
小さな家こそ作り付けの収納がおすすめです。例えば壁面の収納の場合、造り付けにすれば壁の端から端まで有効的に使えます。さらに床から天井まで、少しのムダもなく利用できる点は大きなメリットです。
造りつけにするもうひとつの利点は、インテリアのイメージを統一できることです。扉の色を壁と同色にすれば、小さな部屋でもスッキリとした空間になります。収納家具をバラバラに買い足すと、色や素材、デザイン、サイズが統一できず、雑然とした印象になってしまいます。雑誌などで紹介されているおしゃれな空間は、必ず統一感があるのです。
収納棚の位置を決めてから家具の配置を考えると、棚の前に家具がきて扉をあけられない、といった失敗もあります。まず部屋のレイアウトを決めてから、収納プランを立てるほうが無難です。また、ドアの開きにも注意しないと、棚の扉とドアがぶつかってしまう場合もあります。そのときはドアを引き戸にしたり、棚の位置をずらしたりするなどが調整が必要です。
収納プランを練り上げても、必要なものが入りきらなくてはまったく意味がありません。そこで具体的な収納プランを考える前に、家財の種類と量を把握しましょう。
しかし現実には、家じゅうのひとつひとつのモノを数えるのは大変なので、まず、不用品や、同じ種類でダブつているものを処分することをお勧めします。それでも収納庫に入りきらないものがどれだけあるかをチェックしましょう。はみ出すモノと、現在の収納庫の量を合わせると、必要な収納量がわかるはずです。たとえば、現在、服が入っている衣装ケースが10ケースあり、入りきらない服が2ケース分あるとすれば、合計12ケース分の収納量が必要ということになります。簡単な計算です。同様に、ハンガーに掛かっている服なら、ハンガーの長さを測り、食器なら食器棚の幅を測れば、簡単に必要な収納量が把握できます。
収納棚のサイズで意外と多い失敗は、奥行きを入れるモノより深くしてしまうことです。こうすると奥のものが非常に出しにくくなり、収納庫内に半端なあきができてしまいます。奥行きが深い収納は使いずらいのです。たとえば文庫本なら、約11cmの奥行きがあればおさまり、ぴったりのサイズに棚をつくれば、とり出しやすく、その分部屋やほかの空間も広く使えます。特に小さな家では、このようなわずかなムダもなくしたいものです。
各部屋に収納庫やクローゼットを作ると、どうしてもその分コストは上かってしまいます。そこでコストを極力抑えるためには、庫内を棚板とハンガーを掛けるパイプをとりつけるだけのシンプルなつくりにしましょう。これは大工さんにつくってもらうようにすれば安く上がります。こうすると、家具工事を別に頼むより、大幅にコストを抑えられます。扉も既製の扉を使えば、大工さんにとりっけてもらえます。
収納を考える際、もうひとつ忘れてならないのは、暮らしや好みなどの変化によって、持ち物も必ず変わるということです。子供成長とともに荷物の種類は大きく変わるのです。将来多少違う大きさのものを購入しても収納できるように、庫内の棚板はすべて固定にせず、ダボ(棚板受け)を使って高さの調節がきくようにしておきましょう。いわゆる可動棚です。最近ではハウスメーカーや工務店の住宅でもよく見かけるようになりました。
建築基準法で建てることが可能な広さが制限されています。限られた条件のなかで広さを獲得するには、容積率や建ぺい率に算入されないスペースをうまくとり入れることが重要です。算入されないための条件には以下のようなものがあります。
●吹き抜け
吹き抜け部分は2階の床がないので、2階の床面積には算入されません。ゆったりした空間を確保でき、トップライトや高窓、天窓から光を十分にとり込めます。空間を明るく開放的にしてくれます。
●出窓
窓の下端が床から30㎝以上の高さにあり、出幅(外へ飛び出している幅)が50㎝以下、そして内側の壁にあけられた面積(見付け面積)の1/2以上が窓になっていれば、床面積に算入されません。
●小屋裏
面積がすぐ下の階の床面積の1/2以下で、天井のいちばん高いところが1.4m以下、そして小屋裏に上がるための階段は固定のものではなく、簡単にとりはずせるはしごなどであることが算入されない条件となっています。また、子供部屋や寝室、シアタールームなどの居室として使うことはできません。シーズンオフのものの収納に活用しましよう。
●カーポート
延べ床面積の1/5以下なら、建物内に組み込まれた力-ポートでも、床面積に算入されません。
●バルコニー
基本的には屋根がなければ床面積に算入されません。軒やひさしがかかる場合は、以下の条件に合えば、床面積に算入されません。手すりから上の開放されている高さが1.2m以上で、かつ、バルコニーの天丼高の1/2以上。また、バルコニーの出幅が2m以下となっています。
●地下室
全床面積の1/3までの広さなら、床面積に算入されません。
【階段下】
階段の下は格好の収納スペースです。しかし、しまうものによっては奥行きが深すぎることがあるので、その場合は、片側からだけ使わずに、内部で奥行きを分割して両サイドから使うと、スペースをムダなく利用できます。また、内部の床板を張らずに床を下げてコンクリートを打てば、長さのあるものを立てて収納できます。その部分はひんやりするので、ワインなどの保管にもぴったりです。しかし湿気対策も必要です。
【壁の厚み】
木造軸組み工法の場合、壁の内部は、すじかいが入っているところ以外は、奥行き約10㎝程度の空洞になっています。ここを収納として利用する方法もあります。約10㎝あれば、文庫本、マグカップやグラス、缶詰、ペットボトルなど、しまえるものは意外と多いのです。また、奥行きをもう少しプラスすれば、もっと大きいサイズのものも収納可能です。
【床の段差や階段の段】
リビングの一角に畳敷きのコーナーを設けるなどして床に段差ができた場合、その高さを利用して引き出しを設けることが可能です。また、階段の段の部分を引き出しとして利用しているケースもあります。ただし、こうした工事は手間がかかってコストもかさむので、玄関に近い下の数段のみを引き出しにして、折りたたみ傘や靴の手入れ用品を収納するというぐあいに、ポイント的な使い方がおすすめです。
【床下】
既製品の床下収納ユニットを用いれば、手軽に床下収納を実現できます。キッチンに設けて保存食などを収納する使い方が一般的ですが、ほかにも、洗面所でストックのタオルや洗剤入れなどとして活用しているケースもあります。家具の下になると使えなくなるので、部屋の出入り口のそばなど、家具を極力置かない場所に設置しましょう。
【収納を兼ねる家具】
座面の下に収納できるベンチや腰掛がその代表的なものです。そのほか、テーブルの足の部分が収納になっているダイニングテーブルや、マットの下が収納スペースになっているベッドなどもあります。
収納のムダをなくすシステム&オーダー収納
大型の納戸や押人れに何でも押し込め、あとは家具を買い足していくという収納法では、ものの出し入れが煩雑になり、スペースに多くのムダが生じます。そうした問題をクリアにするのが、機能性とインテリア性に富んだシステム&オーダー収納です。オーダー収納は、サイズから素材、デザインなどにこだわり、造りつけ型や据え置き型、間仕切り型などさまざまなオリジナルの収納がつくれます。コストを抑えるためには、定番商品をアレンジしたセミオーダー収納を利用するという手もあります。
一方、システム収納は、いろいろな部材を組み合わせてスペースや使用目的に応じた収納が可能に。ボックス型のユニットを組み合わせるユニットタイプ、天板や側板、棚板などパネルで構成するパネルタイプ、造りつけ型には内部収納パーツに扉部材を組み合わせたタイプがあります。コスト的には、大がかりな工事の必要がないユニットタイプの据え置き型が比較的割安になります。注文住宅なら、システム収納が一番です。
●オーダー収納には 造りつけ型、据え置き型、間仕切り型などがあり、自由度が高い
●定番商品をアレンジするセミオーダー収納はコストが抑えられる
●システム収納のなかでも、ユニットタイプの据え置き型は比較的割安
使用頻度に応じて収納スペースを分ける 収納スペースは居住空間全体の10~15%程度が最適といわれています。プランニングにあたっては、収納物を毎日使うモノとたまにしか使わないモノに分類。毎日使うモノはなるべく使う場所の近くに、出し入れしやすいように収納することが基本。たまにしか使わないモノは納戸や天井裏収納などにまとめて保管します。
「見せる収納」「隠す収納」で人に見られたくないモノを収納する納戸やウォーク・イン・クロー ゼットは「隠す収納」。システム収納が今は流行りです。最近では嫁入りダンスをそのまま収納する例も少なくありません。一方、飾り棚や本棚は趣味のものや置物などを飾って楽しむ「見せる収納」。見せる収納はテレビ台や本棚を兼ねたシステム収納が数多く市販されており、自分好みの収納棚づくりが可 能になります。
アレンジしだいでかわるシステム収納のプラン
住宅に伝統的に受け継がれてきた塀と門。元々は防犯、プライバシーを守るための目隠し、自分の敷地の境界を示すという役割を持っていたものでしたが、現在では、豊富な索材とデザインのものが増え、建物全体のアクセントとしての楽しみ方も求められるようになってきました。また、最近は、アメリカなどに見られるような、門扉や塀を設けないオープンなスタイルも人気です。アプローチ周辺に植栽をしつらえれば、狭い敷地でも芙しく開放的な雰囲気を生み出してくれます。いずれにせよ、塀と門扉は建物を美しく見せるための人切な脇役のような存在です。周辺の環境や建物との調和を第一に考え、機能的で使いやすいプランニングを心がけましょう。
多くの場合、これを施主に記入してもらうか、担当者が施主に質問して記入します。そしてそれを参考にしながら、問取りプランニングを決めていくのですが、このやり方が「良い設計」ができない最大の要因なのです。どういうことかというと、この設計カルテに記入されたものは、ほとんど施主の考えだということです。この意味が分かるでしょうか?部屋位置を決めたのも、キッチンの形を決めたのも、それ以外の大部分を決めたのも全て施主だということです。ここでよく考えなければいけないのが、「特別な人は別にして、大方の施主は建築に関して素人」という事実です。今まで間取りのことを深く考えたことのない人が、良い問取りをつくれるはずがないのです。
最近の施主は1社指名という方はまれで、ほとんどの人は数社の会社の間取りプランニングを作成させ競合させます。構造や設備は各社違いますが、出てくるプランは、どこの業者も同じようなものです。それはすなわち、どこの業者もただ単に、施主の考えをまとめているだけで、本来の「高度であるべき間取りプランニング計画」というものをしていないからです。だからどこでやってもプランは結果はほぼ同じ。構造や設備は各社一長一短。そのため、営業マンの人問性や相性、そしてそれをとおして感じられる業者の信頼度(これは錯覚している場合も多い)、あるいは金額を安くしてくれるところに決まるというのが現状でしょう。
間取りプランを競合させることにも、一つの弊害があります。「競合でエネルギーを使い果たすため、本当に良いプランニングをするだけのエネルギーが残らない」ということです。競合というのは、実は非常に疲れるものなのです。どこの業者でも、営業マンは常にひどいストレスにさらされています。「ライバルが明日、一気に数百万円値引きするといって、強引に契約に持ち込んだらどうしよう」などと競合中はいつも不安でいっぱいです。いろいろ気になって、夜も熟睡できないものです。営業マンは大体、胃痛持ちが多いのです。しかし不安がってばかりいてもいられません。強い営業マンほど、その不安を抑えて「ライバルがこう出てきたらこう対処しよう」とか「こうきたらこう切り返そう」とか「この日にライバルがプランを持ってくるから、自分は前日に一回現場案内をしておいて、あのレストランでご馳走して、情を売っておいてから、プランを出そう」など、自分の考えられるありとあらゆる事を考えています。ですから、契約になったとしても断られたとしても、その競合で心身ともに消耗しきってしまうのです。結果、この本の主題である「本当に良いプランニング」をするだけのエネルギーが残らないということもあるのです。
家を建てようとした時、誰もがまず考えるのは間取りです。どんな部屋が必要かのリストアップから始まり、全体の面積、これは資金で決まるのですが、それに見合った各部屋の広さを決めます。そこでやおら方眼紙に向って線を引き始めるというわけです。
しかしここで待った。必要と考えた生活要素が即部屋ということでもないからです。例えばそれが書斎だとしたらどうなるか。必要かもしれないが、たいした必要度でなければ2階の廊下の北側あたりに3畳ほどの部屋、という間取りになるでしょう。こんな場所にあったら、行かなくても済めば、わざわざ行きません。こんな書斎はたちまち納戸です。
でも書斎と考えないで、ワープロがあったり、電話、ファックス、住所録、文房具、本などがあって、家族の誰もが使えるコーナーがあったら、と考えてみてください。こんな内容が書斎なら部屋でなく、リビングの一部にあった方がよいはずです。リビング10畳、書斎3畳という考えを棄てれば13畳の広々としたリビングになります。
使用目的別に部屋を用意すると、家は小部屋の集合体になります。その部屋にそれぞれ独立性をと考えると、廊下が増えます。区画が増えると通風がさまたげられるし、家族が部屋に分散してしまえば、ふれあいも稀薄になってしまいます。要するにろくなことはないのです。
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