火を使わないため、安全、クリーンというイメージばかりが強く広かっているIHクッキングヒーターですが、最近の隆盛を後押ししているのはそれだけではありません。人気を裏付ける特徴や機能を拾ってみましよう。
①火力が強い
立ち上りが速く、熱効率がよい。うず電流の発生により、直接鍋を加熱するので、鍋の加熱が早く、熱への変換効率が高い。
②安心である
裸火を使わないから、やけどや火災の心配が少なく、高齢者、子供のいるところでは安心です。立ち消えの心配がない。「切り忘れ防止」で自動的に切れる。子供のいたずら防止に「チャイルドロック」があるなどの機能も備わっています。ただし、揚げ物時に極端に油が少ないとセンサー制御に支障をきたすので使用上の注意も大切です。
③清潔である
調理面がフラットで、掃除や手入れが簡単です。
④使いやすく便利である
火力調節がワンタッチで操作も楽。センサーで電気のコントロールが容易なので設定温度がキープできる機能が使えます。
⑤地球環境にやさしい
燃料エネルギーをどれほど無駄なく調理加熱に利用できるかをガスコンロと比較すると、IHは省エネ的には劣るものの、無駄な熱を放出しないので熱効率が良く、発電所で生じたエネルギーロスをカバーして、総合的にCo2の発生を少なくできます。
IHクッキングヒーターは、センサー制御で細かく熱量をコントロールできるのが一番の特徴です。そのおかげで、揚げもの料理で油の温度が一定に保てたり、お湯が沸騰しすぎて吹きこぼれることがありません。とくに安全機能が充実していることも人気の理由です。以下の安全機能は、メーカーや機種によって若干呼び名が異なる場合がありますが、ほとんどの機種に備わっている機能です。
①切り忘れ防止
スイッチをオフにするのを忘れても、最終操作から一定時間が過ぎると、自動的に通電がストップします。
②空だき自動防止
鍋の空だきなどで鍋底の温度が上がり過ぎると、自動的に通電がストップします。
③鍋なし自動オフ
鍋を載せ忘れて一定時間を過ぎると、自動的に通電がストップします。
④チャイルドロック
小さな子供がスイッチをいたずらしても、操作を受けつけない安全機能が付いています。
製品カタログを見るときのポイントはヒータータイプの違いを見る!!
IHクッキングヒーターを導入する際に、ます決めなければならないのが製品選びです。製品を選ぶときのポイントを整理してみます。まず、IHクッキングヒーター本体の横幅は、標準的なガスコンロの幅と同じ規格になっているので、ガスコンロのスペースにそのまま置き替え可能です。そこで、設置場所に合わせてタイプが決まります。
①ビルトインタイプ
システムキッチンに組み込むタイプです。現在、IHクッキングヒーターの需要の80パーセントがこのビルトインタイプといわれます。ビルトインタイプには、トッププレートの横幅が60センチのものと75センチのものの2種類があり、リフォームでどちらを選ぶかは、今使っているコンロのトッププレートの幅を参考にすればよいでしょう(本体の大きさはどちらも同じ)。ただ、ガスコンロと違ってIHは、調理中に鍋底をヒーターロからすらして熱量を加減できるので、そのためにはトッププレートが広いほうが使い勝手がよくなります。キッチンスペースとの兼ね合いで決めるとよいでしょう。また、マンションなどの省スペース用もあります。
②据置タイプ
コンロ置き台に据え置くタイプです。今使っているガスコンロの場所にそのまま置き替えます。ビルトインでも据え置きでも、どちらも専用のコンセントを設置場所付近に新設して電源を確保します。
③フリースタイルタイプ
換気を気にする必要がない特徴を生かしてライフスタイルに合わせたキッチンが採用できます。
今発売されている製品は、同じビルトインタイプでもさまざまな機種があります。これは利用者の使い勝手に合わせてコンロの口数や各口のヒーター方式、熱量を選べるようにバリエーションを持たせて品揃えがされているからです。たとえば、もっとも一般的な3ロタイプでは、3口すべてが-Hヒーター式のもののほか、1口をラジエントヒーターにして網焼きができるようにしたものがあり、価格的には1~2万円ほど安くなっています。また、3口すべてが-Hヒーター式でも、銅鍋やアルミ鍋にも対応したオールメタルタイプという高性能ヒーターを採用したものは、通常のものより1口につき約5万円高くなります。
さらに細かく見ていくと、IHヒーターの熱量(火力)も2キロワットから3キロワットまであって、2キロワットは普段の調理に適したガスのハイカロリーバーナーに相当する火力、3キロワットは火力が非常に強く、短時間での湯沸かしや大筮の具材を調理するのに便利な火力というように違いがあります。なお、3口型の3口目は、1.2キロ~1.5キロワットの小熱量が一般的です。なお、ほとんどの機種が、合計最大消費電力の上限(通常5.8キロワット、設定で4.8キロワットに変更可)が設定されていて、それを超えると自動的に火力が調整されるようになっています。
魚を焼いたりするロースターは、ラジエントヒーターで両面焼きが一般的な仕様です。また、オーブングリル機能を搭載したものもあります。最近は、脱煙・脱臭機能が付いて、室内に臭いを出さないものが人気です。各部の取り外しが容易で掃除が楽なものが主流で、受け皿に水を張るタイプや、フツ素コーティングで水張りが不要なタイプ、アルミ箔を敷く夕イプなどがあって、使い勝手を考えて選べるようになっています。
ガスでの調理と光熱費はほとんど変わらない!!
IHクッキングヒーターの導入コストは、製品価格と電気工事代とな0ます。IHクッキングヒーターの本体価格は、標準的な3口タイプで万円ほど、それに分電盤に専用ブレーカーを設置して、そこから厨房まで200ボルトの配線を施設するための工事費用が必要になります。配線工事は、その住宅の構造が、壁や天井裏(床下)に電線を容易に通せるかどうかで手間や作業が変わるため、個々に見積もりが変わります。たとえば、ツーバイフォーエ法の住宅では、壁の縦方向や1階の天井ふところには電線を通しづらい構造になっています。
さらに、月々の電気代がガスコンロに比べてどの程度になるのかは竟になります。電力会社では、ガスに比べて熱効率が高く火力が強いので、調理時間が短時問ですむため、ガスの場合とほば同じ料金になる、と説明しています。つまり、無駄な加熱を避けて、てきぱき調理を行えば、経済性を確保しつつ、安全性や清潔性の恩恵に預かれるということのようです。なお、東京電力と沖縄電力の2社は、IHクッキングヒーターを使う場合に電気料金が割引になる「電化厨房住宅契約」というメニューが用意されていて、電気使用料金を一律3パーセント(上限500円まで)割り引くといった便宜が図られています。ただし、東京電力は、電力需要が高まる6月から9月までの夏季期間には適用されないほか、オール電化住宅契約との併用はできません。
適した鍋の材質は厚手の鉄とステンレス!!
IHクッキングヒーターに適した鍋の材質は、鉄(ホーロー、鋳物)やステンレスといった、磁石にくっつくものです。そしてある程度厚みのあるものが適しています(底が薄いと、加熱で変形したり赤熱することがあります)。いっぱう、アルミや銅製の鍋はIHには適しませんが、ヒーターが高性能なオールメタル対応なら、アルミ鍋や銅鍋が使えます。電気を通さないガラス鍋や土鍋は使えませんまた、最近、鍋底に金属を埋め込んだIH用土鍋も売られています。
鍋底形状によっても、IHに適するものと適さないものがあるので覚えておくようにします。最適なのは、底が乎りで、底の直径が約12?26センチのものです。鍋底の丸いものや、反0、脚があってプレート面から3ミリ以上の隙間が空くものはIHには向きません。そして底の直径が12センチ未満のものも、十分な加熱が得られなかったり、安全機能が働かないなどのおそれがあって、適しません。持っている鍋の適不適は、実際に湯沸かしに使ってみればすぐに分かります。適さない鍋を使おうとすると、ヒターに点滅警告が出てパワーが切れるのですぐに判断がつきます。なお、IHクッキングヒーターの導入を機に鍋を新しく購入するなら、メーカーの推奨品や、-H対応と明記され、(財)製品安全協会が安全と認めたSG(セーフティーグッド)マークの付いたものを選ぶと安心です。
ガスコンロとの置き替えなら何も問題なし!!
すでにガスコンロが置かれていた場所にIHクッキングヒーターを設置するのなら、法的な規制はクリアーされているはずです。設置場所の変更をともなうリフォームの参考に、法的規制について説明しておきます。
①建築基準法
IHクッキングヒーターは、火を使わないため建築基準法による換気設備の設置は適用されません。ただ、調理時の油や蒸気による空気の汚れや、臭いを取り除くための換気(レンジフードファン)は必要になります
。
②火災予防条例
消防法に基づく火災予防条例で、地域によって、上部および壁面とIHコンロとの離隔制限があるので注意が必要です。
③東京消防庁の審査基準
東京消防庁の予防事務審査・検査基準に集合住宅における規定があり、内容は「レンジフードのグリス除去装置とIHクッキングヒーターの離隔距離は80センチ以上とする」というもの。この考え方は防災的にも準用するのかよいでしょう。
1989年の国交省運用指針に、「シーズヒーターの電化厨房の換気は、毎時300立方メートル以上の換気暈を必要とする」との記述があります。2005年の建築学会では、IHクッキングヒーターの厨房の必要換気量は毎時150立方メートルと提案されましたが法制化されていません。ただしレンジフードの排気風量、構造、材質については条例などの適用を受けるので注意が必要です。
製品が決まれば工事は1日で終わる!!
ガスコンロを-Hクッキングヒーターに転換するときの留意点を掲げてみましよう。
①施主は事前に実物を見学して、メーカーや電力会社のショールームなどで調理の実演に参加することをおすすめします。そのとき疑問点は解消しておきます。
②施主は機器の設置場所、既存の調理室(台所)の改修を立案したら、電力会社の相談窓口やメーカーまたは設計事務所、工事店に相談します。
③施主は②に基づく予算を把握します。契約書の(金額、図面、工期など)確認の後、予算が合えば発注します。また、施主はガス会社に変更届と電力会社に供給契約の変更届を行います。
①電源として、単相3線式100/200ボルトが必要となり、単独回路として約3キロボルトアンペアの容量を増設しますから、既存の引込線と分電盤の主ブレーカーなどの取り替えが必要となる可能性が大きくなります。ただし、オール電化でエコキュートの導入も同時に行うのであれば、総合的に検討が必要になります。
②IHクッキングヒーター用の専用配線用プレーカーと、それからの接地線を含んだ3心のケーブルならびに接地極付コンセントを設備します。機器はコンセント接続とし、ケープルを端子に接続しないのが標準です。
③電気工事は資格を持った電気会社(工事店)に依頼します。
IHクッキングヒーターには、分電盤に専用の200V30Aの配線用ブレーカーを設けて電源を供給する。分電盤にブレーカーを取り付ける空き(スペース)がないときは、分電盤を取り替えるか、増設することになるが、分電盤の取り替えは高額になるので、通常は増設とする。
調理中は鍋から目を離さないというのはIHでも同じ!!
IHクッキングビーターは、火を使わないことから火災の心配はないと思い込んで油断してしまう人が多いようです。確かに、IHクッキングヒーターはセンサーで鍋の温度を常に監視して、鍋が火災につながるような温度にならないように制御してくれるので、火災の危険はありません。しかしこれはあくまでも取り扱い説明書に書かれた正しい使い方を守っていることが前提で、説明書で禁じられている使い方をしていては、自ら安全を放棄したのと同じです。
たとえば、国民生活センターの実験報告によれば、指定外の鍋に説明書では禁じられている油量で天ぷらを揚げたときに、センサーが働かすに油が発火する場合があるとのレポートがあります。鍋底に隙間があって、センサーで正しく温度検知ができなっかたことが原因のようです。いくら安全とはいえ、油鍋をかけたまま目を離すことが危険であることはだれでもわかります。また、コンビニで売られているアルミホイル鍋の食品は、アルミホイルが赤熱して溶けてしまうおそれがあるので使用してはいけません。IHクッキングヒーターは説明書に書かれているとおりに正しく使うことが必要です。
同じIHを使用するIH炊飯器を、IHクッキングヒーターのプレートに載せて使うと、干渉して機器を壊すおそれがあるのでやめましょう。また、IHクッキングヒーターからはごく弱い電磁波が出るので、近くに磁石に弱い物を置いたり近づけることも避けます。
IHクッキングヒーターが電磁波を利用することから、人体への影響を気にする人もいるようです。国民生活センターの実験報告によると、IHクッキングヒーターから発生する電磁波の強さは、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドライン値よりも小さかったと報告されています。国際非電離放射線防護委員会 のガイドライン値は、世界保険機関(WHO)が電磁波の安全基準として採用すべきと勧告している限度値で、電磁波によって引き起こされる神経や組織への刺激作用に対して、十分大きな安全係数を織り込んだものです。
以前は電磁波のことなどあまり問題にされませんでしたが、近頃では電磁波が体に悪いという認識は、どなたもある程度はお持ちかと思います。しかし、そうした認識とは裏腹に、電磁波を大量に発生する電化製品や電気自動車、携帯電話等が年々増加傾向にあるのですが、日本では電磁波の情報が正しく開示されていないように思います。
欧米諸国等では、実際に電磁波が人体に与える影響を調査、研究し、それらをきちんと公表していることから、日本人と比較すれば電磁波に対して敏感な方が多いといえるでしょう。また、法律で電磁波対策を講じている国もあるほどです。スウェーデンでは、住宅のコンセントの全てにアース付けを義務化しています。日本では冷蔵庫と洗濯機にしかアースを付けないのが一般的となっています。それ以外にも、さまざまな電気製品から電磁波が発生しているにもかかわらずです・・・
では、電磁波とはそもそもどんなものでしょうか。
その言葉のとおり、「電場(電界=電気的な力の作用する空間)」と「磁場(磁界=磁力が作用する空間)」という異なるエネルギーが次々と発生し伝わっていく波のことです。電流が流れると磁場ができ、磁場の影響で電場が変動し、さらに電場の変動によってまた磁場ができる。互い違いに繋がっていくような図をイメージすると分かりやすいと思います。そして電気が伝わっていく波の大きさを「波長」、1秒間に起きる波の数を「周波数」と言います。波の種類はさまざまあり、一般的には波長の短いものほどエネルギーが強く、人体への影響も大きいとされています。その代表が健康診断のレントゲンで使われるエックス線やガンの治療で使われるカンマ線などの放射線です。
家電製品や携帯電話などは放射線に比べると波長は長くなりますが、このような波長の長い(低周波の)電磁波の影響についても研究の目が向けられるようになっています。ちなみに、スマートフォンを、毎日たった30分でも操作する方は、しない方に比べて脳腫瘍ができる確率が1.5倍になるとWHO(世界保健機構)は警告していますが、こうした危険性を知る人はまだまだ少ないと思います。ほとんどの電磁波は、体内に活性酸素を作り出し、細胞を酸化させます。酸化とは劣化です。実際にがん患者の方、病弱な方は、健常者に比べて体内活性酸素がかなり多いことが医学的見地からも発表されています。つまり、身体が酸化しているということです。体を酸化させる電磁波を進んで浴びるような生活は、まさに、自殺行為です。
しかし、それでも電気自動車やオール電化住宅、スマートフォンの進化等、世の中は電磁波を抑制するどころか増長させる傾向にあります。しかも、国は企業寄りであり、企業の収益を圧迫することになる電磁波の危険性を隠すばかりか、「IHはガスよりも空気を汚さないです」というように、良いイメージを植え付けているほどなのです。また、家電製品などから発する電磁波だけでなく、家の中や屋外を飛んでいる電磁波も気になります。例えば、家で使われる電話の子機は、親機とつながるために常に通信をしていますし、玄関のインターフォンや地デジなどの通信でも、電磁波が飛んでいます。
最近でいえば、家の外に取り付けられたスマートメーターも大きな問題を抱えていると思います。スマートメーターとは、毎月の検針業務の自動化やHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメントシステム)等を通じ、電気使用状況の見える化を可能にする、情報通信機能をもった電力メーターです。このメーターの導入により、電気料金メニューの選択肢が増えたり、省エネサービス等の提供が受けられたりするなど、さまざまな広がりが期待されていますが、そこでの電磁波被害については、ほとんどの方がご存じないと思います。
実は、アメリカのスマートメーター設置地域では、頭痛やめまい、不眠、耳鳴り、吐き気などを訴える人が増えた事実があります。これらの症状が、携帯電話の基地局周辺で報告されている症状とも一致しているといいます。2012年に行われた国際的な医学会である、アメリカ環境医学アカデミーが、スマートメーターの設置に反対する、CPUC(カリフォルニア州公益事業委員会)宛の決議文を公開しました。つまり、最近の研究において、スマートメーターから放射される電磁波と同程度の強さの電磁波が、遺伝子や細胞、ホルモン、生殖能力、血液、がんなどに影響を及ぼすことが示されたというのです。身近なスマートメーターですが、世界ではこうした動きがあることも理解しておきましょう。
検針員が各住宅を訪れ、表示されたアナログ数値を読み取っていたのが電気使用量の計測でしたが、これを人が介在せす自動化したのがスマートメーターです。
これまで1か月分の総使用量の表示だけだったのが、データがデジタル化されることで、15分ごとや30分ごとなど、リアルタイムで使用量がわかるようになります。しかもこういった情報が電力会社だけでなく、使用者も受け取る事ができるようになります。さらに、スマートメーターとつなかった宅内のディスプレイに電気の使用状況を表示したり、太陽電池など家庭における発電電力の測定やリアルタイム表示、パソコンやスマートフォンなどにデータを送信して情報処理を行うなど、「見える化」と「情報の双方向化」によって、消費者の省エネ意識を高める効果が期待されています。
電力を供給する側でも、検針コストを削減する以外にも大きな成果が、スマートメーター普及に期待されています。電力のピーク需要時の詳細な動向か把握できることと電力の開通・遮断が自動で行えることにより、時間帯・需要量に応じ変動する電カプランの設定やピークシフト(電力需要が最大になる時間を他の時間帯にずらすこと)操作の自動化が可能になります。海外に比べ日本ではスマートメーターの導入は遅れており、2017年時点では、2600万台程度に留まっています。前項で取り上げたスマートハウスにおいてもスマートメーターは核となる技術で、その機能を持ち合わせたHEMS (ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)も登場しています。
電磁波が体に悪いと分かったとしても。私たちが電気なしで生活するのは不可能ですし、ほとんどの方は、それを望まないと思います。電気が生活に欠かせないものである以上、電磁波から解放されることはないのです。そうしたことから、日本でも近年では、電磁波対策を施すビジネスが増加しています。住宅業界も例外ではなく、前述したスウェーデンの法律にあるように、家中のコンセントを地中に逃し電磁波の量を3分の1にするという技術を「オールアース住宅」として売り出している会社もあります。
しかし、「オールアース住宅」にしても、電磁波の量は軽減されるだけで、決してゼロにはなりません。体に良いか悪いかといえば、電磁波が少なくなっただけで、悪いことには変わりはないのです。実際に私の知合いの電磁波障害の方が、「オールアース住宅」のオープンハウスに行かれましたが、家に入った直後に体に異変を覚えたとのことでした。やはり、悪いものを取り除くだけでなく、良いものに変えるという発想が重要なのです。そこで私は、悪い電磁波を良い電磁波に変えるために、新しい分電盤を開発することにしたのです。開発といっても、前述した長野の研究所では、この技術を、10年ほど前に確立していたことから、その技術の指導を受けた私は、割と簡単に、より良いものを低コストでの商品化に成功したのです。
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