失敗しない間取りのポイント①
間取りをつくるときは、ただ単に間取りのみを考えがちです。ですが、敷地の中のどの位置にどんな間取りで家を建てるかという配置計画の良否が、間取りづくリ成功の最も大切なキーポイントです。
敷地の法的制限、地形、周囲の環境などの諸条件をフルに生かして、わが家の住まい方、将来のライフサイクル、バリアフリーに対応して、耐久性・省エネ・日照・通風などに恵まれた100年住めるマイホームプランづくりが望まれます。
失敗しない間取りのポイント②
間取りの善し悪しは通路の取―方をみればすぐわかります。玄関、廊下、階段などの配置の仕方(動線計画)は間取りづくりの基本です。動線計画の悪い例は、廊下が曲がりくねって長いので住みにくく、危険で、面積的にも無駄です。動線を短くスムーズにまとめた改善プランは、動線計画ばかりではなく、ゾーニングプランという考え方からみても、よりベターといえます。
失敗しない間取りのポイント③
ゾーニングとは区域分けのことです。同じ役割や目的をもつ部屋・スペースをグループ化して、適正な位置にゾーニングします。人の住む居室ゾーンを南側に、水まわりなどの非居室ゾーンを北側に配置するのが大原則です。たとえば、玄関・廊下の通路ゾーンをはさんで南西部に共用(LDK)ゾーン、南側に個室ゾーン、北側に浴室・洗面・トイレといったサニタリーゾーンを配置したゾーニングプランは、良い一例です。ゾーニングプランは、動線計画と同様、間取りづくりの基本的手法です。
失敗しない間取りのポイント④
近年の家庭生活では、家族の触れ合いの希薄さが指摘されています。かつての民家・町家には、囲炉裏端や茶の間、ちゃぶ台、こたつなどでの団らんの原風景があり、そこにほのぽのとした温もりが感じられました。これが住まいの中心であり、家における「へそ」ともいえるものでした。現代のリビングをみると、ソファー、食卓などの画一的なインテリアはあっても「へそ」はないように思われます。リビングが各室と直結する間取りなら廊下面積が不要です。さらに家族が触れ合う広場となります。いわば、住宅の間取りというよりも、ホーム(家庭)の間取りデザインといえるのでしょう。
失敗しない間取りのポイント⑤
間取りを工夫して小さな家を建て、大きく住むことができたら、それこそ「狭いながらも楽しいわが家」です。あるアメリカ人の主婦が日本で借家住まいをしたとき、最初はあまりの狭さに驚き、とまどったそうです。しかし、やがてその小さな茶の間での家族の団らんはかけがえのないものとなり、アメリカに帰国して住んだ広い家では、あの温かい触れ合いがなくなってしまったと述懐しています。これは、ともすれば欧米志向一辺倒になりがちな、日本の現代住宅へのメッセージといえるかもしれません。なお、建物面積を小さくできれば、建築費と維持費が節約でき、掃除など家事労働の手間も軽減されます。
失敗しない間取りのポイント⑥
凹凸の多い間取りは使い勝手が悪いばかりか、家や屋根の形も複雑で雨漏りの原因になりやすく、外周壁の而積も増えてコスト高になります。強風時には凹部分で乱気流が生じて吹きだまり、凸部分では風圧が高まって仕上げ材などが飛びやすくなります。地震時には壊れやすぐ構造的にも不安定です。コートハウスなどのねらいをもったプランは別として、一般的には「シンプルーイズーペスト」です。
失敗しない間取りのポイント⑦
日本の住宅の平均寿命は約30年といわれ、欧米に比べて建替えサイクルは約2分の1以下と極端に短く、コストの不経済性とさらに解体廃棄物の急増が問題視されています。100年住める家づくりは、耐久・安全・快適性はもちろんですが、暮らしの変化に対応できるオルタネーションーフリー(変更自由)も、ベタープランといえます。
失敗しない間取りのポイント⑧
段差をなくしたり、廊下、階段、出入口の幅、トイレ、浴室の広さなどを、あとでリフォームすると、構造体にまで及ぶ大規模なものになり、コスト面でも大きな出費に。新築、購入時にバリアフリー対応の確保が理想的です。
たとえば寝室で目覚めた後の行動を考えてみます。多くの方はパジャマを着ているでしょう。そしてその後、どこで服を着替えるのか?といったように展開していきます。起きてすぐその場(寝室)で着替えるのであれば、着替えは寝室に置いておくべきでしょう。しかしパジャマのまま顔を洗い、朝食を食べ、そのあと服を着替えるのなら、着替えは寝室に置いておくより、LDKあるいはその近くにあったほうがいいのではないか?などと続けていくわけです。
またお風呂から上がってきて、下着を着けるのはどこなのか、といったことなども重要です。お風呂から上がって、その場(洗面脱衣室)で下着を着ける人は、そこに下着を収納する場所を計画しなければなりません。ですが子供や男性には、バスローブでLDKまで行き汗がひいてから、その付近で下着を着ける人もいます。その場合は、当然LDK付近に下着を収納する場所を確保しなければなりません。そういう細かな計画をして初めて、その家族にとって住みやすい家となるのです。
他にも、「どこで化粧をするのか、あるいはしたいのか?」「どこでアイロンをかけたいのか、あるいはかけるのか?」「昼寝をするのか、しないのか?」「どういったお客が何人くらいで、どれくらいの頻度で来るのか?」など考えることはたくさんあります。
ハウスメーカーや工務店での間取りの打ち合わせは、せいぜい1~2時間程度で、数時間の敷地調査を含めて、1週間ほどで間取りが仕ヒがります。しかし私の場合、ヒアリングにトータル10数時問、そして敷地調査にトータル数週問かかり、間取りができるまでに合計すると、およそ数か月かかるからです。自分の生活スタイルを再認識してから、それに合わせて間取りプランを決めることがとても重要なのです。そのためには、家族とよく話し合いを行い、それぞれの生活スタイルを一覧できる表にしたり、簡単な項目表を作成することを強くおすすめします。
象条件に関しては、当然現地調査もしっかりとやりますが、アメダスのデータも参考にします。アメダスのデータは、その地域の日照率や温度、湿度、風向、風速、降水量など、かなりの情報が蓄積されています。またバカにならないのが、その地域に住んでいる人々の生の情報です。「この地域は台風のとき、真東からすごい風が吹く」とか。「この国道に沿って、吹雪が吹く」とか。「午後3~4時ごろ、山風から海風に変わる」など、アメダスのマクロな情報ではない、ミクロの情報を知ることができるからです。しかし人の記憶もあいまいなものがあるのも事実です。アメダスによるマクロの情報と、住民の方々のミクロな情報を考え合わせて、その地域の気象を見極めていくのです。
数年前、ある大きな住宅団地で2軒設計を依頼されました。気象調査をしてみると風に関していえば、冬は北西と西から、強い風や吹雪が吹くことが分かりました。ですから、北西や西に向いた玄関はつくるべきではないと判断しました。どうしてもつくる必要のあるときは、何らかの方法で玄関に囲いをして、風や雪が吹き込まないようにするべきでしょう。
しかし多くの業者では、たいした調査をしていないため、玄関が北西や西に向いている家がたくさん建設されていました。冬の吹雪の日や風の日は、玄関を開けるたびに吹雪や冷気が家の中に入り、大変だろうと思われます。施主はみな、契約した業者が良い家をつくってくれると単純に信じており、何千万円というお金を払うのですから、手抜き業者の罪は深いのです。
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