パナホームは2009年に、適合認定の取り消し処分を国土交通省から受けています。パナホームは、準耐火構造に適合する瓦ぶきの屋根の仕様で、型式部材等製造者の認証を受けていました。しかし実際には、瓦の代わりに太陽電池パネルを載せるなど、認定とは異なった仕様で建築していました。パナホーム広報宣伝部は「設計マニュアルの記述に誤りがあったため」と説明していて、型式適合義務違反は社内調査で発覚しました。 これに該当するパナホームの住宅は、鉄骨造で、2005年度~2009年度に建設して引き渡し済みの戸建て住宅、および集合住宅の計28棟でした。
問題の28棟に使われた屋根材は、パナホームが認定を受けた型式には適合していませんでしたが、国土交通省が定める防火に関する一定の技術基準を満たす、大臣認定を受けていました。 性能試験を行って確認したところ、準耐火構造の性能は満たしており、性能的には問題はなかったのですが、それでも型式適合義務違反の事実は残るので、国交省は28棟の住宅にかかわる型式部材等製造者としての認定を取り消しました。
大手ハウスメーカーの住宅のほとんどは、型式適合認定を受けています。特に鉄骨系のハウスメーカーの人気商品は、ほぼ間違いなくこの制度を利用しています。型式適合認定を受けていると、検査や申請の手続きを簡略化でき、コストの低減が可能になります。更にはスケールメリットが働き、1つ1つの建物の品質を一定の水準に保つことも可能です。仕様の統一によってコストカットを実現している大手ハウスメーカーにとっては、非常に都合の良いシステムで、ほとんどのハウスメーカーが型式認定を取得しています。しかし、この型式認定は第3者からのチェックが行いづらいのが最大の難点です。型式の内容や技術はハウスメーカーそれぞれの独自ノウハウで、例えるなら特許のようなものです。できれば公開したくないものです。過去にはこの仕組を悪用し、必要な強度や性能に達していない住宅を販売していたケースも存在します。
国土交通省は、この型式適合認定の不適合が生じた主な原因はを2つあげています。
[1] パナホーム(株)の本社が作成した社内文書に間違いがあり、一定の屋根勾配の場合に建築基準法第63条に規定する屋根の構造方法を用いるよう周知されたこと。
[2] 個々のプレハブ住宅の設計において、あらかじめ認められた型式の仕様との適合性のチェックが適正に行われなかったこと。
この不正が発覚したのも、パナホーム自身からの報告ですし、上記の国土交通省の見解を見ても、パナホームの故意や、意図的に行ったものではないとわかります。しかしこのような不備があったことは事実です。他の事柄でも同じようなことがあった可能性もあります。
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